Sequential Fourm 実機レビュー!お値打かつ本格的なアナログシンセ!

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Sequential Fourm 実機レビュー!お値打かつ本格的なアナログシンセ!

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

こんにちは、島村楽器名古屋パルコ店の立浦です。
本日はSEQUENTIALから新たに発売されたアナログシンセサイザーFourmについてご紹介させていただきます!

・フルアナログ
・4音ポリフォニー
・ポリフォニックアフタータッチ搭載

なのにお値段149,800円(税込)という、この令和の時代を逆行するかのような「お手頃だけどガチなアナログポリシンセ」をまさか世界的シンセサイザーメーカーであるSequential社からリリースされるとは…!!
島村楽器の名古屋パルコ店、梅田茶屋町店、新宿PePe店などシンセに比較的明るい店舗では店頭展示も開始しております!
早速ご紹介してまいります!

サイズ感


従来のSequential製品と比べると、かなりコンパクトですね!
外形寸法 幅 : 56.2cm 奥行き : 25.1cm 高さ : 7.0cm、重量3.97Kgと軽量です。


10万円台のアナログシンセ、ということで比較対象に上りやすそうなMoog Messengerと並べるとこんな感じ。

幅、奥行き、高さともに、全体的にSequential Fourmがコンパクトなのがお分かりいただけるかと存じます!

鍵盤

37鍵盤、鍵盤はアナログ音源との連携を前提に設計された新開発の「Tactive™ スリムキー・ポリフォニック AT キーベッド」という鍵盤を採用。

こちらもMoog Messengerの鍵盤と並べるとこんな感じ。
フルサイズの鍵盤と比べるとやはり小さく感じるものの、大きな違和感もなく問題なく演奏出来ます。
アナログ4 ボイス対応なので、リード・ベースもコードパッド系も思いのまま!アナログ、4ポリ、スリムキー37鍵盤で比較的お値打ちな機種というと現状ではminilogueやminilogue XDを思い浮かべますが、AT対応のキーベッドのお陰か個人的にはminilogue系よりもしっかり打鍵できるように思います。

Sequentialでスリムキー鍵盤って何気に初めてではないでしょうか。
筐体のサイズも抑えられるのでライブへの持ち出しはもちろん、音楽制作環境のデスク上にもスリム設置可能です。

背面端子

背面はこんな感じ。
12V/1.25Aアダプターで駆動するのですが、付属のアダプターは100〜240Vのユニバーサル対応なので、海外ツアーや出張先でもそのまま使えるのがうれしいポイント。
MIDI In / Out / Thru(5ピンDIN端子) もちろん伝統のDIN端子も健在で、また、最近のシンセらしくUSB-C端子も搭載しておりパソコンやタブレットと接続し双方向のMIDI送受信が可能です。
※MIDIのみでオーディオインターフェイス機能は非搭載

ドライバー不要のクラスコンプライアント仕様で、試しにiPhone15でUSB-C接続してみましたが、問題なく認識してくれました。※OSバージョンや機種によって挙動が異なる場合があります。


また、Footswitch / Expression Pedal 入力 ここには、フットスイッチやエクスプレッションペダルを接続可能。
Globalメニューからどのペダル(Footswitch or Exp Pedal)を使うのか、どのパラメーターをペダルで動かすのかといった項目を細かく設定可能です!

パネルレイアウトやサウンド


パネルレイアウトは上記の通り。
Sequentialの他製品同様、各セクションの視覚的・機能的な分類が明確で分かりやすい!
ノブで直感的に操作・音作りが進められます。

肝心の音質も、いい意味で価格に見合わない豊かさがあります!
正直なところ担当も「Sequentialにしては価格が安すぎるのでは…?音質は大丈夫なのかな…?」
と半信半疑でしたが、実機をセットして最初の音で「あ、これは凄い!」と1発で納得させられてしまいました…。
上位機種と異なり色々とシンプル化されていたりエフェクトが非搭載であるなど、価格ならではの部分もありますが、根底のサウンド自体はしっかり「Sequentialの音だなぁ…!!」とワクワクしちゃいました!
キラキラっとした、直線的で力強さと透明感のある良い音です…!

Prophet-5由来のA/B2基で構成されるデュアルオシレーター+クラシックな4ポール・レゾナントLPFというアナログシンセの王道構成で、Sequentialのシンセ共通の図太さをこのFourmでもしっかり得ることができます。

オシレーター波形自体はTAKE5のような連続可変式ではなく

オシレーターA:ノコギリ波(Saw) + パルス波(Pulse)
オシレーターB:ノコギリ波 + パルス波 + 三角波(Triangle)

から選択もしくは加算するシンプルな構成ですが、こちらも使いやすそうです!
※OSC Aにはハードシンクを、またOSC BにはLO1/LO2という、もう一つのLFOとして使用できる低周波数レンジも搭載

ミキサー部分にはオシレーターのボリュームに加えて、フィルターを通った音をもう一度フィルターに戻して分厚さを加えるFEEDBACKボタンとノイズのON/OFFも。
「あれ?ON/OFFだけで量は調整出来ないのかな?」と思ったのですが、ここも内部設定でノイズの種類やFEEDBACKの量なども変更可能でした!

