AKAI Professional ( アカイプロフェッショナル ) からパソコンを必要とせずスタンドアローンで動作可能な「MPC LIVE III」が発表されました。
- MPC3 OSと新クリップローンチ/ソングアレンジで、DAWなしでも現代的な制作からライブまで一台完結
- 3Dセンシング対応「MPCe」パッド、タッチストリップ、RGB付き16ステップボタンで表現力と操作性を両立
- USB‑C 24chオーディオ/32ch MIDI、CV/Gate×8、内蔵マイク/スピーカー/バッテリー、128GB内蔵で本格モバイル環境
MPC LIVE III
「MPC LIVE III」は、スピーカーと充電式バッテリーを内蔵し、DAW不要で単体制作が可能な「MPC LIVE II」の後継機。MPC史上最もパワフルな性能と圧倒的な演奏性を追求した、スタンドアロン型MPCです。
3Dセンシング対応のMPCeパッド、パフォーマンス・タッチストリップ、RGB付き16ステップボタンにより、ビートメイクからライブまで直感的に進行できる設計です。新しいクリップローンチや強化されたソングアレンジ画面、Pro Reverbなどのエフェクト群を備え、DAWやコンピューターに依存しない制作を実現。USB‑Cによる24chオーディオ/32ch MIDI、CV/Gate出力、Wi‑Fi/Bluetoothを装備し、外部機器やDAWとの連携にも対応します。内蔵コンデンサーマイク、ステレオスピーカー、充電式バッテリー、128GB内蔵ストレージを搭載し、スタジオからライブ、出先のスケッチまで、どこでも音楽制作を行えます。
スタンドアローンで成立する最新のMPCワークフロー
MPC Live IIIはMPC3 OSにより、サンプリング、シーケンス、エフェクトまでを一台で統合。新たに追加されたClip Matrixに基づくクリップローンチと強化されたソングアレンジ画面が、アイデア出しから楽曲構築、ライブでの展開づくりまでを効率化します。Pro ReverbやEQ、Utility Plug、Super TS、Pro Stems Separation、CV Playgroupなどの新機能を用意し、スタジオ用途に求められる音作りや編集にも対応。7インチのマルチタッチ・スクリーンを中核に、視認性と操作性を両立したワークフローを提供します。

表現力を引き上げるMPCeパッドとダイレクト操作
MPC Live IIIに採用されたMPCeパッドは、従来機よりベロシティとプレッシャーの応答性を高めた新設計。微妙な指のニュアンスをグルーブへ反映しやすいのが特徴です。さらに、3Dセンシング技術により、ワンショットの各レイヤーに対するX/Yコントロール、連続的なサンプルブレンド、ノートリピートとアーティキュレーションのリアルタイム操作に対応。演奏動作と音色変化の結びつきを強化し、ビートメイクから演奏的な表現まで幅広いコントロールを可能にします。
また、ダイナミックなパフォーマンスのためのタッチストリップ、RGBライト付き16ステップシーケンサー・ボタン、タッチキャパシティブ対応のQ‑Linksノブが、編集やライブ時の即応性を後押しします。マルチタッチのカラーディスプレイは波形編集、ミキシング、クリップマトリクスの操作を直感的にガイド。スピードある楽曲制作と精密なコントロールが可能です。

スタジオクラスの入出力とハード/ソフト統合
USB‑C経由で24チャンネルのオーディオ入出力、32チャンネルのMIDI入出力に対応。マルチMIDI機能により最大32台のデバイスを統合でき、8つのCV/Gate出力でモジュラーやアナログシンセとも連携できます。5ピンMIDIの入出力、XLR/TRSコンボ×2とフォノ入力、オーディオ出力×6を装備し、マイク録音からターンテーブル、外部シンセ接続まで幅広いシグナルに対応。Wi‑Fi/Bluetoothはワイヤレス連携やファイル転送をサポートし、USB‑C経由のAbletonコントロールモード、iPhone/コンピューターからのダイレクトサンプリングも行えます。

モバイル制作に適したオールインワン設計
内蔵コンデンサーマイクとステレオモニタースピーカー、充電式バッテリーにより、電源や外部機器に縛られない本格的なモバイル制作が可能。128GBの内蔵ストレージに加え、SDカードやSATAドライブによる拡張に対応し、大容量のサンプルやプロジェクトを持ち運べます。60個のバックライト付き専用ボタン、ナビゲーション用エンコーダー、270°ボリュームノブなどの物理コントロールが操作の確実性を支えます。堅牢な筐体設計と入出力の充実により、アイデアのキャプチャから緻密な録音、アレンジまでを外出先でも実施できるポータブル・プロダクションマシーンです。

