図解でわかる!~ネックのハイ起き編~

今回、解説するのはネック反りの中でもトラスロッドでの調整が困難なハイ起き症状です。
そもそもネック反りって?という方は図解でわかる!~ネック反り編~をご一読ください。

ネックが真っ直ぐな状態であれば

ネックのストレートが出ているのであれば、指板面から弦までの距離はハイポジションに向けて徐々に広がっていく状態が正常と言えます。

※今回のイメージ図では想像がつきやすいよう、フレットを表示していません。フレットレス以外の楽器であれば指板上にはフレットが打たれている、と思ってください。

この状態であれば、弦をローポジションで押弦した場合でも、

ハイポジションで押弦した場合でも、

押弦した箇所からブリッジまで伸びた弦が指板やフレットに干渉する事はありません。

ネックがハイ起きしていると

しかし、ネックがハイ起き状態にあると下の画像の様な状態になります。

イラストはわかりやすいよう極端に再現していますが、よく観察してみると指板面から弦までの距離が均等に広がっていないことが分かると思います。
ジョイントフレット付近の距離が最も広く、指板エンド付近はこちらと比較して距離が狭まっている状態になっています。

※ジョイントフレットとはボディとネックの継ぎ目位置上にくるフレットを指します。よくわからない場合は下記を参考に押さえてください
・エレキギター/ベース:14~17フレットのいずれか
・アコースティック/クラシック:12~14フレットのいずれか

ハイ起きが原因で起きるトラブルとは

ネックがハイ起き状態であると、どのようなトラブルに繋がるのか検証してみましょう。

ローポジションを押弦した場合、以下のような状態になります。

この時、ピンクの円で囲っている押弦直後の位置や、ミディアムポジション付近で弦が指板やフレットに干渉する事はありませんが、ハイポジション付近は指板からフレットまでの距離が狭まっていますね。
ピッキングした際に生じる弦の振幅を考えると場合によっては弦にフレットが干渉し、ビビりが感じられる可能性があります。



それではハイポジションを押弦すると、どのような状態になるのでしょうか。

ピンクの円で囲っている押弦直後の位置を見てみましょう。
弦と指板(フレット)が重なっていますね。この状態ではピッキングをしても弦振動が押弦箇所まで伝わらず音が正常に出ない状態、音詰まりやビビりの症状に繋がります。
もし、ミディアムポジション以降からハイフレットにかけて、どこを押弦してもビビりや音詰まりが出てしまう、という事であればネックがハイ起きしている疑いがあります。

どうやって症状を解消するのか

ネックのハイ起きが発生している場合、トラスロッドによる反りの調整や、ネック矯正では解消できない、困難な場合が殆どです。
なぜ、この手法では効果が得られないのか、というとハイ起き症状が目立つハイポジション付近はボディ部分とのジョイント位置(本体との接合箇所)に該当し、弦張力に因る負荷が最も大きく加わるポイントになります。この為、部分的に強度が維持できるよう設計されいて、トラスロッドや矯正器による負荷が加わり難いのです。


症状の程度によりますがフレットすり合わせリフレットと言った処置を行う事でハイ起きによる影響を軽減・解消させられます。

すり合わせとリフレットの違いは図解でわかる!~「すり合わせ」と「リフレット」 その違い編~をご参考下さい。


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この記事を書いたスタッフ

浅草橋ギター&リペア店中野

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