こんにちは!
Wind&Repairの杉浦です。
2回にわたってお送りする木製管体割れの後編です!
前編では管体が割れる原因・対策についてお話いたしました。
前回の記事はこちらをご覧ください⇒木製管体割れ 前編
後編では修理の様子を写真と共にお伝えいたします。
何度もお伝えしますが割れが自然に直ることはありません!
割れが無くなった場合、木の収縮により見えづらくなったと考えて良いでしょう。
割れを発見したら、必ず楽器屋さんでお直ししましょう。
割れの確認
今回はグラナディラ材のクラリネットを、見ていきましょう。
まずは割れの確認です。
割れ方によって必要な処置が変わるので、どの部分にどれだけの長さがあるのか、よーく確認します。
発見...(涙)
割れ発見!!
残念なことに割れが見つかりました...。
やはり割れたのは息がよく通る上管ですね。
約2.5センチ、そして音孔(管体に開いた穴)も割れています。
これではタンポで音孔を押さえても息が漏れてしまいますね。
いざ割れへアプローチ!
まずは木が収縮している可能性があるので、適切に処置を行えるよう時間をかけて少しずつ、楽器の状態を整えます。
それでは割れめがけて接着剤を!!!
割れの奥深くまで届くようにしっかりと差します。
割れ以外の部分に接着剤がつくと大変なことになってしまいますので、工夫して慎重に作業します。
ちなみに表面が少々ザラザラしている様に見えますが、これは接着剤に粉末状のグラナディラを混ぜているからです。
祈り
接着剤が乾くまでは、割れないようにお祈りをして待ちます。
どうかご無事で...。
(※この作業には個人差があります)
接着剤が乾いたら表面を整えます。
音孔部分も元の形になるように削り、新しい音孔にあわせてタンポを交換します。
これで完成です!
完成
いかがでしょうか?
割れていた部分に接着剤が充填されて亀裂がなくなっていますね。
このようにして割れた部分を埋めるのが割れ修理です。
修理したその後
楽器が直って戻ってくると嬉しいですよね!
ですがそれで終わってはいけませんよ!
1度割れた部分は修理をしても、木に割れ癖がついていますので再発しやすい状態です。
例えてみると
割れ修理をした楽器は、破れた紙をテープで止めている状態と同じです。
完全に1本の木に戻った訳ではなく、接着剤で補強するに留まります。
ですので木の伸び縮みが激しいと割れてしまいます。
修理した後は今まで以上にケアが必要になってきますので、前編でお伝えした4つの極意を確実にこなしていきましょう!
修理・調整代
今回は音孔2ヶ所を含めた割れ修理・それに伴うタンポの交換2ヶ所でした。
修理・調整代 | 6,409円(税込・送料なし) |
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修理費用は同じ症例でも楽器の種類や形状・仕様によって異なる場合があります。
ご不明な点はお近くの島村楽器にぜひともご相談ください。
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