【マイスター工房通信】表板の割れ修理について

みなさま、こんにちは。
弦楽器修理担当の鍵主です。工房の周りでは桜も終わり、暖かくなって新緑が綺麗になってきました。天気が良いとどこか外に出かけたくなりますね!

表板の割れ修理

今回は「表板の割れ修理」についてお話します。
先日、『音の調子が悪い』とお持ち込みになられた楽器の点検をしたところ、アゴ当ての下に古い割れを発見しました。下の表板の写真、丸で囲ったところが今回話題にさせて頂く「表板割れ」になります。

こちらは古いヴァイオリンで「割れ」の部分に汚れがたくさん溜まっており、恐らくかなり以前から「割れ」が発生していたようです。アゴ当ての下にあった為、持ち主の方も全く気が付かずに演奏されていた・・・との事。

はっきりと隙間も空いておりこのまま放置していると割れがさらに進行する可能性もあるので修理をすることになりました。表板の割れ修理をする場合は、表板オープンといって表板だけ楽器から外す作業が必要になります。まず、表板の割れに溜まっている汚れなどを掃除します。汚れが残ったままですと、うまく接着が出来ず、接着後のニスの補修にも影響が出てくるので、丁寧にしっかりと汚れを洗浄します。

洗浄した後は、割れの箇所や状態に応じて専用の道具などを使ってしっかりと表板を接着します。

接着後の写真です。ここからニスの補修を行い目立たないようにしていきます。

ニスの補修が完了し、クリーニングを行った後の写真です。
今回は上手く目立たなくなりましたが、楽器によってニスのレシピや状態は千差万別なので、目立たなくするのは難しい場合もあります。

割れも直したおかげで、楽器の音の調子も良くなりました!

楽器点検について

表板に割れが入ってしまっても、気づかずに使用しているケースがたまにあります。はっきりと分かる場所ならご自身で見つけられますが、パーツの下に隠れていたり、古い割れですと判別が難しくなる場合もあります。また、割れたままにしていると割れが広がったり音にも影響が出てきます。
楽器は湿度や気温によって影響を受けるので、特に問題を感じなくても湿度の高い梅雨や乾燥する冬など季節の変わり目等に点検することをお勧めします。点検自体は無料で行っておりますので、いつでもお気軽にご相談ください!

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この記事を書いたスタッフ

シマムラストリングス秋葉原鍵主

ちょっとした調整でかなり弾きやすくなることもあります。今まで一度も点検に出したことが無い方もお気軽にご相談ください!

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