毛替えに役立つ!「馬毛」についての基礎知識

みなさまこんにちは!
今年もいよいよクリスマスシーズン到来ですね。寒くなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
今回は毛替えに使う馬毛(馬の尻尾)についてです。

馬毛の馬はどんな馬?

1頭あたりから一度にとれる馬毛は350g程度と言われ、楽弓に使える十分な長さになるまで3年以上かかるとか。1回の毛替えに必要な馬毛は5~9g程度ですが、世界中の需要に応えるには広大な土地でかなりの頭数を飼育する必要があります。]
]世界の馬の飼育頭数ランキングを見てみると、上位には中国・中央アジア・モンゴル・カナダ・イタリアなど。当店でご紹介している馬毛の産地とも一致していますね。

馬は重種(大型・農耕馬)・軽種(競走馬)・中間種に大別されます。18世紀頃ヨーロッパで品種改良が進み、馬はより大型になりました。現在世界中で飼育されている馬はこれをルーツとする重種・中間種が多く、楽弓馬毛にも使われています。

馬毛は飼育環境・飼料や水による毛質の違い、さらには馬毛の洗浄や仕上げの仕方によって、その特徴が大きく変わってきます。

また、楽弓に使用できる白毛馬(それに準ずる毛色)は、なんと5%以下。脱色は毛質を激しく劣化させるため、限られてしまうのです。これを洗浄(脱脂)、選別してようやく楽弓用馬毛になります。


馬毛はどんなもの?

毛髪は3層の円柱層で構成されています。中心に毛の弾力を左右する髄質、その周りに毛の硬さを左右する皮質層、そして外周がキューティクルの層です。キューティクルは硬くて薄いタンパク質のシートで、特に馬毛では何層にもうろこ状に重なっています。演奏する時に付ける松脂の粒子がこのキューティクルの層に強く吸着し、弦に引っ掛かり、擦弦し続けることで音がでます。

キューティクルの層は摩擦に弱い。擦弦楽器ですから、摩擦は避けられません。また内側のタンパク質や弾力が失われないように保護する働きもあるので、キューティクルの層が傷つくと毛全体のハリも失われていってしまいます。このため、毛替えが必要になります。

ここまで見てくると馬毛も松脂も、その質が音質を大きく左右するため、とても重要ということになりそうです。皆さま次回の毛替えの際には、楽しく馬毛を選んでみてくださいね!

いかがでしたでしょうか?次回も様々なリペアを紹介していきますのでお楽しみに!

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この記事を書いたスタッフ

コクーンシティさいたま新都心店藤村

弦楽器の音と姿に魅せられたバイオリン弾きです。弦楽器プレイヤーの皆さま、修理・メンテナンスなど何でもご相談お待ちしております!

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