皆様、こんにちは。
弦楽器技術スタッフの高瀬です。


先日、眼鏡を新調しました。
私の眼鏡の扱いは結構雑で、裸のまま放置したり工具の中に放置したりクリーニングをしなかったり…と散々です。
なので今までの眼鏡はレンズに無数の傷や汚れがあり、学生時代後輩から「高瀬さんが眼鏡越しに見ている世界は偽りの世界です」と言われたほどです。
久々の綺麗な眼鏡で偽りではない世界が見えているはずなので、この眼鏡は大事にします。


今回はあご当てのオーダーメイド製作についてご紹介させていただきます。

左利き用あご当て

この度ご依頼いただいた内容は『分数ヴァイオリンの左利き用あご当ての製作』になります。
左利き用のヴァイオリン自体珍しいですが、さらに分数ヴァイオリンとなると専用のあご当てを探すのも大変です。
お客様は今までフレッシュモデルと呼ばれるあご当てを使用していたのですが、通常の右利き用のモデルに変わりはないので楽器を構えるのが辛かったそうです。
フレッシュモデルを削ることも考えたのですが、それでは根本的な解決にはならないので、それではいっそのことオーダーメイドで作ってしまおう!となった次第です。

※フレッシュモデルは楽器のセンター部にあご当ての皿が設定されている、少し特殊なあご当てです

材料

通常、あご当てには『黒檀、柘植、ローズウッド』をメインに使用しています。
ただしこれらの材料を使用するとなると製作費用が高くなってしまうので、今回はメープル材を使用して製作を行うことになりました。

製作道具

ちなみに、荒仕上までに使用する道具はこの3種類のみです。

当工房にはバンドソーのようなハイテク機材はありませんので、全て人力で加工を行います。
鋸であご当ての形状に切り出し、ノミで成形、ナイフで細かい所を整える…という流れです。

大体の形まで成形

鋸で大まかな形を出し、ナイフで粗削りを行った状態です。
あご当ての形状は『ガルネリ風』です。
オーバーテールピースタイプにする必要があったので、メジャーなガルネリモデルをベースにお客様に合わせて形状を設定しています。

まだ形が歪です。
(なぜか丸いですね…)

荒仕上、コルク取付

ノミとスクレーパーを使用して裏掘りと表面の窪み成形を行った状態です。

それっぽくなってきましたね。
まだ仕上げは行わず、続いて金具の取付と仮セッティングをしてみましょう。

仮セッティング

代理の楽器に取り付けてみました。
この段階で金具のブレやテールピースとの接触は見受けられなかったので問題なさそうです。

仕上げ

細かい仕上げを行い、紙やすりで表面を整えてオイル処理を施した状態がこちらです。

あとはお客様にご来店頂き、最終フィッティング(お客様に合わせた表面の削り作業)とコルクのフィッティングを行えば完了となります!
ご満足いただけると良いのですが…オーダーメイドなので緊張しますね。

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この記事を書いたスタッフ

岩田屋福岡店高瀬

弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!

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