こんにちは!
Wind&Repairの杉浦です。
まだまだ寒い日が続きますね。
私は冷え性ですので、外出する時はありとあらゆる防寒対策をして家を出ますが...

それでも寒い!!!!

今回は寒い季節に要注意、木製楽器の割れについて2回にわたってお送りいたします。

割れてる?割れていない?

まずはクイズです

下の3枚の写真のうち、管体が割れているのはどれでしょうか?

正解は...

3枚全て割れています!
な、な、なんということでしょう...

矢印の部分が割れです。
確かに、よく見ると木目ではない亀裂が見えますが、普段なら見逃してしまいそうですね。
このように木目に沿って割れることが多いので、日頃からよく観察して変化に気付くことが大切です。

なぜ割れてしまうのでしょうか?

木材の特徴

木製楽器に使用される素材は、グラナディラ・ローズウッド・メープル(楓)・木材に似せた合成樹脂など様々です。
今回は1番多く使われる「グラナディラ」でみていきます。

グラナディラ

グラナディラはクラリネット・オーボエ・フルート・ピッコロ等に使用される黒っぽい色の木材です。
先程の割れている管体もグラナディラです。

グラナディラはとても硬く、加工するには金属と同じ方法をとるほど!
柔らかくてぐにゃぐにゃの楽器は恐ろしいですもんね。
密度も高く重さもあるので、水に入れると沈みます。
(楽器で試したことはありませんのでご安心を!)

ちなみにファゴットはグラナディラよりも軽いメープル等の木材で作られています。

そんな硬いグラナディラですが、やはり木材ですので温度や湿度により伸び縮みします。

冷えて乾燥すると収縮し、高温多湿になると膨張する性質があります。

演奏後に管が抜けなくなった経験のある方!

木の膨張が原因かもしれませんよ!

割れの原因は?

木が割れる原因は様々です。

当然、楽器を落としたりぶつけると割れますが、実は1番多い原因は楽器に息を吹き込むことで起こります。

しかも今の季節がピーク。

どうして?!

実は、先程の木の伸び縮みが大きく関わっているのです!

練習風景を思い出してみましょう。

寒い日にケースから出した楽器が冷たくて驚いたことはありませんか?

これは冷えて木が収縮した状態です。

ではこの状態で息を吐き込むとどうなるでしょう?

楽器に入る空気は外気に比べてとても温かく湿っています。

温かい空気が入ると管内に結露(水滴)が発生し、内側だけが高温多湿になって木が膨らもうとします。

一方、外側は冷たいので縮んだままです。

この正反対の現象が管体の内と外で同時に起こり、変化に耐えきれなくなった結果、割れてしまうのです。

割れが冬場に起こりやすいのも納得ですね。

しかも残念なことに割れが自然に直ることはありません!

割れが無くなった場合、木の収縮で見えづらくなったと考えて良いでしょう。

そして、演奏する度に割れが広がり...考えただけで恐ろしい!!!


割れのリスクを減らす4つの極意

冬場は楽器が吹けない?!とお考えの皆さん、安心してください!

木材の性質を理解して使えば、割れのリスクを減らすことができます!

その極意がこちら!

①楽器を温める

ケースから出したらまず、冷えた楽器を温めましょう。

クラリネット・オーボエ…バレル(タル)や上管

フルート…頭部管と主管(胴部管)

口元に近い管体を中心に、手の温度を利用して温めます。

キィ部分は誤って曲げないように優しく包んで下さい。

状況にもよりますが3~5分。室温に馴染んだら、ゆっくり息を吹き込んでいきます。

ストーブやエアコンの風を直接当てると、急激な変化を引き起こすので絶対にやってはいけません!

②こまめにスワブとクリーニングぺーパーを使う

水分は楽器にとても負担をかけます。

まずは吹き始めて5分以内に1度スワブを通しましょう。

たった5分、されど5分。想像以上に水分がつきます。

その後も10分~15分ごとにスワブとペーパーを使いながらお手入れして下さい。

やりすぎ?と思う位がちょうどいい!

③演奏後のお手入れ

演奏後も水分をしっかり取りましょう。

ケースの中に濡れたスワブを入れるのはNG。

スワブの水分でケース内が蒸し風呂状態になってしまいます。

ケースの外ポケット、またはお手入れポーチに入れましょう。

その代わりに、ケース内には楽器用の湿度調整剤を入れましょう。

残った水分を吸収し、ケース内を最適な湿度に保ってくれます。

④保管環境も大切

・暖房の効いた部屋から冷えた廊下に出る

・練習後は楽器庫で保管している

・使わなくなって長年押し入れで眠っていた

こんな時、楽器は過酷な状況に置かれています。

人も同じ状況だと辛いですよね?

楽器は人と同じ気候を好むので、なるべく人のいる部屋で保管するのが良いでしょう。

また、急激な温度変化を避けるため、移動時は楽器をケースにしまいましょう。


【それでも割れることはある...】

天然素材ですので「絶対割れない」とは言いきれません。

冬場だけでなく夏場に割れることもあります。

そのままにせず、すぐに楽器屋さんに相談しましょう。

適切な処置を施せば、楽器も奏者もストレスなく演奏できますよ。

後編では割れ修理の様子をお伝えします。


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この記事を書いたスタッフ

管リペアセンター杉浦

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