【マイスター工房通信】スクロールグラフト≪前編≫
皆様こんにちは!シマムラストリングス秋葉原の森貝です。
じめじめとしたお天気が続いていましたが、ここ数日はそんな中でも気持ちのいい青空の日があったりでようやく夏本番!といった感じが出てきましたね!
さて、今回はペグボックスの修理についてご紹介いたします。
ペグボックス割れ修理
こちらの楽器ですが、ペグブッシングに継ぎネック…過去にも何度か修理した形跡が見られます。割れ修理もされていたようなのですが、その割れた部分がまた開いてきてしまっていました。
ペグボックスの割れ修理の方法は様々ありますが、マイスターに相談したところ、この楽器に関しては修理痕が多く、また、割れも貫通していたため、「スクロールを移植しましょう」ということに。
…スクロールを移植……???
スクロールグラフト(移植)
要は、継ぎネックの派生形のようなもので、スクロールの部分だけオリジナルを残して、ネックを作り替えてしまおう!という修理です。手順は簡単。新しく作り変えるネックにオリジナルのスクロールを張り付ける!それだけです!(言葉でいうだけは簡単なんですよね…)
ネック用の角材を加工します。
(作業に夢中で加工した写真を撮り忘れました…↑これはお手本の写真)
そして移植する部分のスクロールを丁寧に切り出し…
(このあと余分な部分は削ります)
そのまま膠で接着するだけでは強度的に心配なので、間にピンを打ち込みます。
(ここでやっと写真を撮ってないことに気づいて慌てていろいろ写真に収めました)
太さは今回直径3.5mmで作成。
長さ調整をして…
膠で接着です。
移植完了!!
そしてこの後は余分な部分を削いで、ネックの形に仕上げていきます。
次回後編ではこの後ボディに差し込むところまでご紹介できればと思います。
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青森県出身の森貝(もりかい)です!演奏楽器はチェロです。販売員としても、技術者としてもお客様のご要望にお応えできるよう全力でサポートいたします!