【弦楽器工房ブログ】毛替え . 2
皆様、こんにちは。
弦楽器技術スタッフの高瀬です。
前回に続き、毛替えについて書いていきます。
皆様は髪の毛を洗った後、ドライヤーを使い髪を乾かすと思います。
馬毛も同じで、当工房では毛替え後にドライヤーで馬毛を乾かしています。
(職人によっては水を使わない方、スプレーで軽く濡らすだけの方も)
しかし、人によっては馬毛を自然乾燥させる方が良いという方もいらっしゃいます。
人間の髪で自然乾燥をさせると、毛の表面のキューティクルが広がって剝がれやすくなる、髪にダメージが蓄積する、という情報を聞いたことがあります。
(実際に、自然乾燥をして寝ると翌日ボサボサになることが多いですね)
では馬毛でも同じではないのか、と思い、今までドライヤー一択だったのですが、、、
やはりやってみないとわからないので、実験的に
■ いつも通りドライヤー乾燥
■ 自然乾燥
この2つで同時に毛替えを行いました。
馬毛は当工房のSTランクを使用しております。
【ドライヤー】
(毛を緩めた状態)
いつも通りです。
特に遊んでいる毛も無い状態です。
弾き心地もいつも通りで、ST特有の少し荒々しい引っ掛かりが感じられました。
※ドライヤーは『Nobby NB3000』を使用。ワンタッチで冷風に切り替わり、離すと温風に戻るので便利です。風量があるので3分かからずにある程度乾きます。
【自然乾燥】
(毛を緩めた状態)
遊んでいる毛が数本あります。
仕上げの段階で毛を3本ほど切る必要がありました。
弾き心地は上の弓と比べると、多少引っ掛かりが薄れたように感じました。
※6時間乾燥させてあります
結果だけ見るとドライヤーの方が良いのでは、となりそうですが、1回目の実験なのでまだ判断できません。
そもそも、弓のクオリティも双方異なれば、片方は反りが強く、片方はカーボン弓です。
今回はあり合わせの弓で行ったのではっきりとした結果が出せませんが、何かしらの違いはありそうです(自然乾燥の方は単に私の技術不足、毛の選定が不十分という可能性も捨てきれませんが、、、)。また2回、3回と試していきたいと思います。
※お客様の弓では今後もドライヤー乾燥を行います
(数日経過したら毛質が同じ状態になる、という悲しいオチでしたらどうしましょう)
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弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!