【弦楽器工房ブログ】弓のスクリュー調整
皆様、こんにちは。
弦楽器技術スタッフの高瀬です。
我が家のハリネズミはケージから外に出すと、基本的には私の足元に寄ってきます。
立ってその場を離れる時も足元まで付いてきます。
飼い主を覚えてくれたのだと感動して抱き上げると、狂ったかのように暴れて鬼の形相で小指に嚙みつきます(なぜか針は立てません)。
血は出ませんが、ペンチでつままれたような感覚なので割と痛いです。
本日は毛替えの実験2回目を実施予定でしたが、2日連続(今月累計4件)で弓のスクリュー調整の依頼がありましたので、弓のスクリュー調整について書いていきます。
弓のスクリュー調整に来店されるお客様のほとんどは
■スクリューの回りが渋い
■スクリューが回らない
■スクリューが空回りする
大体、これらの症状に当てはまります。
回りが渋い時には、1度スクリューを抜きとり、蠟燭をネジ溝に塗るとほとんどの場合改善します。
しかしそれでも改善しないことも稀にあります。
その場合、スクリューの角度、弓溝の深さ、アンダースライドの凹凸、雌ネジの角度と高さ、ボタンと弓の接地面の形状等、考えられる問題点を全て確認・修正します。
(製作段階の寸法ミス、使用に伴う経年変化、衝撃による変形など様々な要因が考えられます)
スクリューが回らない場合は、無理に回すと破損する可能性があるので、工房にお持ちください。
スクリューの錆や、乾燥による毛の張りすぎによるものが大半です。
慎重に外して錆を落とし、加工すれば改善します。
張りすぎが原因の場合は毛替えを行います。
スクリューが空回りする場合、スクリューとボタンが外れかけている可能性があります。
先日ご来店いただいたお客様もスクリューとボタンが外れていました。
通常はボタン部の穴埋めを行い、スクリューを入れ直す作業を行うのですが、、、
残念ながらボタン全体に亀裂がありました。
穴埋めしたところで耐久度に問題ありと判断し、今回はボタンを新しく交換することに。
空回りとは少し異なりますが、アンダースライドと弓の接地面にガタつきがあったり異物が紛れることにより、何度緩めてもフロッグがある1点より動かない、という症状もあります。
その場合、ある程度スクリューを緩めた状態からフロッグを掴み、フロッグ全体を革巻き側に押し出して緩める力技もありますので、緊急時にお試しください。
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弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!