MPC LIVE 3 と MPC LIVE 2 の違い

スタンドアローンMPCの「Live」シリーズは、ポータビリティと本格的な音楽制作機能を両立させ、多くのプロデューサーやビートメイカーに愛用されています。その最新モデルである「MPC Live III」は、前モデル「MPC Live II」からどのような進化を遂げたのか。両者を違いを見て行きたいと思います。
RAMとストレージが圧倒的に強化
「MPC Live III」のRAMは8GBとなっており、「MPC Live II」の2GBから実に4倍に容量が拡大されました。これにより、より多くのオーディオトラック、プラグイン、サンプルを同時に扱っても、よりスムーズに作業できます。とくに、読み込み速度が早くなったのは実感しやすい点かと思われます。また、内蔵ストレージも16 GBから128GBへと大幅に増加し、大量のサンプルやプロジェクトを本体だけで管理できます。もちろん、SATA接続(SSDまたはHDD)によるストレージの拡張にも引き続き対応しています。
| MPC LIVE III | MPC LIVE II | |
|---|---|---|
| プラグイントラック | 32 | 8 |
| オーディオトラック | 16 | 8 |
| ドラムとキーグループ シングル最大出力ボイス | 64 | 32 |
| 最大出力ボイス | 256 stereo | 64 stereo |
操作性と表現力を豊かにする新搭載のコントローラー部
MPCeパッド を搭載
「MPC Live III」の最大の魅力の一つが、この新しいパッドです。従来の叩き心地から変更され、演奏性が向上されました。さらに、パッドを押した4つの位置を検知し、サンプルのトリガーやフィルターのカットオフやエフェクトの深さといったパラメータに割り当てることができます。これにより、一つのパッドで驚くほど多彩な表現が可能になりました。
専用ステップシーケンサーボタン を搭載
「MPC Live II」では16個のパッドをステップシーケンサーモードに切り替えていましたが、「MPC Live III」には専用の物理ボタンが16個搭載されました。シーケンスを打ち込みながらパッドで演奏するなど、よりスピーディーで直感的なワークフローが実現します。
パフォーマンス・タッチストリップ を搭載
新たに搭載されたタッチストリップを使えば、フィルターやディレイといったエフェクト(Touch FX)を指先でダイナミックにコントロールできます。Q-Link、Pad Level、Pitch Bendなど、11種類のモードを切り替えることが可能で、ライブパフォーマンスでの表現力が格段に向上します。

サンプリングしやすいマイク接続
マイクプリアンプとファンタム電源 を搭載
オーディオ入力がXLR/TRSコンボジャックになった点も大きなメリットです。コンデンサーマイクを直接接続してボーカルや楽器のサンプリングを手軽に行えるようになり、外部にマイクプリアンプを用意する必要がなくなりました。
マイクを内蔵
「MPC Live III」には、トップパネルに内蔵コンデンサーマイクを搭載しています。外部マイクを接続しなくても、手軽にオーディオをプロジェクトに直接録音することができます。

標準搭載されたMPC Pro Pack
MPC Live IIIは、Live IIでは有償アップグレードの「MPC Pro Pack」に含まれる高度な機能を最初から標準で搭載しています。
- クリップ起動ワークフロー (Clip Launch): Akai 「Force」のフルクリップ起動ワークフローを実現。Ableton Liveのようなクリップベースのパフォーマンスや作曲が行えます。
- Super Warpアルゴリズム: 高品質なFFTベースのタイムストレッチとピッチシフトを実現する新しいワープアルゴリズムです。サンプルの原音の質感を維持しつつ大胆なエディットが可能です。
- 高度なQ-Link機能: エンベロープフォロワーとLFO機能をQ-Link Editモードに搭載し、より奥深いモジュレーションの可能性を広げます。例えば、オーディオ信号(キックドラムなど)をコントロール信号として使用し、サイドチェインやモジュレーションエフェクトを作成可能。
- 高度なCVトラック編集: Advanced CVは、MPCのCVトラックに包括的なモジュレーターとユーティリティを追加し、外部CV対応デバイスのコントロールとモジュレーションの柔軟性を大幅に強化。外部シンセやモジュラーシステム向けの高度なCVモジュレーション設定が可能になります。
- 高品位なAIRプラグイン: AIR Fabric Select、Visual EQ4、Reverb Proといった、プロダクションの質を高める4つのプレミアムなAIR Music Techプラグインが収録されています。
どっちがおすすめ?
すでに「MPC Live II」をお持ちで、現行のRAM容量や機能に満足しており、Live IIIとの機能差にさほど魅力を感じない方、または、これからMPCを始めたいもののコストを抑えたい方には、「MPC Live II」も有力な選択肢です。基本的なワークフローはLive IIIと共通で、今なお非常にパワフルな一台です。
▼ MPC Live 2 中古などがない場合は表示されません。
「MPC Live III」は、「MPC Live II」の利便性はそのままに、内部性能を大幅に強化し、表現力を高める操作性を備えたモデルです。特にパッド、専用ステップシーケンサー、タッチストリップ、XLR入力は、制作の質とスピードを高め、新たな表現の可能性を広げます。また、USB-C経由で直接サンプリング可能になったため、スマホで録音したちょっとしたボイスをすぐに制作環境に流し込みできる点も嬉しいポイントかと思います。

