皆様、こんにちは。
弦楽器技術スタッフの高瀬です。

先日、休日の半分を利用して「いなり寿司」を一から作ってみました。
ほとんどの時間を油揚げの処理や煮込みで費やしましたが、どうにか大きな失敗は無く完成しました。
味や見た目も特に問題は無かったのですが、作り終えた後に「貴重な休日に何をしているのだろう」と何とも言えない気持ちに。
次は納豆を作ります。

本日は駒の加工についてご紹介致します(少々マニアックな内容です)。

駒は何グラム削るのか

駒の交換についてお客様に説明をすると、多くの方から

  • 「元の駒を外して新しい駒を乗っけるだけじゃないんですか?」
  • 「完成品はないの?」

とご質問いただきます。
確かに、インターネットで調べると駒が通販で買えたりしますが、世の中に出回っている駒はほとんど未完成品です。
大体の形には削られていますが、そのままでは楽器に使用できません。
そして先日、とあるお客様から「未完成品から完成品になるまで、何グラム位削るんですか?」
とご質問いただきまして…
言われてみれば重さの変化は調べたことがありませんでした。
という訳なので、今回は試しに未完成駒から加工後の駒の重量変化を段階毎に計測してみましょう。

駒の交換については過去のブログで説明していますので、是非こちらをご覧ください。

加工前の駒

こちらが加工前のヴァイオリン駒です。

重量は3.26gあります。
※もちろん駒のランク、メーカーによってグラムは大きく変化します
ちなみに、楽器に付いていた交換前のオリジナル駒重量は1.85gです。
削り面積、厚さの割りに結構軽いので、こちらは安価な材を使用したランクの駒だと推測されます。
現に、反り癖も強く手の力で簡単に曲がる程柔らかい駒でした。
(なので、加工前の重量も3g以下だったのではないでしょうか…?)

それでは早速駒を削っていきましょう。

駒足フィッティング

まず最初に、駒を楽器に対して綺麗に隙間なく立たせるための工程、「駒足削り」を行いました。
フィッティングが適当だと、音に影響があるのでとても大事な工程です。
加工前は3.26gでしたが、駒足加工後は3.24gになりました。
0.02gの変化とは予想よりも少なかったです。

駒高さ出し、アーチ削り

続いては、駒の高さとアーチを整えます。

鉛筆の線が削り出すラインになります。
指板の高さやお客様のお好みに応じて高さは変化しますが、今回は平均値の寸法で高さを出します。
加工後は2.66gと、先程と比べマイナス0.58gと大きく変化しました。

駒の厚さ出し

ここまでの状態で仕上げてしまうと、駒の形状が不格好になってしまいます。
横から見るとこのような見た目です。

駒が厚すぎて振動の妨げになりますので、耐久度が低くならない程度に駒の厚みを薄くします。

このようにてっぺんへ行くにつれて薄くしていきます。

加工後は2.28gになり、0.38g軽くなりました。

駒の飾り切り

最後の仕上げになります。
この工程は職人の好みや考え方によりデザインが異なるので、数値の変化も人それぞれです。
先程までの工程は鑿やカンナでサクサク削れますが、この工程は小さなナイフで繊細に形を整える作業になります。
加工後は2.15gとなりましたので、0.13g削ったらしいです。

加工前、加工後の重量変化

加工前が3.26gで、加工後は2.15g…
削った重量は1.11gとなりました。(ゾロ目です!)
数字だけ聞くと「1gだけ…?」となってしまいますが、元々の重量から考えると1/3も削り落としています。
そう考えると結構削った気になりますね。
もちろん、駒のクオリティや楽器の寸法により削る分量は大きく変化するので一概には言えませんが、今回は少なくとも1/3は加工により減少しています。

職人によってはもっと大きく飾り切りを行う方もいれば、ユニークな形で仕上げる方もいるので(もちろん音響効果を狙った上で)、是非ご自身の楽器に付いている駒をじっくり見てみて下さい!

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この記事を書いたスタッフ

マークイズ福岡ももち店高瀬

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