買い取り楽器調整~リタッチ、ニスコーティング~ 【弦楽器工房ブログ】

皆様、こんにちは。

弦楽器技術スタッフの高瀬です。


最近、暖かくなってきたので小動物用のヒーターを撤去しました。

春になったからもう冬眠の心配はない、、、と思いたいのですが、我が家のハリネズミには前科があります。

去年の夏場、ケージから脱走し、隠れる場所は沢山ある中わざわざエアコン(冷房)が直当たりする部屋と場所へ移動、そして私が帰宅する頃には見事冬眠していました。

温め直したら30分ほどでゆっくりと起き上がり、蜂蜜を与えたら活発になりました。

今は元気に暮らしています。

(当時はとても肝を冷やしました)

小動物を飼育中の皆様、脱走にはお気を付けください。





本日は

■ ニスコーティング

■ ペグ調整

■ 割れ接着

を行わせていただきました。

皆様のご来店、お待ちしております。



本日も買い取り楽器調整の続きとなります。

今回はリタッチ、ニスコーティングについてです。

リタッチ、ニスコーティング

楽器を長年使用していると、演奏時に手が当たる場所のニスが摩耗してしまいます。

特に、

■ 1stポジション時に親指が当たる場所(ネック)

■ 4th以上のポジション移動をした際に親指が当たる場所(ネック)

■ 3rd以上のポジション移動をした際に手のひらが当たる場所(横板、裏板のエッジ)

以上の3点はニスの損傷が多い場所です。

今回の楽器も、まるで見本のように上記3か所にニスの摩耗が見受けられます。

以下の画像を見ていただくと、ニスが摩耗して剥げている場所が分かると思います。

1stポジション時に親指が当たる場所(ネック)

4th以上のポジション移動をした際に親指が当たる場所(ネック)

3rd以上のポジション移動をした際に手のひらが当たる場所(横板、裏板のエッジ)

(エッジ部は少しだけ洗浄してあります)


修理の手順は、まず修理箇所の洗浄を行います。

手汗や汚れが染み込み、生木に浸透して黒くなっている部分を可能な限り綺麗にします。

続いて軽くニスで1度コーティングし(目止めの役割もあります)、乾いてからリタッチを行います。

そしてリタッチ後、ニスを数回コーティングし、表面を整えたら終了となります。

手順はシンプルですが『リタッチ』という色合わせの作業がとても難しく、時間がかかります。

リタッチの方法は大まかに

■ 染料によるリタッチ

■ 顔料によるリタッチ

と2つに分けられます。

(オイルニスか、アルコールニスかの違いもあります)

私は顔料によるリタッチしか行っていません。

理由は単純に、顔料の方が個人的にうまく仕上がりやすいからです。

(染料を使って美しく仕上げる方もいますが、私が染料を使うとどうしても赤色が目立ってしまい、、、どうも苦手です)

小学生の頃に油絵を描いていたからでしょうか、顔料の方が塗り心地が油絵の感覚に近く、塗っていて楽しいです。


リタッチが終わり、ニスコーティングで仕上げた状態が以下の画像です。

上に載せた画像と比較していただければと思います。

今回の楽器、写真で見る以上にテカテカとした透明な質感のニスでしたので、ニスの調合が少々大変でした。

透明な質感か、マットな質感か、下地の反射具合はどんな感じか、、、

場合によってはそれぞれの楽器に合わせてニスを作る必要があります。

今回のようなニスコーティング修理でお客様の楽器をお預かりした場合、(楽器によりますが)ニスの調合時間とニスの乾燥時間を考慮し、最低でも12日以上の期間はいただくことになると思います。

演奏会、本番後のお時間のある時にぜひお預けください。

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この記事を書いたスタッフ

岩田屋福岡店高瀬

弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!

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