「キーボードを始めてみたい」と思っている方は、まず最初にどの機種を選んだら良いのか悩むことになると思います。それ以前に「そもそもシンセとキーボードってどこが違うの?」という方も少なくないはず。というわけでこの記事では、いろいろなキーボードごとの違いや特徴をご紹介するとともに、各自の目的にあった最適キーボードをご紹介したいと思います。
そもそもキーボードとは?
キーボードは「鍵盤」を意味します。鍵盤楽器は本来すべて「キーボード」ですが、一般的には電気が無いと演奏できない(音が出ない)鍵盤楽器が「キーボード」と呼ばれているようです。生ピアノ(グランドピアノ、アップライトピアノ等)はあまりキーボードとは呼ばれることはないですね。
これは通常「(アップライト)ピアノ」と呼ばれると思います。

現在はたくさんのキーボードが発売されていますが、下記のように大別してみましょう。
- シンセサイザー&ミュージック・ワークステーション⇒様々な音色を演奏できるライブ、制作向けキーボード
- ステージピアノ(※)⇒バンド、ライブ等で使用されるピアノに特化したキーボード
- コンボ・キーボード(※)(オルガン / ステージキーボード)⇒オルガン、ピアノ等中心のライブ・キーボード
- 電子ピアノ⇒生ピアノの電子版。ヘッドホンでも練習できる
- 電子オルガン⇒例)エレクトーン。一人で演奏。自動伴奏機能付き
- その他:ポータブルキーボードなど
本記事では主に音楽制作やバンド、ソロ等で使用される下記三種類のキーボードをご紹介していきたいと思います。
- シンセサイザー&ミュージック・ワークステーション
- ステージピアノ
- コンボ・キーボード(オルガン)
※ステージピアノとコンボ・キーボード(オルガン / ステージキーボード)の境界線は極めて恣意的なので便宜上分けているとお考えください。
代表機種
シンセサイザー&ミュージック・ワークステーション
※「シンセサイザー」にはいろいろなタイプがありますが、最近主流なのは数百種類のさまざまな楽器音を内蔵しているデジタルシンセ。なかにはつまみだらけで単音しか出ない「アナログ(系)・シンセ」といったモデルもありますが、これは少々特殊で、マニアック。キーボード入門には向いていないかもしれません。
「ワークステーション」というのは、シンセの機能に加え、音楽制作機能(シーケンサーやDAWと呼ばれます)が加わったモデルです。ドラムやベースといったパートを「打ち込んで」自動演奏させることができ、またギターやボーカルなどを録音することができる機種もあります。つまり単体で音楽が作れてしまうわけですね。自動演奏機能を使わず、純粋に楽器としてライブやレコーディングで使用する方も多いです。
YAMAHA MODX+ 6 / 7 / 8

ステージピアノ
その名の通り、持ち運びが比較的楽にできる「ピアノ音色」をメインとした機種。ピアノタッチにこだわりたい方にオススメ。シンセサイザーのように数百といった音色は内蔵されておらず、ピアノ系、オルガン系、ストリングス・・といった使用頻度の高い音色が収録されている場合が多いです。音色作成機能もシンセサイザーほど本格的ではない機種が多いと思います。
Roland RD-2000 EX

Nord Piano 6

コンボ・キーボード(ステージキーボード)
ステージピアノとの区別が曖昧ですが、オルガン、ピアノ系、ストリングスなどバンドで使用頻度の高い音色が中心のモデル。ドローバー(ハーモニックバー)とよばれるオルガン独特の音色作成機能を備えているものも多いです。鍵盤は軽めが主流ですね。
ROLAND V-STAGE 88

YAMAHA CK61 / CK88

HAMMOND M-solo
これはオルガンモデルになります。シンセ音色もプリセットされています。

オルガンの仕組みや各種エフェクトについては下記を御覧ください。
キーボード選びのポイント
いろいろな種類のキーボードがあるということがわかったら、次に以下の項目をチェックしていきましょう。自分にあっているものはどれでしょう?
- 内蔵音色の種類、特色 ⇒ ピアノ、オルガン系中心、シンセ系
- タッチ、鍵盤数 ⇒ 重い、軽い、 49,61,73、76,88鍵など
- 重量・大きさ ⇒ 持ち運び頻度、設置場所
- 演奏したい音楽ジャンルは ⇒ J-Pop、ロック、ジャズ
- 用途 ⇒ バンド、弾き語り、音楽制作
- 主に使用する場所 ⇒ スタジオ、教室、ライブ会場、ストリート、コンサート会場
内蔵音色
音色バリエーションが多く内蔵されているのは、なんといってもシンセサイザー。ただし、機種によって音色の傾向が若干異なります。機種によっては生(アコースティック)系が充実しているもの、またはシンセ・ダンス系向き・・・といった特色がありますので、自分の必要な音色に力を入れている機種を選びたいですね。ピアノ、オルガン、ストリングス、ブラス、シンセリードあたりはどの機種も内蔵されていることが多いです。

