皆様、こんにちは。

弦楽器技術スタッフの高瀬です。


先日、勤務終了後に店長と一緒にうどんを食べに行きました。

福岡のうどんに対して「コシがない」と発言すると怒られてしまうそうなので、別の言い回しを考えつつお店に到着。

想像以上にコシがあり、スープも濃い目でとても美味しいお店でした。


そして、たまご付きのうどんを注文したはずなのに、何故か追加でたまごをオーダーする店長が大変面白かったです。

(店員さんに指摘されて油揚げに変更していました)


本日は

■ 毛詰め

■ 上ナット底上げ2件

■ 駒反り直し、加工2件

■ ペグ調整

■ ニスコーティング

を行わせていただきました。

ご来店いただき、ありがとうございます。


演奏待ち時間の楽器(ヴァイオリン・ヴィオラ)の持ち方

皆様は、オーケストラや室内楽で演奏した経験があるでしょうか。

1度でも演奏に乗ったことがある方ならわかると思いますが、、、

多い時は練習時間の半分近く、自分のパートの待ち時間があると思います(特にオーケストラ)。

ヴァイオリンだと、1stか2ndパートかによっても変わってきますね。


合奏時、待ち時間の過ごし方は人それぞれで


・演奏している他パートに合わせて、指だけ動かして練習

・自分が苦手なフレーズを指だけ動かして練習

・ボーイングや、指揮者からの指示を楽譜にまとめ直す

・いきなり自分のパートの出番が来ても対処できるようにひたすら譜面を目で追う

・クリーニング、松脂を塗る等のメンテナンスを始める

・遠くを見つめながら他のことを考える

・(特に理由は無いけど)指揮者の動きを観察する

・睡眠を試みる


などなど、たくさんあると思います。

(私は指揮者を観察する派です)



ちなみに、大学オーケストラ時代の私の親友には睡眠の達人がいました。

演奏中もほぼバレずに睡眠が可能です。


ニスを痛める楽器の持ち方

待機時間にする事は人それぞれですが、、、

ではその間、皆様は楽器をどのように持っているか思い出せますでしょうか。

もし下の画像のような持ち方に心当たりがある方は、要注意です。


1.大事にホールドタイプ(弓は置いた状態)

2.左手でボディを支えるタイプ

3.右手でボディを支えるタイプ

4.ネックのうずまき部で支えるタイプ

5.左手でネックのうずまき、右手でボディを支えるタイプ(逆もあります)


どうでしょうか、自身には心当たりが無くても、周りの団員に1人や2人はいらっしゃるのではないでしょうか。

私は、1.大事にホールドタイプ、で待機することが多かったと記憶しています。

(技術者になる前でしたので、ご勘弁下さい)

この5つの持ち方、何がいけないかと言いますと、『長時間楽器のニスを直接触っている』ということです。


先日お預かりしたお客様の楽器が、まさに

5.左手でネックのうずまき、右手でボディを支えるタイプ

の持ち方により、ニスが痛んでいました。

以前のブログ【リタッチ、ニスコーティング】の中でもご紹介しましたが、通常演奏時には

■ 1stポジション時に親指が当たる場所(ネック)

■ 4th以上のポジション移動をした際に親指が当たる場所(ネック)

■ 3rd以上のポジション移動をした際に手のひらが当たる場所(横板、裏板のエッジ)

この3か所のニスが痛んでしまいます。




しかし、今回のお客様はこの3か所以外の場所(演奏時にはほとんど触れない場所)のニスも痛んでいます。

写真だと少々分かりにくいですが、(演奏時には手が当たらない側の)表板エッジ部と横板、そしてうずまきにニスの摩耗と痛みがあります。

良く見ると、ニスがよれて皺のようになっていたり、手汗等が堆積して塊になり、ニスを痛めています。

(何度も撮り直したのですが、私の撮影技術ではこれが限界のようです、、、実物は5割増しでニスに痛みがあると脳内補正していただければ幸いです)


おそらく、5年以上同じ持ち方でオーケストラ(あるいは他の演奏)の待ち時間を過ごしていたのではないかと思います。

こうなってしまった場合、痛んでしまったニス表面を整え、ニスのコーティング作業が必要になります。

今回は広範囲なので特に時間がかかりますが、数カ所のコーティングでも最短12日以上はお預かりになります。



理想の持ち方

ちなみに、個人的に理想だと思うオーケストラ待機時の持ち方はこちらの『左手でネックを支える』になります。

(この持ち方が一番多いのではないでしょうか)

この持ち方ならニスを痛める事もないので、現在ニス表面を触ってしまう持ち方をされている方は、こちらの持ち方を意識していただければと思います。


また、ネックのうずまき部はチューニングの際にも少し手が当たってしまうと思います。

触れる時間は短時間なのでほとんど問題はありませんが、手が触れた場合は演奏後に軽く布で拭いてあげてください。

手汗などの汚れが溜まりにくくなります。


最後に

ニスに直接触れる1~5の持ち方をした場合、数年後(ニスの種類によっては数か月で変化するものも)には今回のお客様のようにニスが痛んでしまいます。

普段は待機時間の楽器の持ち方なんて意識しないとは思いますが、これを読まれた方は合奏の練習時に周りを見渡して見てください。

色々な持ち方が見れて楽しいと思います。

(今回ご紹介した、ニスに良くない持ち方をする団員が一人もいなかった、というそこの貴方。楽器を大事にしている方が集まった素晴らしい楽団だと思います!)


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この記事を書いたスタッフ

マークイズ福岡ももち店高瀬

弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!

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