皆様、こんにちは。
弦楽器技術スタッフの高瀬です。
少し前から「たべっ子どうぶつ」にハマっていますが、最近は「うまい棒」にも同じくらいハマっています。
1本10円という驚異的な安さに加えて、味のバラエティも豊富です。
今では我が家に100本程うまい棒のストックがあり、毎日3本ずつ消費しています。
サラミ味と牛タン塩味の味の違いが未だに分かりません。
本日は
- ニスコーティング
- 表板ウイング割れ修理
を行わせていただきました。
ご来店いただき、ありがとうございます。
あご当てを外した跡の補修
前回のブログ「あご当ての締め方」に続きまして、今回もあご当てに関する内容です。
あご当てコルクについて
あご当てには楽器本体を傷つけない為に、クッション材としてコルクが使用されます。
通常使用であればクッションの役割を果たす優秀な存在なのですが…
時と場合により厄介な存在となります。
楽器表面にはニスが塗ってあり、製作者のニスレシピによってはニスが緩みやすいものもあります(欠陥品という訳ではありません)。
また、高温化に放置しすぎてもニスが緩むことがあります。
このような状態であご当てを締め続けていると、クッション材としてのコルクとニスがくっ付いてしまい、あご当てを外した時に楽器本体にコルクが付着したり、ニスが爛れる原因になります。
オールド楽器ではよく見かけますが、あご当ての種類を変えた時などに以前の跡が目立ってしまいます。
画像の楽器は、カウフマン型のあご当てからオーバーテールピースタイプのあご当てに変更したことにより、以前のあご当て跡がハッキリと確認できます。
適切な処理を施していたら、もう少し目立たなく出来ていたかもしれません。
補修事例
今回は珍しいことに、コルクではなく「布」により、ニスに跡が付いてしまった楽器を補修する機会がありました。
おそらく、コルクによるニスへのダメージを考慮してあえて布を挟んだのだと思いますが…
むしろコルクの時より重症になっています。
ニスと布の繊維が融合し、クリーニング程度では布の跡を除去できない状態です。
スクレーパーで表面の繊維除去
このような場合は、まずスクレーパーと呼ばれる道具で表面の繊維を取り除きます。
やりすぎると表面のニスも剥がれてしまうので、注意が必要です。
マイクロメッシュとクリーニングによる仕上げ
手順2つ目にして早速仕上げとなります。
磨ければ何でもよいのですが、マイクロメッシュで表面の凸凹を軽く整えます。
マイクロメッシュを使用するという事はニスを「研磨」するという事なので、布の跡が付いている箇所以外は極力触らないようにしています。
最後にニスをコーティングしたり、アルコールで磨いてあげると見栄えは良くなるのですが…
ニスを緩くする行為なので、即日でお返しする場合は行えません。
(これであご当てを付けたらまた跡が付きます)
なので、専用のクリーニング材で磨く程度で終了となります。
下の画像が補修完了後(スクレーパー処理、マイクロメッシュ磨き、クリーニング仕上げ)の楽器です。
布が付着した状態と比べると、見栄えは良くなったと思います。
最後に
当工房でもご相談いただく機会が多いですが、ご依頼いただければあご当て跡の補修を行えます。
(今回ご紹介したような簡易的な補修でしたら、10分~30分程度で完了します)
しかし、完全に跡を消す訳ではないので、より綺麗に仕上げたいという方は楽器をお預けください。
症状が酷い場合はニスの補修もご提案させていただきます。
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