メインで使用する音色の例
- バンドでロックしたい=よく使われる定番音色(ピアノ、オルガン、ストリングス、ブラス、シンセリード)が充実している機種
- ⇒ミュージック・ワークステーション、コンボ・オルガンがおすすめ
- 弾き語り(ピアノ経験者で、主に生ピアノ系の良い音が欲しい)
- ⇒ステージピアノがおすすめ
タッチ・鍵盤数
ジャズ系、弾き語りという場合は当然ピアノ音色に力の入った機種を選びたいところですし、アコースティックピアノを弾き慣れている人にも違和感がない機種、ということであれば「重めのキー(ピアノタッチ)」のステージピアノがおすすめ。
オルガンやシンセ中心ということであれば逆に「軽めの」タッチがオススメ。なおこのタッチの「重い軽い」は結果的に本体重量の違いにも関係してきます。88鍵ピアノタッチのステージピアノだと20Kg超という機種もありますから、次に紹介する「主に使用する場所」とも深く関わってきますね?
なおオルガン系の製品では、ウォーターフォール(水流、滝)と呼ばれる、一般的なキーボードの鍵盤と異なる鍵盤の先端が滝のように垂直デザインの鍵盤もあります。オルガン特有のグリッサンドなどが演奏しやすい設計になっています。

鍵盤数は演奏する音楽ジャンルで変わってきます。ジャズやクラシック系だと76、88鍵が必要になる場合もあるでしょうし、通常のロック・バンド形態であれば61~76でOKだと思います。なおオクターブ単位でキーボードの音域を変更できるオクターブボタンが備わっている機種もあります。
オクターブボタンの例

これで理屈上は88鍵盤の全域をカバーできるのですが、最高域と最低域を同時に鳴らすことはできないので、どんな演奏をするかによって必要な鍵盤数を決めてください。
重量・大きさ
持ち運びするのかどうか?これが大切ですね。一度設置してほとんど動かさないなら重さはそれほど気にする必要はないでしょう。
しかし多くの方は
- バンド練習するときは、音楽スタジオまでケースに入れて電車移動
- ストリート中心なので電源確保が課題
- 机の上の限られたスペースで、音楽制作したい
といったケースが多いのではないでしょうか、最近は比較的軽量のシンセやステージピアノも多く発売されていますので、デジランドのレビュー記事等参考にしてみてください。なかにはピアノタッチだけれど比較的重量が軽い機種なんてのもあります。
価格
最終的にはこれが一番悩みとなるわけですが、いままで紹介してきたポイントで「価格」にいちばん関わってくるのは実は「タッチ、鍵盤数」。これが「重い、多い」だと単純に部品の数や構造の差によって価格も高くなり、重量も重くなります。実際、多くのシリーズ機種において違いは鍵盤数と鍵盤の種類だけというケースは多いです。
また内蔵波形の音質の差、音の出口の回路や、使用している各部品の品質の違いが価格に反映されます。初心者が手軽に楽しむ場合と、プロが音楽制作やステージで必要な「音質」「使い勝手」「機能」は異なるわけですね。高級オーディオで聞かないとわからないような音質の違いや、プロの求めるライブでの便利機能等々は必ずしもすべてのユーザーに必要ではないのです。それが10万円と50万円の価格の差になってくるわけですね。
さて目的によって選択するポイントがなんとなく理解できましたでしょうか?それではオススメの売れ筋キーボードをご紹介します。
おすすめ機種9選
シンセサイザー&ミュージック・ワークステーション
Korg KROSS2-61-SC

KORGのライブ用シンセサイザー「KROSS2-61-SC」は、「KROSS2」をベースに、新たに「TRITON」音色を追加し、ホワイト&グレーカラーでまとめた特別仕様モデルです。カラーは人気の白を採用し、自宅やライブなど様々なシーンに馴染みやすいデザインとなっています。音色はピアノやオルガン、バンド系、民族楽器など幅広く、TRITONサウンドや2025年5月追加の人気楽曲音色を含め1,900種類以上を搭載。追加SDカードも付属し、即戦力となるプリセット音色も充実しています。本体は3.8kgと超軽量で電池駆動も可能、持ち運びやすさが特長です。パッド型サンプラー、USBオーディオ/MIDIインターフェース、16トラックMIDIシーケンサーなど多彩な機能を装備。他にも専用ソフトケースやフットペダルが付属し、従来モデルにない充実した内容となっています。
こちらはKross 2 のデモ動画です。

