弓 フロッグ雌ネジ交換 【弦楽器工房ブログ】
皆様、こんにちは。
弦楽器技術スタッフの高瀬です。
今回は弓のフロッグ修理について、簡単にご紹介致します。
フロッグ修理~雌ネジ交換~
弓のスクリューを何度回しても毛が張らない、空回りする…
こんな症状に出くわしてしまったら要注意かもしれません。
このような症状はほとんどの場合、雌ネジの摩耗によりネジ穴が拡がっている場合が多いです。
なので必然的に、この症状は何年も愛用している弓やオールド弓に多く見られます。
ちなみに雌ネジはフロッグの裏側に付いているので、普段皆さんは目にしない部位になります。画像のフロッグ底面に付いている真鍮パーツが雌ネジになります。
この度お預かりした弓も長年の使用により雌ネジが摩耗しており、スクリューが空回りします。
幸いなことにスクリュー部は健康な状態でしたので、雌ネジのみ交換を行いましょう。
修理前
通常ネジは回さないと奥に入っていきませんが、この弓のネジは…
軽く押し込むと…
一気に奥まで入り込んでしまいます。
これでは馬毛を張れるはずもありませんので、ネジを新しく交換します。
ネジ取り外し、新しいネジ穴を用意
まずはネジを外し、既存のスクリューネジ溝に合うパーツを見つけます。
比べてみると、少しネジ穴が拡張していることがお分かりいただけると思います。
左がオリジナル、右が新品のネジ穴パーツです。
ネジ穴埋め直し
フロッグに固定するネジ部の径が、新品のパーツに対して小さいかほぼ同じなら良いのですが、今回は僅かに大きい径になります。
このままではネジが固定できませんので、フロッグの穴埋めを行います。
材のフィッティング
フロッグの穴にフィットするように、黒檀材を削ります。
接着
ジャストフィットする太さになりましたら、接着剤を使用し黒檀材を接着します。
接着後余りの材を切り落とし、再び穴を開け直すと完成となります。
修理後
穴を開け直し、新しい雌ネジを入れました。
フロッグを戻してスクリューを回してみましたが、問題なく動いたので完成となります。
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弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!