こんにちは! 今回は、弦楽器を今から始める初心者の方や、しばらく弦楽器を弾いているけど楽器のメンテナンスは先生にお任せしているという方に向けて、できるだけ簡単に弦楽器の扱い方をご紹介しようと思います。
一年~数年後に「こんな簡単なことだったのか」と思えるくらい、弦楽器の扱いに慣れていただけたら嬉しいです。メンテナンスを習慣づけることができれば、楽器をきれいに保つことができ、不具合も起こりにくくなりますよ♪

ケースから楽器と付属品を出してみる

机の上など、安定している場所に楽器を出してみましょう。そのままでも構いませんが、タオルやケースについている中布など柔らかい敷き布を使うとより安全です。

また、楽器を買うと、大体は以下のものが付いている、もしくは楽器と同時購入を勧められるかと思います。

・松脂
・肩当て
・チューナー
・拭き掃除用クロス
とりあえず、これだけ揃っていれば初心者さんには十分だと思います。

松脂(まつやに)塗り

では、弓に松脂を塗りましょう。弓毛に松脂がついていないと十分な摩擦が起らず、音が出ません。
まず、お持ちの松脂を出してみてください。

↑ 左が使用したもの、右の表面がつるっととしているほうが新品です。この新品の松脂を使うとき、つるつるしたまま一生懸命弓毛にこすりつけてもなかなか弓に松脂が乗りません。サンドペーパーで削るか、カッターなど先の尖ったもので ↓ このように軽く表面にキズをつけてから使ってみてください。

弓のスティック(棹 =木の棒の部分)と弓毛の間が、大体スティックの太さと同じくらい離れるように毛を張ります。その状態で弓毛にまんべんなく松脂を塗ってください。しっかり音が出るようになれば、そこまで松脂をつける必要はなくなりますので、最初はとにかくしっかりつけておきましょう!(毛替え後も同様です)

調弦

弓の準備が終わったら、次は本体の調弦です。
楽器の真ん中位で弦を支えている駒と、弦の巻きすぎ(=音程の上げすぎ)に注意していれば、それほど恐れる必要はない作業だと思います。
まずは、① 駒足(駒の表板に接している部分)が表板にぴったりついているか、② 駒が大体楽器の真ん中あたりにあるか、の2点を確認してください。⇒ 駒の立ち方について詳しく知りたい方はこちら( ← ⑥目安位置に駒を移動させる 以降参照)

次に、チューナーの電源を入れ、基準音のA(ラ)の音程を 442Hz(ヘルツ)に設定します。画像 ↓ では赤線部分が 442 になっていますね。演奏する曲によってこの数値は変わることもありますが、とりあえず最初は 442 にしておけば間違いないです。

細いほう(音の高いほう)から2番目の弦が、A線です。まずA線をチューナーを見ながら合わせてください。ペグを回しながら、空いているほうの手で軽く弦をはじいて音を確かめます。緑のランプがつくところがピッタリの音程です。分かりにくいですが、実は上の画像は緑のランプがついた瞬間に撮影しています。コツは音程が合わせたい音に近づいてきたら、できるだけ小刻みにペグを動かすことです。

E線だけは一番細い弦の為、ペグのみで調弦するのが難しく、テールピースについているアジャスターで調弦します。楽器が写真の向きで、時計回りに回すと音程は高くなり、反時計回りに回すと音程は低くなります。調弦する弦の順番は自由ですが、私は大体 A線 → D線 → G線 → E線 の順で、音程が整うまで音合わせを繰り返します。
調弦に慣れないうちは、特に時間がかかります。慣れていても、ペグの調子が良くないとなかなか上手くいかず、時間がかかることもよくあります。どうしてもうまくいかない・弦がすぐに切れてしまう場合は、一度楽器をお持ちいただければ状態を確認させていただくことができます。

駒の状態を確認 → 音出し・練習

調弦が終わったら、もう一度、 ① 駒足(駒の表板に接している部分)が表板にぴったりついているか、② 駒が大体楽器の真ん中あたりにあるか、の2点を確認してください。特に駒足がついていないと駒が倒れやすくなり危険ですので、角度を修正してもう一度調弦し直してください。調弦が終わったら、楽器に肩当てを動かないようにしっかり装着し、音を出してみましょう。

片付け

十分楽器を楽しんだら、後片づけです。弓と弦についた松脂や手汗をクロスで丁寧に拭き取ります。拭き掃除の後、弓は毛の張りを緩めてケースにしまいます。楽器は、特に駒周辺の松脂を中心に、クロスを使ってニス表面の拭き掃除をします。弦も手汗や油脂がついたままだと変色・劣化が早いので、しっかり拭いておきましょう。

   

弓・楽器についた松脂は、楽器の使用後すぐならサラサラの状態で簡単に落とすことができますが、時間が経つと溶けてべったり表面に付着し、落としにくくなります。拭き掃除の後、駒の立ち方を確認・正しい立ち方に修正してケースにしまってください。傾いたままケースに戻すと、駒に曲がった癖がつくため、駒の寿命が短くなってしまいます。


おわりに

いかがでしたか? 弦楽器を楽しむ上で、上記ののメンテナンスはとても基本的なことですので、ぜひ習慣づけてみてください。
それでは、次回のリペア便りもお楽しみに♪

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この記事を書いたスタッフ

グランフロント大阪店吉村

クレモナ国際バイオリン制作学校卒業後、島村楽器に入社し修理を担当。弦楽器を楽しむ皆様を技術面からサポートいたします!何でもお気軽にご相談ください!

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