InterBEE 2015 音響機材まとめレポート ①

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InterBEE 2015 音響機材まとめレポート ①

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。


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1965年より半世紀におよぶ開催を重ね、昨年に引き続き過去最多となる出展社数を記録した国際放送機器展「Inter BEE 2015」。
国際的なメディア総合展示会として国内外から熱い視線が注がれている「Inter BEE」の音響機器を中心にレポート。
新製品や、初展示製品など盛りだくさんの内容となっておりましたので、その一部をご紹介いたします。

去年のレポートはこちら
Inter BEE 2014 まとめレポート ①
Inter BEE 2014 まとめレポート ②

TASCAM / タスカム

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タスカムブランドで注目されるのは「DA-6400」。入り口メインに展示されておりました。
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わずか1Uラックに64チャンネルのレコーダーを搭載し、96kHz/24bitでも32チャンネルを実現。さらに拡張性も豊かでMADI/Danteなどのインターフェースに柔軟に対応します。他にもアナログやDSDにも対応予定とのこと。
Dante対応のデジタルミキサーに切り替えているライブハウスや施設も多いことから、発売が待たれる製品といえます。

新製品ニュース:TASCAM DA-6400 シリーズ発表!64chのMTRが1Uラックサイズに凝縮
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タスカムにはもう一製品、注目されている製品があります。
それがこちら、今月(2015年11月)発表したTASCAM DR-701D です。
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こちらはHDMI端子だけでデジタル一眼レフカメラやビデオカメラの動画と同期する初の多入力オーディオレコーダーです。

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使い方はいたって簡単!
HDMIを接続するだけで、クロックが同期します。
後はカメラの録画ボタンを押すだけで、「DR-701D」では録音がスタートします。
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入力は、高音質HDDAマイクプリアンプ搭載したXLR×4(コンボジャックのためTRS入力も可能)で96KHzでも最大4チャンネルのマルチ+2ミックスの合計6トラック録音まで可能です。
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最大で192kHz/24ビットで、フォーマットはWAV、BWFに対応。

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カメラの高画質とオーディオレコーダーの高音質を組み合わせた動画を撮影したい方に適した製品です。
ポータブルオーディオレコーダーDRシリーズ譲りステレオのマイクが内蔵しているので、荷物が多くなった場合やマイクを忘れてしまった場合でも対応することができます。
「DR-701D」は終日、人が途切れることなく期待の高さが伺えました。
新製品ニュース:カメラユーザーのための6トラックリニアPCMレコーダー TASCAM DR-701D
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こちらはポータブルレコーダー DR-05VER2-J です。簡単に録音できることから、年齢問わず人気ですね。

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去年、発表したバージョン2のアップデートで、オーバーダビング機能やリバーブエフェクトが搭載され、今年は日本語対応に。特に目新しい機能ではありませんが、かゆいところに手が届く感じがいいですね。そしてなにより初代DR-05まで無償でアップデート対応しているユーザー目線なところが好きです。
新製品ニュース:24ビット/96kHzのハイレゾ対応リニアPCMレコーダー TASCAM DR-05VER2-J
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今年6月に発表されたTASCAM Hi-Res Editor。
DSD編集が可能なソフトウェアはまだそこまで多くはありませんが、それなのに無償で公開しているところが驚きです。
新製品ニュース:ハイレゾファイル編集が可能なソフトウェア TASCAM Hi-Res Editor 無料ダウンロード
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モニタースピーカーをデスクに置けなく、泣く泣くヘッドホンで作業。そんな方はこちらなんていかがでしょう。パワードモニタースピーカー「VL-S3」です。
画像では分かりにくいですが、とても小さいんです。iPhone6Sを添えてみました。
小さいからといって、侮るなかれ。80Hz~22kHzの周波数特性をこの筐体に秘めています。
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こちらはオーディオインターフェイス。上から順に「US-2×2」「US-16×08」「US-20×20」です。
入出力以外の主な違いは、96kHz/24bit対応しiPadなどiOSデバイスに対応している「US-2×2」と「US-16×08」。
192kHz/24bit対応しDSP搭載でリバーブやEQ、コンプを装備しているのが「US-20×20」です。
新製品ニュース:TASCAM US-16×08 発表!アナログ16チャンネルを実現するオーディオMIDIインターフェース
新製品ニュース:USB3.0で192kHz動作に対応した20 IN 20 OUTオーディオ/MIDI インターフェース TASCAM US-20X20
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去年発表され話題を呼んだタスカム製マスタークロックジェネレーター。今回はポストプロダクション寄りの製品「CG-2000」(下)と「CG-1800」(上)が展示されていました。
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こちらは参考出品のSDカードレコーダー「SD-20M」。2つのマイク入力とライン入力を装備し、4トラック録音が可能です。
単三形電池4本での駆動なので、場所を選ばず収録することができます。
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こちらも参考出品。ブルーレイプレイヤー「BD-01U」。
ブルーレイ(BD)のほか、DVDやCDに対応していて、LANやRS-232C接続によるコントロールが可能です。
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beyerdynamic / ベイヤーダイナミック

