駒の反り、傾き 【弦楽器工房ブログ】
皆様、こんにちは。
弦楽器技術スタッフの高瀬です。
春も近づき暖かくなった、、、と思ったら、急に大雨で20度を下回る気温になりました。
おかげで小動物用のヒーターを撤去した翌日に、ヒーターを再び取り付けることに。
暖かいヒーターの上でお腹を出して眠るハリネズミが羨ましいです。
本日は
■ 毛替え
■ ペグ調整
■ 駒加工
■ 上ナット加工
を行わせていただきました。
ご来店いただき、ありがとうございます。
駒の反り、傾き
本日ご来店いただいたお客様の楽器がかなり危ない状態でしたので、ご紹介致します。
久し振りに楽器を出したところ、このような状態に、、、
駒が指板側に大きく傾いているのがお分かりいただけますでしょうか。
(倒れるのではないかとビクビクしながら写真を撮りました、、、)
調弦や弦交換の際、駒は弦に引っ張られて少しずつ指板側に傾いていきます。
その都度駒の傾きを直してあげると問題は無いのですが、放置すると画像のようになります。
通常はここまで傾くと倒れてしまいますが、弦の張力のおかげで奇跡的に踏みとどまっていたようです。
そしてこちらの駒、傾いているだけではなく、駒全体が指板側に反っています。
どういう事かといいますと、要するに駒の上半分が『曲がっている』ということです。
少しわかりにくいかもしれませんが、反っている駒(左)と正常な駒(右)を並べてみました。
左の駒の上部は左側に曲がっています。
(向かい合わせに並べている訳ではありません)
こうなってしまうと、場合によっては駒交換が必要になります。
寸法が正常で、少しの加工で問題ない場合は『熱曲げ矯正』で正常な状態へ戻せます。
今回は熱曲げ矯正で修理しました。
駒に水分を含ませると曲がりやすくなるので、水を含んだ柔らかい状態の内に専用の道具で反りを直します。
熱曲げ矯正をし、その他加工(駒の足合わせ、厚み調整、弦溝調整、駒革貼り付け)が完了するとこのようになります。
テールピース方向に対して、ほぼ直角に駒が立っています。
これが正常な状態です。
一定の厚みがある、木の繊維が真っ直ぐ(あるいはテールピース側に向いている)、駒が十分に乾燥している、、、
以上の条件を満たしていれば何年も使える丈夫な駒になりますが、それだけではどうしても反ってしまうことがあります。
弦交換・調弦の際に、確認するだけでも良いので、駒の傾きと反りを見てください。
少しでも変化があると思ったら、その都度直していただかないと日に日に反り癖が付いてしまいます。
ご自身で直せない場合は工房へご相談ください。
反り直しの方法をお教えし、反りの修正をさせていただきます。
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弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!