2015年版 Roland、YAMAHA、KORG 各社のバンドキーボードに最適なファースト・シンセ を弾き比べてみました

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synthComparison

こんにちはサカウエです。「バンドキーボードを始めてみたい」と思っている方は、まず最初にどの機種を選んだら良いのか悩みますよね?そこで今回は「バンドキーボード」入門に最適なお手頃価格のシンセ3機種をご紹介することにいたします。

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【2017年冬版】初めてのバンドシンセ選び KORG+ROLAND+YAMAHA のおすすめファーストシンセ比較

キーボード選びのポイント

初めてキーボードを購入しようと思った場のチェックポイントは今回以下の3つに絞りました。最近のシンセはシーケンサー(自動演奏)やドラムパターンなども備えている多機能な機種が多いですが、今回はあえてそれらの機能には触れておりません。自動演奏機能を使って曲ネタのスケッチなどを保存したいという方を除いてはバンドやるんだからあまり使わないでしょ?というのがその理由です。

  1. 内蔵音色の種類、特色⇒ピアノ、オルガン系中心?シンセ系?
  2. タッチ、鍵盤数⇒ピアノタッチ? 49,61,76,88鍵
  3. 重量・大きさ⇒持ち運び頻度、部屋の大きさなど

1)内蔵音色の種類、特色

これはズバリ、どんなジャンルの曲を演奏するのか?によって決まってきます。ポップ・ロックバンドなのか、ダンス系なのかで使用する音色も変わってきますよね?たとえばJ-POP系であれば、ピアノ、オルガン、ストリングス、シンセ・リード・・といった音色は必須となるでしょうからそれらの音色が充実しているシンセが向いているということになりますね。最近のシンセは1000音色収録!というのは当たり前になってきていますので、ほとんどの音楽ジャンルで使えるとは思います。しかし音色の傾向はやはりメーカー間で異なりますので、バンドの方向性にあった音色が豊富に収録されている製品を選びたいものですね。

2)タッチ、鍵盤数

たとえば弾き語りピアノ曲を演奏する場合は、49鍵盤だと少々キツイかと思います。その場合はオススメは88鍵盤や76鍵盤といったピアノタッチの「ステージピアノ」ですが、問題は重量です。ピアノタッチとなるとどうしても構造上重量がかさんでしまうので、持ち運びが大変になってしまいます。61鍵盤あればよほどクラシック系の曲では無い限り「オクターブシフト機能」等を使って演奏をカバーすることができます。

MX-49(61)のオクターブ切り替えスイッチ

OCTAVE

ステージピアノ YAMAHA CP4 STAGE

3)重量・大きさ

2の鍵盤数とも関係するのですが、要は「どこで使うのか?」ということですね。電車で頻繁に練習スタジオに行く機会がある方は当然軽いに越したことはありません。女性となればなおさらでしょう・・今回はバンドキーボードということなので6kg以下がオススメかと思います。電池で動くかどうか?というのも最近ではチェックポイントの一つかと思います。

オススメシンセ3機種

というわけで今回オススメのシンセは3メーカー3機種!(鍵盤数やカラーバリエーションを入れると5機種)どれも

  • 軽量(女性でもラクラク持ち運び)
  • 豊富なプリセット(全ジャンルOK)

という条件をクリアしております。

● Roland:JUNO Di ブラック、ホワイト

ブラック (税込) ¥73,150 (税抜 ¥66,500) ⇒  (税込) ¥66,102 (税抜 ¥60,093)

ホワイト (税込) ¥73,150 (税抜 ¥66,500)

ブラック、ホワイトは色以外の機能は同様です

JUNO-Di_BK_LJUNO-Di_WH_L

最新機種はJUNO-DSのレビューこちら

Roland Juno-DS レビュー! JUNO-DS と JUNO-Diを徹底比較

● YAMAHA:MX-49(61)

MX-49とMX-61は鍵盤数が異なるだけで機能は同様です。

MX49_L

MX49 (税込) ¥52,250 (税抜 ¥47,500)

MX61

MX61 (税込) ¥73,150 (税抜 ¥66,500)

