皆様、こんにちは。

弦楽器技術スタッフの高瀬です。




最近、「たべっ子どうぶつ」を毎日購入しています。

20年以上生きてきましたが、今になってようやく「たべっ子どうぶつ」の美味しさに気が付きました。

バターの風味と塩気が丁度良く、食べていて飽きが来ません。


英語表記の動物名も勉強になります。





本日は

  • 上ナット交換
  • 弓チップ交換
  • ニス補修(コーティング)

を行わせていただきました。

ご来店いただき、ありがとうございます。


上ナット交換



4月23日のブログ「上ナットの加工」の中で、上ナットの底上げ修理についてご紹介しました。

この中でも書きましたが、上ナットを修理する大抵の理由は、弦溝の修正がほとんどです。



弦溝の修理方法として

  • 底上げ修理
  • 上ナットの交換

この2種類があり、前回は「底上げ修理」を行いました。

詳しくは「上ナットの加工」をご覧ください。

今回は上ナットの交換が必要な状態の楽器をお預かりしましたので、上ナットの交換について書かせていただきます。



オリジナルの状態

まず、加工前の状態をご覧ください。

弦溝が陥没しています。

上ナットの高さがかなり高く設定されているので、余計に陥没して見えてしまいます。

少し分かりにくいですが、指板とも接触しています。

こちらはネックのうずまき側から見た画像です。

奥行きの寸法も適正ではなく、ペグボックスの中にはみ出てしまっています。




何も問題が無ければ、前回同様「底上げ修理」を行えば時間もコストも抑えられるのですが…

この楽器では無理そうです。



まず、使用されている黒檀材が安価な品質なので、中がスカスカです。

底上げしたところで、数か月でまた溝が拡がってしまうでしょう。




そして、こちらの上ナットは接着剤でガチガチに固定されています。

通常の接着なら1~2分で綺麗に外せますが、強力な接着剤だと10分以上費やしても無事には外せません。

なので、今回は潔く交換を行います。


上ナット外し

案の定、ガチガチに接着されていました。

ビクともしません。

鑿やナイフで壊した方が手っ取り早いのですが、何だかんだ言っても綺麗に外せるに越したことはないので…

時間をかけて取り外します。

(壊すと、指板側の黒檀も破損するリスクが高いのです)



10分後、ようやく外すことが出来ました。

溶剤を流しては叩き、流しては叩き…をひたすら繰り返す作業です。

上ナットの状態を確認したところ、内部に欠け(破損)がありました。

指板側に欠片が無かったので、おそらく上ナットが欠けた状態で接着されていたのではないでしょうか。

このような状態で接着されていると、場合によっては雑音の原因になることもあるので注意が必要です。

(指板と上ナットの間に空洞が出来るため)



黒檀材の加工

半加工品の黒檀材もありますが、今回は寸法が合わなかったので黒檀(古い指板材)を切り出して使用します。

むしろ、こちらの方が良質な黒檀を選別出来るので、都合が良かったりします。

洋カンナと鑿を使用して、ある程度の寸法まで削ります。

(黒檀は大変硬い材なので、加工は大変です)


接着には「膠(にかわ)」を点付けで使用します。

ボンド類でも良いのですが、少量の膠接着の方が後々修理が行いやすいです。

(また修理をする際、上ナットが外しやすくなります)


仕上げ

後は前回(底上げ修理)同様、形を整えて仕上げるだけです。

高さも適切な位置まで落とし、奥行きの寸法も正常になりました。

前回と異なる所は、「弦溝の間隔」です。

今回は店頭品ではなくお客様の楽器ですので、お客様の好みに合わせて溝を作ります。

オリジナルの溝間隔は両端(E線からG線の溝)までの距離で18mmあります。

ヴァイオリンだと少し拡がり過ぎな数値です。

さらに、お客様は女性で手のサイズも小さめな方なので、オリジナルの上ナットだと弦が押さえにくかったと思います。

なので今回は16mmに設定してみました。

交換前よりも弦間隔が狭まった(適正寸法に近付いた)ので、より演奏が快適になるはずです。

(この後、角を整えて完成となります)

最後に

皆様の楽器の弦溝は正常でしょうか。

もし、上ナットの溝が今回のように深くなりすぎていましたらご相談ください。

放置すると指板が痛み、雑音が発生してしまいます。

(溝の状態によっては弦が切れやすくなってしまう事もございます)

また、弦溝の間隔が広すぎる、狭すぎると感じている方も是非ご相談ください。

お好みの間隔に調整致します。

記事中に表示価格・販売価格、在庫状況が掲載されている場合、その価格・在庫状況は記事更新時点のものとなります。
店頭での価格表記・税表記・在庫状況と異なる場合がございますので、ご注意下さい。

この記事を書いたスタッフ

マークイズ福岡ももち店高瀬

弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!

マークイズ福岡ももち店の店舗情報

このスタッフの記事をみる

関連記事

リペアマンのお仕事を覗いてみませんか?

シマムラストリングス秋葉原渡邉

バイオリンの駒

音の要!!!~駒について~

その他スタッフ・アーカイブ

弓の革巻き画像

【マイスター工房通信】弓の革巻きについて

シマムラストリングス秋葉原森貝

【マイスター工房通信】表板の割れ修理について

シマムラストリングス秋葉原鍵主

新しい弦をペグの弦穴に通す

弦楽器リペア便り Vol.11 はじめての弦楽器(2)弦交換

グランフロント大阪店吉村

【2月21日更新】弦楽器リペアだより 2月号

シマムラストリングス秋葉原髙田

継ぎネック リペア風景写真

継ぎネックについて

その他スタッフ・アーカイブ

【マイスター工房通信】上ナットについて

シマムラストリングス秋葉原森貝

【4月12日更新】弦楽器リペアだより 4月号

シマムラストリングス秋葉原髙田

【マイスター工房通信】指板調整のお話

シマムラストリングス秋葉原石川