アトリエ・コクーンの弦楽器工房日記vol.4 「簡易的ネック上げ修理」
みなさま、こんにちは!
弦楽器修理担当の藤村です。島村楽器さいたま新都心店では弦楽器工房を併設しています。弦楽器(ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロの本体と弓、コントラバスは弓のみ)の修理を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ!
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今回の工房日記ですが、ネックを抜かず簡易的にネック角度を修正するリペアをご紹介します。
下の画像、バイオリン本体のネック角度が下がってしまったため弦と指板が通常より随分離れています(弦高が高すぎる状態です)。
アコースティック楽器にとって多少のネック落ち(ネック角度が下がってしまうこと)は宿命ですが、演奏に差し支える場合はネックを一度抜いて適切な角度で入れ直す修理が必要になることもあります。今回ご紹介の「簡易的なネック上げ修理」は納期やお値段を抑えたい・本番が近くて応急処置をご希望などの場合におススメですが、この方法を行えるかどうかはいくつか条件があります。この楽器はクリアしていましたので、簡易的な方をお選びいただけました。まず楽器本体の表板上半分を横板から外し、上の画像のように角度を上げる為に差し挟むクサビをフィッティングします。クサビの厚みによってネック角度の修正幅が変わるので、無理なく改善出来る幅・厚さですり合わせます。
フィッティングのち、演奏状態の張力とともにニカワで接着します。
修理跡はほとんど目立ちませんが最後に少しニスリタッチを行い、適切な駒を立てて完了です。ネック落ちを改善すると、パリッとしたより華やかな音色で演奏を楽しんでいただけます。
それではまた、次回工房日記をよろしくお願いいたします。さようなら!
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