図解でわかる!~塗装編~

皆さんは【塗装】と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?
今回はギターやベースの塗装に着目して図解していきます。


塗装のイメージ

塗装は一枚岩じゃないって知ってましたか?
実は役割別に層が分かれているんです。

土台になるのは木材

ツヤツヤの塗膜下にあるのは木材。

木材をよーく見ると導管やら節やら小さな凹凸が沢山ある事に気づくと思います。
図にするとこんな感じでしょうか...。

こんな凸凹だらけの木材をツヤツヤに仕上げるまでを見ていきましょう。

①下塗り

塗装を行うための塗装、下塗りで下地を作っていきます。
下塗りは大まかに2工程に分けられます。

まずは脂(ヤニ)止めを行います。
木材に塗料を浸透させることで木材に含まれる油分=脂(ヤニ)が染み出る事を防ぐと同時に、塗料が木材に浸透する事を防止します。

そして更に目止めを行い、導管や節、ヒビ等の凹凸を埋めていきます。

※導管が小さく目立たないメイプル等の木材では目止め工程を行わない場合もあります。

②中塗り

一見、目止めにより表面が平らになったように見えますが、よくよく見るとこんな感じで微妙な凹凸が残っています。

そこで中塗りを行います。
サンディングシーラーと呼ばれる塗料で肉付けしていきます。

一度の塗装で吹ける量の塗膜ではとても薄いので、何度も塗り重ねて塗膜に厚みを出していきます。

ある程度、塗膜に厚みが出来たら研磨(サンディング)を行い、面を出します。

サンディング工程を経る事でフラットな面を生み出しています。
ちなみにこの研磨工程では面を出しつつも細かなキズを意図的に残した状態にしています。

なぜ?

次の塗装の食いつきを良くする為です。
ツルツルの面に塗装を吹いてしまうと塗膜同士が食いつかず剥離の原因になってしまうのです。
このため、既存の塗装に新しい塗装を吹き重ねる時は下処理として塗面に敢えて細かなキズをつけます。

面が出たら次の工程へ・・・

③着色

ナチュラルカラーもカッコイイですが、色を付けて個性を出していくのもイイですよね!
単色の塗装だとこんな感じ

サンバースト等のグラデーションカラーの場合、下地色を吹いた上から、バーストカラーに該当する濃い色を吹き重ねます。
グラデーション部分は塗料の量を調整して生み出されています。
グラデーション部分はこんな感じのイメージです。


ちなみにナチュラルカラーの場合、この着色工程はスキップされます。

もう終わり?いいえ、最終工程が残っています。

④上塗り

一般的に言うトップコートを塗布する事で先程行った着色(中塗り)層を保護していきます。

こちらも中塗りと同様に一度に吹ける塗装の量では厚みが薄く弱いので、何度も塗装を吹き重ねて厚さを出していきます。

十分な厚みが出来たら表面を研磨します。

この研磨では塗装工程上で生じた凹凸を取り除きつつ、研磨により生じた傷を可能な限り細かくしていきます。

グロス仕上げの場合、研磨後にバフを行い、細かなキズをより細かく、滑らかに均していく事で艶を出します。

塗装の層を振り返る

そんなわけで塗装の断面はこんな感じになっているのです。

もちろん、製品の仕様によって着色工程が目止めに位置していたり、上塗り工程の研磨後に艶消し塗料を吹いて仕上げたりと様々ですが、大枠はこんな風に層を重ねる事で出来ています。

カスタマイズ目的のリフィニッシュであれば、既存の塗装を剥がして、木材表面の研磨を行った後、下塗りからスタートするケースが多いです。
塗膜の厚みを気にしない、元の色を活かして上から別カラーを入れたい、という要望であれば、既存の塗装を中塗り扱いして上から吹き重ねるケースもあります。

よくあるサインコーティングなどは上塗り工程に該当します。

最後に

色々と工程を分けている塗装。いかがでしたでしょうか?

実際には合間合間に乾燥期間を設けたり、研磨をしたりと、細々したポイントが詰まっています...が、この辺りは技術者の秘密ということで...。

塗装に於ける大まかな流れを知ってもらえましたら幸いです!


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この記事を書いたスタッフ

浅草橋ギター&リペア店中野

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