【マイスター工房通信】ネック落ち修理について

みなさま、こんにちは。
弦楽器修理担当の藤村です。梅雨入りし多湿なシーズンが始まりましたが、こんな時期こそパリッとした音で思い切り演奏したいですね!

ネック落ち修理

今回は「ネック落ち修理」についてです。下の写真をご覧ください。

□で囲んだ部分、弦と指板がずいぶん離れて見えませんか!?これがネック落ちしてしまった状態です。もっと悪化するとネックが抜けたり、裏板との接着部分が割れてしまったりということもあります。。弦によって一定方向に力がかかり続けますのでこういう事態は避けられないとも言えます。こうなるともちろん演奏も困難ですので、何らかの修理が必要になります

修理方法
1:ネック入れ直し
下がってしまったネックを一度抜いて、適切な角度で入れ直しします。抜いた際には必要な補強をし、ニカワで再接着します。修理後のネック角度に合わせた適切な駒も作ります。ネック落ちをしっかり修正する場合は入れ直し修理が有効です。↓


2:簡易的ネック上げ
表板の上部分のみを外し、ネックの下に小さな板を挟んでネック角度を微調整します。その後表板とともにニカワ付けします。下の写真は接着直後のものですが、少しリタッチすれば分からなくなります。角度修正後、駒は微調整すれば再利用できる場合もあります。この方法は出来る楽器と出来ない楽器がある、ネックが抜け始めていると適用できない、角度修正できる範囲が限られるなどの条件があります。条件が合えば、料金・期間の面で有効な方法です。↓
このほかにも指板の下にクサビ上の木材を挟む方法などもあります。このようにいくつか修理方法があるのですが、それぞれの楽器がもつ条件・状況に合わせて修理方法を選択することになります。ネック角度は音色や響きに大きく影響しますので、ぜひチェックしてみてください。また秋葉原店でも点検自体は無料で行っておりますので、お気軽にご相談ください!

さいごに

弦楽器本体の各パーツはニカワという天然の接着剤で組み上げられています。ニカワは接着力が強く、また水分や低めの熱で綺麗に除去できることから何度でも修理できるという有能な接着剤です。その一方で梅雨時期や夏場の高温多湿に弱いという事にもなり、そのため楽器は湿度や気温によって深刻な影響を受けてしまいます。楽器は直射日光を避け、快適な温度湿度で保管してください!(乾燥しすぎにも要注意です!!)

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この記事を書いたスタッフ

コクーンシティさいたま新都心店藤村

弦楽器の音と姿に魅せられたバイオリン弾きです。弦楽器プレイヤーの皆さま、修理・メンテナンスなど何でもご相談お待ちしております!

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