皆様、こんにちは。
弦楽器技術スタッフの高瀬です。

この前、あまりにもご飯を作るのが億劫でしたので、昔からやってみたかった「缶詰パーティー(おかずが缶詰のみ)」を我が家で開催致しました。
普段食べないような缶詰から定番物含めて5種類ほど用意しましたが、最近の缶詰はどれも美味しいです。
しかもコンビーフ、オイルサーディンは焼くと滅法美味しくなります。
個人的に優勝した缶詰は、安定の鯖の味噌煮です(メーカーは忘れてしまいました)。
ご飯によく合います。

フロッグ修理

今回ご紹介する内容は、弓の「フロッグ」と呼ばれるパーツの修理についてです。
お客様から弓をお預かりした時に気付いたのですが、フロッグのスライド部(弓との接触面)とその近辺がかなり損傷しています。
お客様の情報だとどうやら以前から損傷があったらしく、他の工房で修理に出した際に接着剤を流し込まれてしまったとか…

修理前の状態

修理前の状態がこちらです。

分かりやすいように「アンダースライド」と呼ばれる金属パーツを取り外しているので、大きな割れと損傷が確認できると思います。
また、大きな割れに見える所は接着剤が詰まっていたので溶剤で除去してあります(要するに以前の職人さんは接着剤をパテ埋めの要領で使用していたと推測されます)。
軽症ならば接着剤を用いて綺麗に接着も出来ますが、ここまで酷いと簡易修理は行えません。
なので、今回は損傷のある部位を削り、新しく黒檀材を接着する「継ぎ足し修理」を行います。

フロッグ継ぎ足し修理

1.ヒールプレート取り外し

まずはヒールプレートを綺麗に取り外します。
ヒールプレートは接着剤と金属ピンで固定されているので、形を変形させないように慎重に作業を行います。

無事に外せました。
あっさりと書いてますが、取り外しに1時間程苦戦しておりました。
外したヒールプレートも特に損傷は無いので、修理完了後に再利用します。

2.スライド部、継ぎ足し材の平面出し

続いて、スライド部(接着面)と継ぎ足し材の平面出しを行います。

作業精度が甘いと後々接着面が剥がれやすくなるので、僅かな狂いも許さずに平面を出します。
(鉋刃の研ぎだけで3時間費やした記憶があります…)

3.継ぎ足し材接着

平面出し後、フロッグと継ぎ足し材を接着します。
今回は強固な接着、耐水性が欲しいので膠は使用しません。
演奏時の馬毛にかかるテンションに耐え、手から滲む汗にも耐えなければならないので、特殊な接着剤を使用しました。

この状態で1晩以上放置します。

4.ヒールプレート部の削り加工

接着後、この段階でヒールプレート部の加工を行います。
バイスで固定し、ヒールプレートを入れるための溝を鑿で広げていきます。

ある程度削り終えたら、実際にヒールプレートを仮組してみます。

問題無さそうです。

5.スライド部のレール削り

この工程が一番難しいかもしれません。

弓と接触するスライドのレール部成型を行うのですが、僅かにズレただけで完成後に支障をきたしてしまいます。
なので、フロッグの中心線を常に出しながら寸分狂うことなく鑿と鑢でレールを削る必要があります。

全ての面で平面が出ていること、中心線からズレていないかの確認をしてこの作業は完了です。
※完了後の写真撮影を忘れてしまいましたので、こちらの写真は完了2歩手前付近の状態となります

6.アンダースライドの接着

残り2工程です。
最初に取り外したアンダースライドを、スライド部の成型を終えたフロッグに再接着します。

スライド部とアンダースライドを完全に接着できるように、黒檀で接着用冶具を製作しています。
(写真だと分かりにくいですね…)

7.仕上げ

あとは、継ぎ足し部の黒檀をオリジナルのフロッグに対して違和感無いように削れば修理完了となります。

オリジナルを傷付けないように加工するので集中力が必要ですが、やはりこの作業が一番楽しいですね…!

Before After

それでは、修理のBefore Afterです。

Before

After

お渡し前の状態で撮影しましたので、所々に研磨剤の残骸(黒っぽい塊)が付着していたり、細かい所の加工がちょっと不十分です。
毛替え後に細部まで整え、お客様にお渡し後「あ、写真撮り忘れた…」と毎度お馴染みな感じでやらかしてしまいました。
なので中途半端なBefore Afterになってしまいましたこと、ご容赦ください…
この後毛替えを行い、実際に動作確認も行いましたが問題はありませんでした。
中心線がズレていたらどうしよう…もしズレていたら作り直し…と毛替え中は気が気ではありませんでしたが、念入りに確認していたお陰で中心線もブレていませんでした。
一安心です。

記事中に表示価格・販売価格、在庫状況が掲載されている場合、その価格・在庫状況は記事更新時点のものとなります。
店頭での価格表記・税表記・在庫状況と異なる場合がございますので、ご注意下さい。

この記事を書いたスタッフ

マークイズ福岡ももち店高瀬

弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!

マークイズ福岡ももち店の店舗情報

このスタッフの記事をみる

関連記事

コントラバス弓毛替え(黒毛&白毛ミックス)

弦楽器リペアだより11月号

シマムラストリングス秋葉原髙田

1日で出来る音の変え方 5つのこと ~テールピースによる変化編~ 【弦楽器工房ブログ】

マークイズ福岡ももち店高瀬

あご当てとテールピースの接触~コルク交換~ 【弦楽器工房ブログ】

マークイズ福岡ももち店高瀬

【マイスター工房通信】虫食いによる弓の毛切れ

シマムラストリングス秋葉原渡邉

楽器ケース修理~持ち手を畳縁にしてみました~ 【弦楽器工房ブログ】

マークイズ福岡ももち店高瀬

肩当スポンジの取り付け【弦楽器工房ブログ】

マークイズ福岡ももち店高瀬

【3月8日更新】弦楽器リペアだより 3月号

シマムラストリングス秋葉原髙田

楽器ケースの修繕

【弦楽器工房ブログ】楽器ケース修理 

マークイズ福岡ももち店高瀬

サイレントヴァイオリンの調整 【弦楽器工房ブログ】

マークイズ福岡ももち店高瀬

剥がれ修理 【弦楽器工房ブログ】

マークイズ福岡ももち店高瀬