継ぎネックについて

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継ぎネックについて

急に寒くなりましたが、皆様体調を崩していませんでしょうか?
あっという間に年末を迎えそうですが、ラストスパート、頑張って参りたいと思います!
今日はバイオリン修理の中でも特にレベルの高い、”継ぎネック”という修理についてご紹介したいと思います。

継ぎネックとは?

継ぎネックとは、スクロール部分(頭の渦巻部分)とペグボックス(渦巻の下、ペグが刺さっている箱のような部分を残し、以下、全体を新しい材に交換する修理のことを指します。

通常、ペグボックスより下部分に亀裂が入ってしまったり、ネックが折れてしまったという場合はこの修理を行います。(スクロール、ペグボックスに問題が無ければ)

また、有名なストラディバリの楽器などはもともとがバロックバイオリンだった為、ネックの長さを現代のバイオリンの長さに変更する為、この修理が行われています。(バロックバイオリンとモダンバイオリンの違い等についてはまた改めてご紹介しようと思います。)

ただ、難しい修理の為、時間がとてもかかってしまうのと、料金も上がってしまう為、このリペアをすることはなかなかありません。ただ、ネックが折れてしまっても直せるということだけ覚えておいていただければと思います。

では、修理工程をざっくりと写真を使いながら工程をご紹介します。

ブッシング

↑まずはブッシングと言って、ペグ穴を埋める修理をします。通常2つが多いですが、今回は穴の位置を調整する為、3つ塞いでいます。(写真を後から撮ったので、すでに材がついてしまっています、ごめんなさい!)

ペグボックス加工

↑次にペグボックスから上の部分を加工し、材が付け足せる状態にします。
弦の張力がかかる部分なので、しっかりと接着する為、面をビシッと出します。
写真は底面を加工した時のもの。

↑両サイドの面を削った時の写真。黄色いテープは折角きちっと出した角を傷付けないように保護するために貼ったものです。
底面と再度の面のぶつかる角の部分を綺麗に削る為、この段階では少し残して削り、最後に慎重に角を整えました。


付け足す材の写真がありませんでした。。。すみません。。。!
なので、次はいきなり写真が接着後に飛びます。

接着

↑接着後の写真。全面ピッタリくっつきました!
削りすぎてネックが短くなってしまわない様、慎重に作業を進めます。失敗すると折角切り出した材が全て無駄になってしまいます。失敗は許されません。今回はチェロで材も大きく高額な為、よりプレッシャーでした。(笑)

ネック入れ

ここから先はネックを本体に入れていく作業になります。”ネック入れ”と私たちは普段呼ぶことが多い作業ですが、こちらの修理は通常でも良く行う作業です。ネックが抜けてしまった場合や、ネックの角度調整をする際に行います。

入った後の写真がこちらです。↓

通常のネック入れはネック部分が仕上がっていますので、この段階でももう少し綺麗に見えますが、今回はネックを作り替えていますので、まだゴツゴツしています。

本来はもう少し削ってから入れた方が良いのですが、今回は材がなくならない様、慎重に慎重を重ねた結果、このようになってしまいました(笑)

ここから皆さんのお使い頂いている楽器位の太さまで削っていきます!

最後に

現在削っている最中の為、ご紹介はここまでとなります。
普段はあまりお目にかかる修理ではないので、今回はとても貴重な経験ができました。古い楽器にはたまに施されていることがあり、よく見るとうっすらラインが見えたりすることもあるので、皆さんもそのような楽器に出会った際は見てみるのも面白いかもしれません。
仕上がり具合はまた更新させて頂きます!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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