●KORG:KROSS-61

KROSS61_L

機能比較

まずはカタログスペックの比較

JUNO Di MX-49(61) KROSS-61
発音数 128 128 80
パート数 16 16 16
鍵盤数 61 49(61) 61
内蔵音色 1338 1296 1052
マイク入力
ボコーダー機能
メモリープレーヤー機能
電池駆動 充電式ニッケル水素電池単3×8 アルカリ乾電池/ニッケル水素充電池単3×6
寸法(W×D×H)mm 1008 x 300 x 104 830 x 298 x 91(984 x 299 x 112) 942 x 281 x 91
重量(kg) 5.2 3.8(4.8) 4.3
税込価格 ¥71,820 ¥51,300(¥71,820) ¥64,800

※重複、イニシャル音色は除く。ドラムキット数含む

MXはボコーダー機能と電池駆動方式が無い位で、スペック的にはほぼ互角かと思います。ただしMX49はやはりその軽さとコンパクトさが強みですね(3.8kgというのはミニチュア・ダックスフントくらいの重さだそうです・・・)。ピアノプレイ重視でなければ49鍵でもまず問題ないでしょう。こうなるとあとは内蔵音色の傾向と各自の好みがマッチするかどうか?ということになると思います。というわけで、使用頻度が高いと思われる音色を比較してみることにしましょう。

音色比較

それではバンドでよく使用される代表音色を聴き比べてみましょう・・・とは言っても各機種ごとに膨大な数の音色が内蔵されており、ピアノ音色だけでもさまざまなバリエーションが収録されています。一応代表的な「使える音」をセレクトしてみましたがあくまで参考としてお聞き下さい。

各サンプル音源は手弾きしたフレーズをDAWにMIDI録音し、各シンセを順番に再生させてオーディオ録音したものです。

seq

アコースティック・ピアノ(機種名:プリセット音色名)

  • JUNO Di:88 Stage Grand
  • MX-49(61):ConcrtGrand
  • KROSS-61:Kross Grand Piano

単体で聴くとJUNOは非常にリッチな響き。KROSSはバンドで立ちそうなサウンドですね。MXはさすがヤマハという感じのコンサートグランド風サウンドでリバーブも美しいですね。

エレクトリック・ピアノ

  • JUNO Di:Stage EP 1
  • MX-49(61):R&B Soft
  • KROSS:Classic Bell E.P.

フェイザー、トレモロ、コーラスといった使用しているエフェクトで全く音が変わってしまうので、1音色だけでの比較は大変難しいのですが、MXのトレモロ、KROSSはキラキラ系サウンドが特徴ですね。なお各社ともエレピの代名詞「ローズ」をモデルにしたサウンドになっています。

エレピって何?という方は⇒【関連記事】初心者のためのエレピ入門~エレピって何でしょう?

オルガン

  • JUNO Di:B Org 1
  • MX-49(61):Slow Jam
  • KROSS:Jazz Perc. Organ

オルガンもエレピ同様、多種多様なサウンドがありますので単純比較はできませんが、搭載されている「ロータリー」エフェクトの質感は非常に重要です。

オルガンの構造とロータリーエフェクトについては⇒【今さら聞けない用語シリーズ】モジュレーション系エフェクト<その2> ロータリー、トレモロ、パン

ストリングス

  • JUNO Di:JUNO Strings
  • MX-49(61):Med Sec
  • KROSS:Legato Strings 1

アコースティックなストリングセクション音色を選んでみました。単体ではリッチなサウンドであっても、実際のバンドアンサンブルの中では中域はギターなどと音域が被ってしまいますので注意が必要です。したがって高域のサウンドがバンドのサウンドに合うかどうか?という観点も大事かと思います。

ブラス

  • JUNO Di:BreakOut Brs
  • MX-49(61):LotsOBrass
  • KROSS:Tight Brass

バンドで生のホーン・セクションを使うというのはレアで、多くの方はシンセで代用するといった場合が多いと思います。シンセに収録されている「ブラスセクション音色」は、トランペット+サックス+トロンボーンで構成されているものが多いのですが、音の立ち上がり、ヌケ、といったあたりが選択ポイントになると思います。

いかがでしょう?やはりメーカーごとに音色の傾向というものはあるようです。というわけで、オススメシンセ3機種でしたが最後にこんな人にはこれ!というポイントをまとめてみましょう。

  • 持ち運び重視派⇒MX49(61)、KROSS
  • 自分も歌う派⇒JUNO、KROSS
  • 多ジャンル演奏派⇒JUNO、MX49(61)

あくまで個人の感想です

なお、タッチだけは実際に弾いていただかないとわからないので、ぜひ島村楽器の各店舗で実際にお試しいただきたいと思います。


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