Roland FANTOM-06-SC

「FANTOM-06-SC」は、人気FANTOM-0シリーズをベースに、洗練されたホワイトカラー筐体と専用キャリングケース、限定オリジナル音色コンテンツを加えたスペシャルモデルです。白い本体はライブや部屋のインテリアにも調和。3,000音色超のサウンドライブラリやタッチスクリーン対応ディスプレイを装備し、プロ仕様の高品質サウンド・操作性を実現しています。ZEN-Core音源に加え、ピアノやオルガンなどアコースティック表現力の高いBehavior Modeling Technology、バンド演奏に欠かせないバーチャルトーンホイールオルガンも搭載。TR-808スタイルのステップ・シーケンサーとクリップベースのシーケンサー、24bit/96kHzオーディオインターフェース機能など、制作・パフォーマンス用途にも幅広く対応します。特典として、ライブやスタジオで即戦力となる64シーンのオリジナル音色がUSBメモリーで付属。

YAMAHA MODX7+

「MODX+」は、フラッグシップモデルMONTAGEの技術を継承し、AWM2 & FM-Xハイブリッド音源を搭載した軽量シンセサイザー(61鍵MODX6+、76鍵MODX7+、88鍵GHS鍵盤MODX8+)の3機種展開。前モデルMODXから最大同時発音数を256音(AWM2/128音、FM-X/128音)、波形メモリーを1.75GBへ増強。膨大なプリセット音色と、Motion Control Synthesis Engineにより多彩かつダイナミックな表現が可能です。リズムパターン、パワフルなエフェクトとサイドチェーン、A/D入力やDAW連携、USBオーディオI/O(4イン/10アウト)も装備。ライブセットやシームレスサウンドスイッチング、高速サンプル読込も対応し、ライブ・配信・制作に最適。重量は6.6~13.8kgと持ち運びやすく、MONTAGE/MODXやMOTIFシリーズ等のデータ互換性も魅力です。

ステージピアノ
Studiologic Numa Compact SE

Studiologic Numa Compact SEは、従来モデル「Numa Compact 2」の軽量・コンパクトボディを継承しつつ、上位機種「Numa X Piano」譲りの4つのサウンドエンジン(アコースティック、エレクトリック、オルガン、シンセ)を新搭載した最新ステージピアノです。最大同時発音数は200音に大幅アップし、プリセット音色は148、ユーザープログラムを120保存可能。新しいアコースティックピアノサンプルはストリングスやダンパーノイズ、ハンマーノイズも調整でき、よりリアルな演奏体験を実現。トーンホイールオルガン音源やシンセサイザー(バーチャル・オシレーター・エンジン)も強化され、幅広いジャンルに対応します。88鍵セミウェイテッド鍵盤、クラス最軽量の約7kg、本体スピーカー(10W+10W)内蔵、USBオーディオ機能も搭載し、PC/iOSとの接続や録音にも便利。高品位拡張サウンドも追加可能と、モバイル志向のキーボーディストに最適な1台です。※2025年7月末までセール開催中!

Roland RD-88-SC

Roland「RD-88-SC」は、軽量・コンパクトなスピーカー内蔵ステージピアノ「RD-88」に、特別コンテンツとアクセサリーを加えた限定モデルです。高い演奏性を持つPHA-4スタンダード象牙調鍵盤(88鍵)を搭載し、SuperNATURAL Piano/E.PianoとZEN-Core音源で多彩なサウンド(トーン3,000以上)と400シーンを備えます。内蔵スピーカーにより電源ONですぐに演奏できるため、持ち運びや設置も簡単。特典としてJ-POPヒット曲5曲の楽曲データ・音色入りUSBメモリや操作解説動画、ダンパーペダルDP-10、コントロールスイッチDP-2が付属。MainStageなど外部音源との連携や、多彩なペダル割り当て機能も強化されています。質量は約13.5kg

こちらはRD-88のデモ動画

YAMAHA CP88(下段はCP73)

YAMAHA「CP73」「CP88」は、斬新なパネルデザインと直感的なインターフェースが特徴の新世代ステージピアノです。CP88は木製象牙調グレードハンマー鍵盤(88鍵)、CP73は新設計BHS鍵盤(73鍵・E-to-Eレンジ)を搭載し、弾き心地や可搬性を両立しています(重量:CP88=18.6kg、CP73=13.1kg)。音源はAWM2で、グランドピアノ「Yamaha CFX」「S700」「Bösendorfer 290」他、エレピ、クラビ、数種オルガン、シンセ音色など57音色/160ライブセットを内蔵。各セクションごとにエフェクト(VCM含む)、マスターEQと即時操作可能なトグルスイッチやノブを装備し、ライブやレコーディングの現場ですばやいサウンド調整が可能です。USB/MIDI、バランス(XLR)出力端子など接続性も充実。OSアップデートによりピアノ音色なども拡充可能です。