現在発売されている様々なブランドのダイナミックヘッドホンの原型ともなるステレオヘッドフォンを世界で初めて開発したことで知られるbeyerdynamic。今年は同社フラッグシップモデルである「 T1 」の後継機が発売され話題となりました。
ニュース記事:beyerdynamic T 1 2ND GENERATION 発売!愛され続けている T1が更なる進化
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その技術を応用したのが「DT1770PRO」。
「 T1 」はホーム・オーディオ向けのリスニングヘッドホンですが、こちらはスタジオモニターヘッドホン。「 T1 」と同じくテスラテクノロジー搭載していますが、スタジオモニター用にチューニングされていて、ミックスやマスタリング用にバランスの良いサウンドとなっています。
試聴すると心地よい響きがたまりません。まさに立体音響を美しく再現する解像度の音質といえます。それに、このクッションの手触りがまた良い。長時間の作業でも疲れにくいように感じます。
新製品ニュース:beyerdynamic DT 1770 PRO 発表!ハイレベルな現場に適応するモニターヘッドホンの最上位機種
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audio-technica / オーディオテクニカ

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こちらはオーディオテクニカ・ブースでは去年初展示されていたフラグシップモデルのアナログ・ワイヤレス・システム 6000シリーズが今年も展示されておりました。
従来のA帯域(770~806MHz)が周波数移行のため、新A帯域として700帯(710~714MHz)と1.2GHz帯(1240~1260MHz ※)に分かれるのですが、6000シリーズは700帯になります。
700帯のわずか4MHzの狭帯域で、なんと最大31波の同時運用ができる今のところ唯一のアナログ・ワイヤレス。旧モデルでは、125kHzステップの帯域幅なので同じですが新技術で歪みを押さえ可能にしたようです。

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そして、国内で初お披露目がこちら。ダイナミックマイク「 BP40 」。
オーディオテクニカのダイナミックマイクの中で、最大の大きさであるダイヤフラムを搭載し、コンデンサーマイクのような歪みの少ない自然な音が録れるとのこと。軽くテストしましたが、ダイナミックらしい中低音豊かなサウンドで、かといってぼやけない。ナレーションに最適でバスドラム録音まで使用できるとのことですが、ボーカル録音にも使えそうな感じです。
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LEWITT / ルウィット

こちらはオーストリアのマイク・ブランドLEWITTコーナー。
新しい発想と質が高いマイクを手頃な価格で提供しています。
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残念ながら先日発表されたDGT450の展示はありませんでしたが、去年のInter BEE 2014で紹介した「 DGT650 」などが展示されていました。
Inter BEE 2014のメディアインテグレーションブースはこちら
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FOCAL Professional / フォーカルプロフェッショナル

こちらはFOCALスピーカーコーナー。
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お目当ての3ウェイ・モニター Trio6 Beが展示されておりました!
Trio6 Beはウーファー+ツイーター部分を回転させることができるので縦置き・横置きに対応します。また、3ウェイ/2ウェイの切り替えができるので、一般的な2ウェイのサウンドと比較することができます。
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発売はまだ先とのことですので、情報が入り次第お伝えしたいと思います。
国内で発売開始されました!
新製品ニュース:SMシリーズの新基準 3ウェイ/2ウェイ・モニター・スピーカー Focal Trio6 Be
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EVE Audio / イブオーディオ

