弦楽器リペア便り Vol.12 バイオリン製作学校のある街

今回は、私が通っていたバイオリン製作学校のある、イタリアのクレモナ(Cremona)という街のことを、少しお話したいと思います。
クレモナは、北イタリアのロンバルディア州にある、観光をするなら半日で終わってしまうような小さな街です。ミラノからは電車で1時間くらいでしょうか。


過ごしやすい夏、寒すぎる冬

学校は9月に始まります。イタリアに渡った時は夏で、日本に比べると湿気も少なく最高の気候だったんですが、冬が寒くてしょうがなかったです。暖房はケチらず使うこと、最初に借りる部屋選びがとても重要だということを学びました。
1700年代前半頃、この厳しい環境で、かの有名なストラディバリ(Antonio Stradivari)は90歳過ぎるまで生きたというから驚きです。


最近街にストラディバリ像が増えているようです。私がいたときは 2体しかなかったと思うんですが...。


学校の授業

授業は緩やかに、マイペースに進んでいきます。各先生の持ち味が、個性が、存分に発揮されるので(= 自由な授業)、生徒達も各々頑張ってついていきます。お国が違うとメンタルが全然違いますので、その覚悟は必要でした。
そうこうしているうちに卒業したのですが、私たちの年代は卒業後に1年間特別プログラムのようなものが企画され、それに参加させてもらえました。色々とイタリアで有名な楽器製・修理のマエストロ達に来てもらって、学校を出た後この業界で本当に必要になる、生きた技術を学ぼう、みたいな趣旨だったと思います。
ずっと前からこうして学生を支援し続けてくれるあたりは、さすが弦楽器の街、といったところでしょうか。

地方紙に授業が載ったことがありました。この時授業を受け持っていたのは、トレントのマエストロ Luca Primon 氏。初めてお会いした時の目力が印象的で、とても紳士的な方でした。


いつかクレモナに行くことがあれば...

暑いときも、寒いときも、ちょっと落ち込んだ時も、バール(Bar = 飲み物がメインの喫茶店のようなところ)の中は快適でした。
今日はいつもより早く起きて作業をしようとか、朝市に買い物しにいこう、とか思ったときは3ユーロくらい出して景気づけの一杯です。エスプレッソコーヒーは苦手な私でも、カプチーノは素直においしいと感じました。いつかもう一度クレモナに行けたら、クレモナに残って頑張っている私の同級生(いつも一緒にBarに行っていた)とBarに行って、以前と同じカプチーノとクロワッサンを注文してみたいです♪


おわりに

うーん、懐かしいですね....。それに尽きます。
今回はいつもと違った内容でしたが、少しでもお楽しみいただけたら嬉しいです。
それでは、次回のリペア便りもお楽しみに♪

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この記事を書いたスタッフ

グランフロント大阪店吉村

クレモナ国際バイオリン制作学校卒業後、島村楽器に入社し修理を担当。弦楽器を楽しむ皆様を技術面からサポートいたします!何でもお気軽にご相談ください!

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