見えない支配者、ラッカー

こんにちは!杉浦です!


今回は、塗装についてです!



以前、メッキ塗装については
何度か取り上げました。

詳細はこちら↓↓↓

広島店のリペアガールも
衝撃の実験をしてますよ↓↓↓


そして今日は、もう一つの塗装。
ラッカー塗装で良い事例があったので
楽器を見ながらお話しますね!



ラッカーの概要おさらい

まずは、ラッカーについて簡単に説明を。

ラッカーとは樹脂による表面塗装です。

ほとんどの管楽器は、地金の上に
塗装がかかっています。

ラッカーとメッキの大きな違いは
塗装が樹脂か金属か、なのです↓↓↓

メッキと比べて、ラッカーはやわらかく
音色もやわらかい・明るい傾向にあります。

カタログを見ると、「仕上げ」の部分に
ラッカーやメッキと、記載があります。

ご自身の楽器の塗装が知りたい方は
確認してみてください!



ラッカーが見えた?

では本題へ。本日の楽器です。
最近、こんな修理がありました。

トランペットのベルふちめくれです。

ふちめくれの折れ線に沿って
真っすぐラインが入っています。


よーーーーく見て下さい。
いつものめくれと違いませんか?

実はこの折れ線(矢印)は
ラッカーが地金から浮いているのです!
剥がれています!

皆さん、これがラッカーですよ~!


本来、地金に定着しているラッカーが
剥がれる程の強い衝撃で、めくれました。

傷んでなくても剥がれるんだなー。
と実感しました。



ベルふちめくれを直そう!

それでは、ふちのめくれを直します!
修理は、いつも通りです。

過去のベルめくれ修理はこちら↓↓↓

工具でゴリゴリ…トントン…



完成!

出来ました!

あれ?形は戻ったけど…
ラッカーが浮いた部分は
完全に剥がれています

ラッカーはどうなるの?



ラッカーが無いと…

では、ラッカーの有無で
どんな特徴があるかご説明します。

まず、音色に違いがでます。
ラッカーが無いと、振動が制限されない
非常にブライトな音になります。



そしてもう一つが、見た目
管楽器は、殆どのモデルが
鏡面仕上げとなっています。

ツルツルピカピカで
自分の顔が反射しますよね。

これはラッカーのおかげかもしれません。

こちらをご覧ください。↓↓↓

これは以前に紹介したパーツです。

一見、ツルピカでキレイですが
実は、アンラッカー仕上げ
(ラッカー無し)です。


というのも、アンラッカーの楽器も
最初はみんな鏡面仕上げです。
(一部を除く)

それが、時間が経つにつれて
空気中の成分・手汗・水分等の影響を受け
少しずつ変色していきます。
(これはメッキでも同じですね)

ですので、地金をコーティングし
キレイに保つのがラッカーの使命なのです!

キレイな表面はラッカーのおかげ!
ラッカー様様です!

アンラッカーの楽器は、その特徴を逆手に取り
変色の過程や、風合いを楽しむのですよ♪



剥がれたラッカー

話を戻します。

ラッカーが剥がれた場合
基本的に再塗装は行いません。

理由は、部分的な再塗装が難しく
楽器全部(今回の場合は、本体丸ごと)
の再塗装が必要だからです。


今回も、既にラッカーが浮いていたので
めくれ修正の際に剥がれることを
お客様にご了承頂いていました。


再塗装は、地金を研磨するので
楽器の負担が非常に大きく
音色も大きく変わります。

音色は楽器を選ぶ上でも、重要項目ですので
積極的にはオススメしません。

管リペアセンターでの再塗装事例も
年間数千件のうち、1件あるか無いかです。



ですので、ラッカーが剥がれている
又は、剥がれそうな場合は音色を優先し
再塗装せずお返しするのがベターです。



ラッカーを守ろう!

剥がれると、色んな意味で悲しくなるラッカー。
普段は見えないけど、大切にして下さいね!



今回の修理は
・ベルふちめくれと歪み修正
・オイルグリスアップ(分解組立)
 です。

修理・調整代 税込6,200円(送料別)

※ラッカーが弱くなっている場合
 作業中に剥がれることがあります。
※めくれの白いスジや修正跡は残ります。


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店頭での価格表記・税表記・在庫状況と異なる場合がございますので、ご注意下さい。

この記事を書いたスタッフ

管リペアセンター杉浦

中高6年間をトランペットとコルネットの二刀流で部活漬けの毎日を過ごしてきました!全国の皆様からのご依頼、心よりお待ちしております!

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