【井上コラム】ピックガード作ろう

こんにちは。ギターリペア工房、井上です。


梅雨ですねー。

この季節、暑いのは割と好きなのですがジメジメが駄目です。


真夏も湿度が低ければ過ごしやすそうなのですがどうなんでしょうね?

そういうところで2ヶ月ぐらいバカンスしたい今日この頃です。

ちなみにバカンスはフランス語らしいです。


さて、本題行きます。

ピックガードの作り方

さて、これまでこのサイトのブログでは色んなピックガード製作をご紹介してきました。

こんなものこんなもの、更にはこんなものまで作っちゃいます。

どれも格好良いですね・・・


ただピックガードって実際、どんな風に作っているんだろうって考えたことありませんか?

あるということで続けたいと思います。


作り方には大きく分けて二通りあります。

①板材から手作業で切り出し、形を整えていく方法

②元となるピックガードから型を取って、トリマー等を使いつつ成型する方法


①は主に複雑な形や全く新しいワンオフ品を作る時に行います。

このブログで取り上げられるピックガードは①の方法の物が多いですね。


そして今回のお題は②の方法になります。

どのような工程を経てピックガードが作られているのか、

これからその一部始終をご紹介していきたいと思います。

型を作るぞ

まずは型ですね。これが一番大事。

上が元となるピックガードです。

これをMDFと言われる材質の板に書き写して型を作ります。

完成品がこちら。


ちなみにMDFというのは木材の破片を細かく砕いたりして合成樹脂と共に固めた物です。

加工性に優れており、割れや歪みへの耐性も強いので工房では色々な型に使用しています。

次はこの型を使ってピックガード材を成型していきましょう。

まずは下準備

今回は元の形のままミントグリーンのピックガードを作ります。

上が素材となる板です。

これをピックガードの形へと大まかに切り出します。

そして切り出した板材と型を強力な両面テープでしっかりと張り合わせます。

これで下準備が整いました。

トリマーを使うよ

さて、ここからどうやって成型するかというとトリマーを使います。

こいつですね。

そして使うビットは二種類。

細めの同軸ビットと斜めに歯が付いている面取りビットです。

まずは同軸ビットを装着して作業へと移りましょう。

いざ出陣

いきなりビットがテーブルから生えてますね。

これはカスタムしたテーブルにトリマーを逆さ向きでセットしています。

こんな感じです。

そしてここに切り出したい素材を当てがいます。

あとはビットのコロ部分に型を沿わせていけば寸法は完璧です。

ただこのままだと外周が垂直なままですので面取りビットに取り換えてもう一周。

ピックアップ部分も穴を開けて見た目はほぼ完璧ですね。

この後、ネジ穴も元のピックガードに合わせて開けていきました。

そしてお次は仕上げになります。

研磨。ただひたすらに研磨。

このままですと切り出した面が傷だらけですのでサンドペーパーを使って綺麗にしていきます。

せっかく切り出した面が崩れない様に一層丁寧に作業を行っております。

黒色の部分は傷が目立ちやすいのですがしっかりと綺麗になりました。

完成

これにて完成です。良い感じですね。


ピックガードの作り方に正解はありませんが今回の方法のメリットとしては、

・元の形とほぼ変わりないピックガードが作れる

・希望があれば何枚でも色違いのピックガードを作製可能

という点が大きいかと思います。


ネジ穴の位置も一緒ですので今回の様な場合ですと今後はお客様ご自身で元のピックガードと着せ替え可能です。

逆に成型市販品のピックガードですとネジ穴位置が合わない場合があり、着せ替えできなくなってしまう時もあります。


勿論、市販品でも着せ替え可能な物もありますが判断が難しいときはお気軽にご相談頂ければ幸いです。

お客様の楽器に合わせた最適な方法を見繕わさせて頂きます。


さて長くなってしまいましたが今回はこの辺りで失礼致します。

今後もお客様の助けになります様、全力でお手伝いさせて頂きます。


以上、井上コラム「ピックガード作ろう」でした。

ありがとうございました。


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この記事を書いたスタッフ

浅草橋ギター&リペア店井上

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