上記のように対象のボタンを押すと、プログラムセクション上でそのパラメーターの量などを調整することが可能。

出来れば物理的なつまみで制御できると良かったのですが、本体価格を抑えるためにはある程度ハード部分を削らないと行けなかったのかもしれませんね。
実際めちゃくちゃ使うところではないので、内部でのコントロールでも問題ないかと思います。




LFOにはノコギリ波/三角波/矩形波に加えS/H(Sample & Hold)も用意されており、S/Hのタイプも6種類と豊富に用意されています。ここも内部からパラメーターの切り替えを行っていく仕様です。
※LFOのノコギリ波はリバースをかけることも可能

また、最大4ボイスまでユニゾンでき、またこのユニゾンはコードメモリー機能としても活用可能。
鍵盤でコードを押さえてUNISONボタンを押すとコードのノートをそのまま記憶し、指一本でコード演奏が可能に!
これも便利ですねー🎵


アルペジエイターも一般的なUP/DOWNのようなシンプルなものはもちろん、最大64ステップまで自由にノートを組んで鍵盤でトリガーすることも可能。1ステップに単音だけでなくコードノートも入れられるため、アルペジオをちょっと複雑なフレーズのように鳴らすことも出来ちゃいます!

更に他にも、MOD SEQ(モジュレーション・シーケンサー)という鍵盤で入力したノート情報をモジュレーション量として記録し、それをアルペジエイターとして再生する機能も搭載。


モジュレーション・シーケンスの出力先はデフォルトではOsc Freq Aに設定されていますが、SEQ MOD DESTからCUTOFFやLFO周波数など様々なパラメーターに変更することが可能です。

この“MODULATION”セクションも注目ポイント!
パッとみて「お!Pro-Oneっぽいね!」と思った方はなかなかのシンセ好き。
実際にこのFourmのMODULATIONセクションは同社のレジェンド・モノシンセPRO-ONE想起させる設計要素が見られます。左側のFilter Env(フィルター・エンベロープ) / Osc B(オシレーターB) / LFOの3つのモジュレーション元(ソース)を、右側の8つのモジュレーション先(ディスティネーション)にどのよう・どのくらいに割り当てるかを簡単にルーティングが可能。

モジュレーションを有効にするには、まずそれぞれのボタンを点灯させる必要があり
LEDが赤色:ダイレクト・バスにルーティング
LEDが青色:モジュレーション・ホイール・バスにルーティング
となり、青色の時はモジュレーションホイールを上げたときのみ有効になります。

なので例えば上記のような場合、OSC BでCUT OFFを変調、LFOでAMPをモジュレーションホイールを上げた時に変調する形となります。

ちなみにモジュレーション先(ディスティネーション)は赤、青に加え紫色のモードもあるのですが、これは赤のダイレクト・バスと青のモジュレーション・ホイール・バスの両方を同時に受け取る、という意味合いになります。

全くシンセを知らない方だと「モジュレーション?ソース?ディスティネーション?なにそれ…?」となってしまうと思いますが、ご安心ください!
使っていると比較的すぐに理解できます!

モジュレーションセクションの下部にはアフタータッチの設定に関するセクションも。
6つのパラメータ(freq a, freq b, filt, amp, lfo freq, lfo amt)からモジュレーション先や量を設定でき、またアフタータッチ感度もHard 2 / Hard 1 / Medium(標準)/ Soft 1 / Soft 2の5種類から選べますので、演奏スタイルに合わせて設定できます!
また、モジュレーション量は正にも負にも設定可能。

いかがでしょうか?
お値打ちな価格、なのに本格的なSequentialのアナログサウンドが得られる新たなシンセサイザーFourm!
パネルレイアウトも非常に直感的でわかりやすく、同社の上位機種ほどの拡張性や多様性は無いものの、そのサウンド面においてはSequentialらしい図太く豊かで、シンセサイザーでの音作りに興味のある初心者の方はもちろん、経験者や上級者にもお勧めできる1台です。
気になる方はぜひ島村楽器の展示店舗にて実機をチェックしてみてください!


品名販売価格
SEQUENTIAL Fourm
JANコード:4580646115666
¥149,800(税込)

この記事を書いた人

名古屋パルコ店 シンセサイザー / DTM / DJ 担当 立浦(たてうら)

シンセサイザー、DTM、DJ等デジタル機材の事ならお任せください!逆に子育ての事、教えて下さい!



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