変わったビオラの調整Vol.2 ~ストロービオラ~ 【弦楽器工房ブログ】
皆様、こんにちは。
弦楽器技術スタッフの高瀬です。
先日、いつもお世話になっている八百屋さんでキャベツが一玉(大サイズ)39円で売っていたので即購入しました。
安さに感動して後先考えずに購入したものなので、どうしたものかと悩んだ末に回鍋肉へ一玉全て投入しました。
相乗以上の量になったので全く消費出来ず、現在回鍋肉生活4日目です。
あと2日分はあります。
前回(変わったビオラの調整Vol.1)の続きとなります。
音調整とパーツ交換
前回の修理調整に加え、細かな所含め全ての作業が完了しました。
一番時間がかかった調整は『音調整』でして、魂柱が無く駒も特殊な分とても苦労しました…。
音調整~木製駒と金属駒の違い~
前回ご説明しました通り、こちらの楽器には駒が2種類付属しています。
どちらが良いのか悩みましたが、とりあえず試してみないことには何も分かりませんので両方の駒で弦を張ってみました。
最初は試すまでもなく木製駒の方が良さそう…と思っていたのですが、意外なことに金属製駒の方が良い結果となりました。
木製駒の特徴が『響きが少なく、落ち着いた音』に対し、木製駒は『響きが大きく、派手な音』です。
結果だけ見ると木製駒の方が良さそうですが、実際に聞いてみると金属製駒の方が「それっぽい音」が出て大変良いのです。
木製駒は通常のビオラを少し鼻詰まらせたような音が出て、金属製駒はまるで蓄音機のような哀愁のある音がします。
もちろん好みは個人差があるのでどちらが正解という訳ではありませんが、私の好みとしては断然金属製駒です。
また、駒のレール部の位置により細かな音調整が可能でしたので大変助かりました。
調整前は全く鳴らず、ウルフトーンのような症状もあったので不安でしたが、調整後はとても落ち着きましたので一安心です!
ペグとペグボックス
ペグは特に大きな問題は無く、簡単に削り調整するだけでフィッティングが完了しました。
それよりも気になりましたのが、ペグボックスとスクロールの作りです。
見事に貫通しております。
このくり貫きはデザイン性やおしゃれ目的であることは間違いないと思いますが、おそらく『軽量化』の意味合いも少なからずあるのではないかと推測しています。
(通常のビオラより構造上重いので…)
テールピースとあご当て、弦交換
前回ご紹介しました通りあご当ては割れていましたので、新しく交換しています。
また、テールピースも劣化が見受けられたので樹脂製から木製テールピースへ交換しています。
弦はスチール弦が張ってあったのですが、音調整のため色々考えた結果OBLIGATO弦を張っています。
修理・調整完了
修理調整完了後の姿がこちらになります。
(演奏時の撮影モデルは当店の加藤店長です。ご協力ありがとうございました!)
こうしてみると、なかなかインパクトがありますね…!
無事修理が完了となりましたので、今回はこれにて終了となります。
当工房に保管している期間内でしたら弾いていただいて問題ありませんので、もし興味のある方がいらっしゃいましたら高瀬までお声がけください!
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弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!