アトリエ・コクーン弦楽器工房日記vol.9「剥がれ修理ブロック編」
みなさま、こんにちは!
弦楽器修理担当の藤村です。島村楽器さいたま新都心店では弦楽器工房を併設しています。弦楽器(ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロの本体と弓、コントラバスは弓のみ)の修理を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ!
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今回の工房日記では「ブロックの剝がれ(ハガレ)接着」をご紹介します。
下ブロック部分の小さな剥がれ(ハガレ)が気になるとのご相談をいただきました。
音にハリがなく、全体的にニカワが緩んでいる印象。よく見ると、表板と横板の剥がれが全体的に点在しています。新しいニカワで組み直すことをご希望されました。
表板をオープンしてみると、下ブロック、ネックブロック、ライニング(横板に沿って接着されている補強材)など。そのほかにも楽器の中のあちこちに剥がれが。この機会に古いニカワはクリーニングし、外れかけの箇所すべてを新鮮なニカワでつけ直しします。
ニカワはとても強力な天然の接着剤ですが、経年変化や乾燥多湿などの原因から接着が緩んでしまうことがあります。ですが剥がれるおかげで木材の割れを防ぐことができたり、何度も修理したりすることができるともいえます。
表板を閉じ直し、セットアップして完了です。しっかりと組みあがると音響的なロスがなくなり、音のハリがよみがえります!
割と頻繁に起こる横板剥がれですが、楽器の内部で支えとなっているブロックと横板も剥がれることがあります。見えない部分なので見つけるのは難しいですが、かすかに雑音がする、音が弱くなったなどの気付きがありましたらお早めにご相談くださいませ。
それではまた、次回工房日記をよろしくお願いいたします。さようなら!
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