タンポが突然迷子に…

こんにちは!杉浦です!

皆様!
新年明けましておめでとうございます!!
今年もよろしくお願い致します!!

早速ですが年始1回目のブログ
はりきっていきましょう~!!!


今日の主役は
ブログ初登場のオーボエ様です!
オーボエ吹きの皆さん
こんにちはーーー!!(2回目)

ってベルだけかい!!!

オーボエの美しい全体像は
各メーカーHPをご覧下さい!
(全体を撮り忘れました...)


あれはまだ空が青い夏のこと…

違います、真冬の激寒い日でした。


修理見積を出すために
各パーツを細かく見ている時でした。

タンポが穴を塞いでいるか
確認してる途中です。
キィを持ち上げたその瞬間

タンポ外れてるじゃん!!


よく観察してみる

キィを外して見てみると

ずいぶんキレイにとれてるなっ。


キィカップ(お皿)の内側にある溝は
接着力を上げるための溝です。

他にも同じ場所がありましたね。
こんなこともあるのか~ピッコロ編~


強力にくっつけてもタンポが外れるのは
接着剤の劣化が原因です。


外れたワケを解説

まず、上の写真で見える
茶色いのが接着剤です。
私たちはラックと呼びます。


今回のオーボエには
茶色いラックが使われていますが
他の色もあります↓↓↓

タンポには一般的な接着剤(瞬間接着剤etc.)
ではなく特殊なラックを使います。


実はこの接着剤たち

温めると↓↓↓

↓↓↓

ビヨーーーーーーン!!!

伸びるんです!!!
(伸びてるの伝われ)
(1人で写真撮るの大変...)


そして冷めると固まります。
あれですね、お手紙の封をする
シーリングスタンプと似ています!
もちろん、あちらは楽器には使えません!


この温めると柔らかくなり
冷えると固まる性質を利用して
タンポが音孔(穴)を塞げるよう
角度調整をします。


がしかし!
あいにく、ラックも消耗品です。
古くなると伸びなくなり
接着剤としての役目を終え
突然タンポが外れてしまうんです。

ひぇ~…恐ろしいっ。


ビニールテープも最初は良く伸びますが
使い古してくるとカチカチになって
粘着力もなくなりますよね?
あれと同じです。

もちろん、タンポ外れの原因はこれだけではありません。
他の事例が出てくればご紹介しますね!



見た目が全てじゃないのよ

ではお客様の楽器に話を戻して…
先程の話から、カッチカチラックを見て
長ーーーく調整していないのでは?
と予想。


よくよく話を聞くと
10年は何もせず押し入れの奥底に
眠らせていたそうです。

眠れる押し入れのオーボエ姫~!!!


ふむふむ、やはり年数を考えると
ラックの劣化で間違いないと思います!


ということは…

ここからがリペアマン杉浦の推理!


「1ヶ所こんなんだと、他のも外れるぞ」


消耗品ですので10年も経てば劣化します。
付いているように見えても
外れるかけているだけかもしれません。

ということで!
見積時に外れていたのは1つだけでしたが

「まだまだ外れてくると思うので
 15個くらい交換になります!」

と、事情を説明して多めに見積をしました!
(このオーボエのタンポの数は23個です)


え、見た目は普通なのに?


他のタンポは無事か

だいぶ攻めの見積でしたが
お客様にご了承を得て修理に入ります!


一見、付いているように見えますが…


キィをすべて分解し
他に外れ(かかっ)ているタンポがないか
そーっと触ってみると…↓↓↓

あら

あらあら

あらあら...(×タンポの数だけ)

やっぱりーーーーー!!!
どれもラックがカッチカチ!!!
触れるだけで外れちゃいました。


ということで、

でででん!!!
23個のうち、最終的には13個のタンポが
すぐに外れてしまいました。

もし、演奏中に外れてしまったら…
演奏前に発見できたのが幸いでした。


ラックはキィカップの中にあるので
皆さんが見ることは滅多にないですが
こうやっていろんな手がかりによって
楽器の状態を推理するのです!


結果、多めに見積して正解でした!
よっ!さすがリペアマン!
(自分で褒めていくスタイル)



外れたタンポはまた使えるの?

ちなみに、タンポには轍(わだち)と呼ばれる
管体に空いた穴の溝が付きます。

1度カップから外れてしまうと
轍を100%元の位置に戻すのが難しく
溝がズレて息漏れしてしまうので
必ず交換します。


LET'S 調整♪

それでは新しいタンポへ交換しましょう!


新しいタンポを用意して

(上が新しいタンポ、下が外れたタンポ)
新しいラックをつけてはめ込み↓↓↓

管体穴が360°全面塞がるよう角度調整×13
他のタンポも角度調整&バランス調整…


あ、眠っていたということは
ジョイントコルクも交換ですね!↓↓↓
コルクは生きているか


完成!

できましたーーーー!!!
カップにタンポがくっついています!!!!
これで演奏できますね!!!!
(全体像は撮り忘れました…)


注意すべき楽器たち

管楽器を愛する皆さーーん!
ラックを使っているのは
オーボエだけではありませんよ!


  • フルート
  • ピッコロ
  • クラリネット(全音域の皆様)
  • サックス(全音域の皆様)
  • ファゴット

のタンポたち。

そして
金管楽器のウォーターキィコルク
ラックで付いている場合があります。

その方たちも状況にもよりますが
長期間調整していない場合は
劣化黄色信号です。

練習前に必ず調整に出しましょう!


見えないけど大事

ラックは見た目じゃ分からないけど
とても大事な部分ですね。

安心・快適な演奏には
定期的なメンテナンスが必要です。

楽器の調子を整えてあげましょう!


今回の調整はタンポ交換13ヶ所と
全体バランス・タンポ調整と
ジョイントコルク交換でした。

修理・調整代 税込35,900円(パーツ代・送料別)

※パーツ代はメーカー・モデルにより異なります。

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この記事を書いたスタッフ

管リペアセンター杉浦

中高6年間をトランペットとコルネットの二刀流で部活漬けの毎日を過ごしてきました!全国の皆様からのご依頼、心よりお待ちしております!

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