キィが動かない!音が切り替わらない!

こんにちは!
杉浦です。

今回は「まさかそんなところ?」な、ある部分をご紹介します。

一見、普通のフルート...?

まずはこちらをご覧ください。
フルートの主管(又は胴部管)です。

この楽器に、何が起こっているかわかりますか?
さすがにこれだけでは超難問です。

少しだけ角度を変えてみましょう。

フルート吹きさんはピンと来たはず!
ヒントはキィ(指で押さえるパーツ)に注目です!

正解は...

こちらです!
こちらは、右手人さし指で押さえるキィの、ひとつお隣り。
普段はずっと開いていて、右手キィの動きに連動して閉じる場所です。
しかし、指で押さえてもいないのに、なぜか閉じていて、持ち上がりません。

こうなると音孔(管体に開いた穴)を正しく塞げないので、演奏できませんね。

原因は?

開いているキィが閉じたままになるには、考えられる原因がいくつかありますが、今回の楽器には「ある」原因がありました。

右手のキィに近寄ると...

キィとキィの切れ目に茶色い線が見えます。

この部分にサビが溜まっているのです!
(実際は写真以上にはっきりとサビが見えます。)


こーーーーんなに狭い隙間にサビが溜まるの?!
そうなんです。
さらに分解してみると...
(ご自身での分解は危険ですので、リペアマンにお任せください。)

あらら...キィを止めているネジも錆びています。
これだけ錆びていたら、キィの動きが悪くなるのも納得です。

ちなみに、右手キィのすぐ後ろにあるトリルキィにも、サビが見受けられました。

サビを取り除いて動きをスッキリさせよう!

それでは原因が分かったので、お直ししましょう!
こちらも特殊工具を使っての作業になりますので、リペアマンにお任せください。

まずはトリルキィから

キィを管体から外します。
こちらがトリルキィの全貌です。(長いなぁ...)

サビはキィとキィの隙間に発生しているので

なんと!
更にキィ同士を分解しちゃいます!
これでお掃除がしやすくなる!
キィの中には、パイプが入っているんですね~。
なるほどなるほど。

キィの内側と側面(隣のキィが接地する面)をお掃除したり、パイプの表面に付いたサビを、慎重に落としていくと...

サビと汚れがこんなについていたの?!
茶色がサビで、黒色が汚れです。
分解する前は、トリルキィに異常を感じていませんでしたが、動きが悪くなる一歩手前だったのですね。
それでもこの汚れ具合!

念入りにお掃除を行い、オイルを充填し、もう一度キィを組み付けると...

お掃除前に見えていた、茶色い汚れが消えましたね!
これならスルスル動きそう!

他のキィも確認

こうなってくると、今後他のキィも動きが悪くなるかもしれない...
ということで、お直しします!

こちらは、左手の中指で押さえるキィです。

分解

お掃除

組み立て

はい!キレイになりました!

どうなる?右手のキィ

ラストを飾るのは、最初にお見せした、右手キィの処置です。
他のキィと同じ処置を行い...ません!
思い切ってキィごと交換します!

というのも、今回の場合は以前から何度も同じ症状を繰り返していました。
ですので、キィが動かなくなる度にサビを落とし、大きな負担がかかっていました。
また、既にサビがパイプの奥深くまで根をはっていて、落としきれない程でした。

ですので交換!

新品パーツと比べると、汚れの溜まり具合がよく分かりますね。
キィの中に入っているタンポ(黄色のパーツ)もキィ同様に交換します。
他のキィもお掃除が一通り終わったら、オイルを注しながら組み立てます。

キィは元通りになった?

組み立てた楽器をもう一度確認してみると...

キィがきちんと持ち上がっていますね!
右手キィを動かしてみてもしっかりと連動してます。
他のキィの動きもすこぶる良好!
これで音がきちんと出せるようになり、演奏できる準備が整いました♪

サビが付きやすくなる、やりがちな持ち方

では、なぜこんなに狭い隙間にサビが発生するのでしょうか?

皆さん、このようにキィの部分を握っていませんか?
こういう時に手の平の汗や水分が、キィに付着します。
(汗の力ってすごいんですね)
もちろん、すぐにサビつくわけではありませんが、毎日の積み重ねが重要ですので、今一度ご確認ください!

楽器を持つ時は、キィがない筒の部分を持つのが安全ですね。


そして、演奏後は必ずキレイなクロスで拭き上げしましょう!
水分や手汗が楽器に残っていると、汚れを引き付けやすいです。

拭き上手さんはいい事ばかりですよ
拭き上手の記事はこちら
フルートの拭き(吹き)上手?

動きの悪さを発見したら?

もし、ご自身の楽器で動作不良を見つけたら、修理に出しましょう。
動作不良はサビの他にも様々な原因が考えられますので、正しくお直ししましょう!

今回の修理は、サビを落とす為のノックピン分解と右手キィとタンポの交換、全体調整でした。

修理・調整代 24,170円(税込・送料別)

※修理費用は同じ症例でも楽器の種類や形状・仕様によって異なる場合があります。
ご不明な点はお近くの島村楽器にぜひともご相談ください。

楽器調整をしましょう!

楽器は生き物!季節や気候の移り変わりで敏感に変化し続けます。
まずは軽く、楽器の健康診断なんていかがでしょうか?
楽器の主治医である技術スタッフが現在の状態をお伝えいたします。
健康診断及びお見積もりは無料ですのでお気軽にお越しくださいませ。

事前にお電話で楽器の種類・メーカー・型番・依頼内容やお困りな事などお知らせ下さい。
急なご来店でも勿論大歓迎です。ご来店お待ちしております。

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この記事を書いたスタッフ

管リペアセンター杉浦

中高6年間をトランペットとコルネットの二刀流で部活漬けの毎日を過ごしてきました!全国の皆様からのご依頼、心よりお待ちしております!

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