【マイスター工房通信】上ナットについて
皆さまこんにちは!シマムラストリングス秋葉原の森貝です!やっと秋らしく涼しくなって参りましたね!秋は旬のおいしいものがたくさんあるので食欲が止まりません!
さて、今回はナットについてお話したいと思います。ナットには上ナット、下ナット(サドル)と、楽器の上下2ヵ所にナットと呼ばれる部分がありますが、今回は「上ナット」と呼ばれる部分についてお話いたします。
【目次】 [#k:title=1.上ナットってどんな部分?] [#s:title=2.上ナットの高さ調整] [#l:title=3.上ナットの底上げ] [#z:title=4.上ナット交換] [#y:title=5.こぼれ話] [#x:title=6.料金表] [#x:title=7.お問合せ] |
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上ナットってどんな部分?
楽器のこの部分です↓↓
糸枕、上駒とも呼ばれるナットですが、ペグに巻き付いた弦がのっかる部分です。まさに弦(糸)の枕になっているんですね~。調弦時には弦がこすれる部分なので、使用しているうちに弦の溝がだんだんと深くなってきます。
深くなることによって何が起こるかというと、まず弦が切れやすくなります。そしてその溝が深くなっていくと指板に弦が触れるようになり抉れていく原因になります。
そうすると音を出した時にビビり音がでてしまうことも…。
ナットが高すぎるのも弦を押さえづらかったりします。適正な高さと溝の深さをキープしたいものですね。
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上ナットの高さ調整
溝が深くなってきたときにまずご提案するのが、「高さ調整」という修理です。溝の一番深いところは極力そのままに、周りの壁になってしまっている部分を削り、弦の摩耗を抑える調整になります。
4弦共に深くなってしまっていますが特にA線は巻き線がほつれ始めてしまっています。
弦を外して…
周りを養生しつつ、ナットの上部分を削って調整していきます。
高さ調整完了!
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上ナットの底上げ
次に、弦がもう指板にあたってこすれるようになってしまっている場合にご案内するリペアが「底上げ」です。全部を交換してしまうと時間も手間も費用もかかってしまうので、一度取り外したナットの底面に薄い黒檀のシートを貼り付けて底上げをします。その分高さを増すことができるので、深くなっている溝の周辺を削り、適正な弦溝、アーチに削りなおします。
修理代を低価格に押さえて、かつ適正なナットにできるのでおすすめの修理です。
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上ナット交換
また、「ナット交換」という修理ももちろんできます。黒檀の小さい角材を加工して新しく作り替えます。
そもそもナットが黒檀ではない木材で作られていたりすると、すぐに弦の溝が深くなったり、歪んできたりといったことが起こるので、黒檀という硬い木材にしっかり交換してあげることで、溝のことで頻繁に悩むということが少なくなるかもしれません。
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こぼれ話
少しでも弦の摩耗を抑える為に、新しく弦を交換する際や、他の弦に変えてみる際には、ナットの弦溝と駒の弦溝に鉛筆を塗ってあげることで潤滑剤の役割を果たし、調弦がスムーズになったり弦溝がより深くなっていくことを軽減してくれます。試してみてくださいね!
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料金表
以下のページの「上ナット」をご参照ください。
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青森県出身の森貝(もりかい)です!演奏楽器はチェロです。販売員としても、技術者としてもお客様のご要望にお応えできるよう全力でサポートいたします!