【マイスター工房通信】エンドピンについて
皆様、こんにちは!今回初めてブログを書かせていただきます、高瀬と申します。
今年は花粉の飛散量が凄い!とよくニュースやSNSで見ますが、シマムラストリングス秋葉原でも花粉症の技術者は多く、見ていて花粉症の辛さがひしひしと伝わってきます。私はまだ花粉症にかかっていないので、明日は我が身と毎年身構えています。
さて、今回のブログでは「エンドピン」について紹介していきたいと思います!(ヴァイオリン、ヴィオラメインの紹介になります)
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エンドピンについて
演奏時に毎回エンドピンを調整するチェロ弾きには馴染み深いパーツかもしれませんが、ヴァイオリン・ヴィオラ弾きの方はあまり意識して見たことがないパーツかもしれませんね。
楽器本体の下部に刺さっているだけに見えますが、テールピースを固定し、弦の張力に耐えているとても大事なパーツです。
このようにエンドピンは装着されていますが、ペグと同じで接着されている訳ではないので、引っ張ると抜けてしまいます。
弦を張ると簡単に抜けそう...と心配になる方もいると思いますが、内部を見るとブロックと呼ばれる部位に深く刺さっているので、弦の張力で簡単に抜けることはありません。
エンドピンの種類
材は【黒檀、ローズウッド、ツゲ、スネークウッド、パリサンダー、フェルナンブコ】など様々なものがありますが、基本的にエンドピンは他のフィッティングパーツ(ペグ、テールピース、あご当て)と同じ材のものを使うのが一般的です。
エンドピンを交換する際には、現在お客様の楽器に使われているものと似たエンドピンをご用意させていただきます。
交換が必要な場合の見分け方
そもそもエンドピンのどこをどう見れば良いの?と思いますよね。
普段から皆様に確認してもらいたいことは、エンドピンの穴が拡がっていないかどうか、抜けかかっていないかの確認です。
さてここで皆様に問題です。]
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下の写真のエンドピンは何が問題でしょうか!
↓下にスクロールすると答えなので、考えている方はお気を付けください!
正解は、エンドピンの角度です。
本来なら青矢印であるべき角度が、長年の使用により赤矢印の角度になっています。
実は下から見ると分かりやすく、こんなにも傾いています。
このようになってしまうと、穴が拡がり、エンドピンが抜ける・折れる危険性が高まります(エンドピンは構造上、弦の張力に耐えている為、時間とともに表板の方に穴が拡がってしまうことがあります)。
拡がった穴の径が僅かなら、穴を整えてエンドピンを交換すれば直ります。しかし穴が拡がりすぎているとエンドピンの交換が出来ないので、穴埋めという作業が必要になります。
穴埋めとは
↑穴を木で埋めて整形しまして
↑リタッチという作業で周りの色になじませて…
↑リーマーという専用道具で…
↑再び穴をあけ直しました。あとはエンドピンを入れるだけです!
(真ん中に穴があいてない!と思った方もいるかもしれませんが、実は寸法上ここが真ん中です。黒のラインに惑わされてはいけません。)
どうでしょう、青矢印の通りになりました!
しかし、こうなってしまうと修理代もお預かり期間も多くいただく事になってしまうので、普段からエンドピンの状態を気にかけていただければと思います!]
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最後になりますが、いかがでしたか。
お客様の楽器を点検する際、エンドピン穴の拡がりが目立つことが多かったので、今回取り上げさせていただきました。
なかなか意識しないと普段は見ないパーツではありますが、縁の下の力持ちで常時弦のテンションを支えてる大事な部位でもあるので、時々気にしていただければ技術者として嬉しいです!
ご自身で判断が難しい場合はお気軽にシマムラストリングスへお問い合わせください。
エンドピン交換
楽器種別 | エンドピン交換 |
---|---|
ヴァイオリン | ¥3,240(税込)~ |
ヴィオラ | ¥3,240(税込)~ |
チェロ | ¥4,320(税込)~ |
※エンドピンの種類、ランクにより修理代は変動します。表の価格は最低価格です。
穴埋め
楽器種別 | エンドピン穴埋め |
---|---|
分数~3/4 | ¥3,780(税込)~ |
ヴァイオリン | ¥4,968(税込)~ |
ヴィオラ | ¥4,968(税込)~ |
チェロ | ¥12,960(税込)~ |
※穴の径が大きい場合、修理代が高くなることがあります。
記事中に表示価格・販売価格、在庫状況が掲載されている場合、その価格・在庫状況は記事更新時点のものとなります。
店頭での価格表記・税表記・在庫状況と異なる場合がございますので、ご注意下さい。
弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!