コンボ・キーボード(ステージキーボード)
ROLAND GO-88PX

Roland「GO:PIANO88(GO-88PX)」は、88鍵ながらわずか5.8kgの軽量ボディと高音質スピーカー(6W×2)を搭載したポータブルデジタルピアノです。なんと税込み ¥39,600 とまさに桁違いのお手頃価格。
本格的な88鍵象牙調ボックス型鍵盤を採用し、5段階タッチ設定が可能。ピアノ・エレピ・オルガンなど40音色およびGM2音色(256種/Roland Piano Appから設定)内蔵、アンビエンスやピアノデザイナー機能でサウンドの細かな調整も可能です。 Bluetoothオーディオ/MIDI対応で、スマホと連携し楽曲再生やレッスン、録音、操作が快適。電源はACアダプターまたは単3電池8本で、屋外など電源のない場所でも演奏できます。USB Type-CによるMIDI/オーディオ通信や本体録音機能を新たに搭載し、初心者から上級者まで幅広く活用可能。バンドだけでなく家庭で手軽に練習もできるのが嬉しいいですね。ピアノタッチではないので、生ピアノに近いタッチがほしい方はRD-88-SCなどの88鍵モデルを選んでください。

YAMAHA CK61

バンド演奏に最適な軽量ステージキーボード「CK61」は61鍵キーボードタッチ鍵盤。同シリーズの「CK88」は88鍵・ピアノタッチ。両モデルともに直感的なOne-to-Oneインターフェース採用で、演奏中でも瞬時に音色やエフェクトをコントロール可能。専用エフェクター付きのA/Dインプットはボーカルマイクや外部インストゥルメントの接続に対応し、弾き語りやセッションをそのままラップトップにレコーディングする事も可能です。

スピーカー内蔵・電池駆動対応で、場所を選ばず演奏でき、可搬性にも優れています。ピアノ、エレピ、ビンテージオルガン、ストリングス、ブラスなど300種以上の音色を搭載。CK61は5.6kg、CK88は13.1kgと軽量設計です。

Nord Stage 4 88

GO-88PXが20台ほど変えそうな価格ですが、どうせ買うなら最初から最上級モデルを!という方におすすめなステージピアノ/ステージキーボード。真っ赤な筐体で有名なNord Stage 4は、テレビでもよく見かけると思います。88鍵フルウェイト、トリプルセンサーとアフタータッチ、LEDインジケータ付きドローバーを搭載。パネルにはレイヤー個別のLEDフェーダーを採用し、ボタンひとつでシームレスなサウンド切替が可能です。
ピアノセクションはNord Piano Libraryの新強化コレクションを内蔵し、先進的なストリングレゾナンスやダイナミックペダルノイズも装備。シンセセクションはバーチャルアナログ、ウェーブテーブル、FM合成、サンプル強化の新エンジンを搭載し、3レイヤー・高度なアルペジエーターも特徴。オルガンセクションではB3、Vox、Farfisa、パイプオルガンまで多彩に再現、物理ドローバーを装備しライブ感も抜群です。
各レイヤーごとに完全独立の新エフェクトセクションを持ち、サイドチェーン模擬の「ポンプ」やスピン、リバーブ等も強化。専用の「Nord Triple Pedal 2」「Single Pedal 2」にも対応し、ペダルノイズや豊かな表現性を実現します。まさに憧れのフラッグシップモデル!一台いかがですか?

あとがき
というわけで4万円弱から80万円弱までのバンドキーボードを紹介してきました。価格も機能もデザインも本当にさまざまですが、自分にぴったりの一台のイメージは湧いてきたでしょうか?これをきっかけに、ぜひ実際に試奏やお店での体験を通して、「自分の相棒」と思えるキーボードと出会ってください。そして、その楽器を通して、あなただけの音楽をどんどん広げていってもらえたら嬉しいです。それでは〜〜
この記事を書いた人

デジランド・デジタル・アドバイザー 坂上 暢(サカウエ ミツル)
学生時代よりTV、ラジオ等のCM音楽制作に携り、音楽専門学校講師、キーボードマガジンやDTMマガジン等、音楽雑誌の連載記事の執筆、著作等を行う。
その後も企業Web音楽コンテンツ制作、音楽プロデュース、楽器メーカーのシンセ内蔵デモ曲(Roland JUNO-Di,JUNO-Gi,Sonic Cell,JUNO-STAGE 等々その他多数)、音色作成、デモンストレーション、セミナー等を手がける。