こちらは、EVE Audioスピーカーコーナー。話題のEVE Audioのモニタースピーカー「 SC203 」も展示されています。
待ちに待った方も多いかと思いますが、いよいよ今月より発売開始です。
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この製品の特徴はなんといっても大きさ。この大きさでこの音質は驚愕です。
日本は住宅事情により大きい音が出せない、あるいは設置場所がない、という環境の方は多いと思います。6畳1Kで制作されている方なんて珍しくありません。その環境を変えることはなかなか難しいですが、ただそれでも制作に妥協はしたくない。まさにそういった方にマッチするのがこのスピーカー。日本のために作られた?と思うほど、国内ユーザーにぴったりなスピーカーです。
ニュース記事:コンパクトなデスクトップスピーカー EVE Audio SC203
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小さいながら、優れた製品といえばこちらもですね。
USB DAC & ヘッドフォン・アンプ Apogee Grooveです。
録音は必要がない作業、あるいはいつも録音をスタジオで行う方にとって重要なのはサウンドとモバイル性。Apogee Groove は、スタジオ・クオリティの音質を省スベースで設置でき、持ち運ぶことも容易です。
ニュース記事:ApogeeのUSB-DAC「Groove」が登場!ポータブルで超高音質なヘッドホンアンプ
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AVID / アビッド

AVIDブースには、先日発表された「 Pro Tools | Dock 」が展示されておりました。
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「 Pro Tools | Dock 」はiPadを使用するコントロール・サーフェス。
Pro Toolsのセッション、ミキサーなどをコントロールできます。Pro Tools | S3 との組み合わせでなくても、Artist シリーズと一緒に使うことや単体でも使用することができるので、フェーダーは一つで十分だからもっとフローを快適にしたい、といった方にピッタリです。
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もちろん、プラグインも操作できます。
ノブは固定ですのでパラメーターを自由に配置することができませんが、よく使うものが呼び出されるようになっています。
プラグインシンセも操作できますが、基本的にはミックス向けになっています。
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そして、先日リリースされた「 Pro Tools 12.3 」。
他のDAWで実装され便利な機能といえば、バウンスせずにMIDIトラックからの即オーディオ書き出し、あるいはプラグインの音を即オーディオ書き出しです。これを実現する「コミット」機能が搭載されました。
リージョンを選択し、コミットを選択すると別トラックに書き出してくれます。複数のトラックを選択した場合でもそれぞれエクスポートしてくれます。リージョンでなくトラックビュー、クリップからでも可能です。とても便利ですよね!
フリーズトラックとは異なりますが、行おうとしていることは同じですね。ちなみに、フリーズトラックも実装される予定だそうです。
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便利になったといえばもう一つ。
クリップを移動させるとき、後ろの波形が見えるようになりました。透けて後ろの波形が見えているので編集しやすくなります。
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他にも、ピッチシフトが復活しています。
映画製作時の要望だとか‥。
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映画といえば、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の公開までもう少しですね。そんな旬な時に貴重な映像を使い制作の様子がわかるミキシングセミナーが実施されておりました。
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GENELEC / ジェネレック

GENELEC ブースには、1236の展示はありませんでしたが「 1234A SAM 」が展示されていました。
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1234Aは、1034Bを改良し、SAM(スマート・アクティブ・モニタリング・システム)やデジタルアンプなどを採用したモデルで、フォルムは同じでも仕様およびサウンドは異なるスピーカーです。ウーファー750W×2 、ミッド400W、ツイーター250W のパワーを出力するアンプを搭載し、1m位置で125dbの音圧レベルを実現、29~21kHzの周波数レスポンスをもつスピーカーとなっています。
部屋の影響を自動補正するSAMシリーズなので、最適なリスニング環境でモニタリングすることができます。小~中規模スタジオのラージ・モニター向けですが、これが自宅スタジオにあったら圧巻ですね。
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続いて、AKGやYAMAHA、JBL SPLなどは InterBEE 2015 音響機材まとめレポート ② になります。


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