新旧比較表
「MPC Live III」と、旧モデル「MPC Live II」の主な比較になります。
| MPC Live III | MPC Live II | |
|---|---|---|
| CPU | 8コア | 4コア |
| RAM (メモリ) | 8 GB | 2 GB |
| 内蔵ストレージ | 128 GB | 16 GB |
| パッド | MPCeパッド | RGBバックライト付きパッド |
| オーディオ入力 | 1/4インチ TRS | XLR / 1/4インチ コンボ |
| 専用ステップシーケンサー用ボタン | ◯ | – |
| タッチストリップ | ◯ | – |
| 内蔵マイク | ◯ | – |
| マイクプリ | ◯ | – |
| Stems Pro | ◯ | – |
| MPC Pro Pack | 標準搭載 | アップグレード必要 |
| USBポート | USB Type-C | USB Type-B |
主な仕様
| 搭載OS | MPC3 OS |
| ディスプレイ | 6.9インチ/176mm(対角)、5.9インチ×3.7インチ(150×93mm)フルカラーLEDバックライト、タッチインターフェース |
| パッド | 3Dセンシング技術搭載、ベロシティ/プレッシャー対応パッド×16、Pad Bankボタン×8 |
| ステップシーケンサー | RGBライト付きステップシーケンサー・ボタン×16 |
| ノブ/エンコーダー | タッチセンシティブ対応360° Q‑Linkノブ×4、Q‑Linkボタン×4、360°エンコーダーノブ(プッシュでナビ/選択)×1、270°ボリュームノブ×1 |
| 専用機能ボタン | バックライト付き(赤/オレンジ/緑)×60 |
| 内蔵マイク | コンデンサーマイク内蔵 |
| 内蔵スピーカー | スタジオモニタースピーカー内蔵(ステレオ) |
| プロセッサー | 2世代 8コアプロセッサー |
| RAM | 8GB |
| 内蔵ストレージ | 128GB(SATA接続で拡張可能)、SDカードで拡張可能 |
| ワイヤレス | Wi‑Fi、Bluetooth |
| USB | USB Type‑A×2、USB Type‑C×1(クラス・コンプライアント) |
| オーディオI/O(USB‑C経由) | 24チャンネル入出力 |
| MIDI I/O(USB‑C経由) | 32チャンネル入出力 |
| CV/Gate | 出力×8(3.5mmステレオ×4系統) |
| MIDI端子 | 5ピンMIDI入力×2、5ピンMIDI出力×2、双方向MIDIポート |
| オーディオ入力 | 6.35mmコンボXLR/TRS入力(1ステレオペア)×2、RCA入力(1ステレオペア)×2(フォノ) |
| オーディオ出力 | 6.35mm TRS出力(3ステレオペア)×6、6.35mmステレオヘッドホン出力×1 |
| デジタルオーディオ(ADC) | 24bit、44.1/48/96kHz |
| デジタルオーディオ(DAC) | 24bit、44.1/48/96kHz |
| デジタル信号処理 | 32bit 浮動小数点演算 |
| マイク入力(XLR+TRS×2)周波数特性 | 20Hz–20kHz(+0.2 / −1.2dB) |
| マイク入力 ダイナミックレンジ | 110.0dB(A特性) |
| マイク入力 S/N比 | 101.8dB(1kHz、+4dBu、A特性) |
| マイク入力 THD+N | 0.002%(1kHz、+4dBu、−1dBFS) |
| プリアンプEIN | −131dBu(最大ゲイン、40Ω、A特性)、−127dBu(最大ゲイン、150Ω、アンウェイテッド) |
| マイク入力 最大入力レベル | +13dBu(XLRパッドON)、−1dBu(XLRパッドOFF) |
| マイク入力 感度 | −46dBu(XLRパッドON)、−60dBu(XLRパッドOFF) |
| マイク入力 ゲインレンジ | 59dB |
| ライン入力(XLR+TRS×2)周波数特性 | 20Hz–20kHz(+0.2 / −1.1dB) |
| ライン入力 ダイナミックレンジ | 110.6dB(A特性) |
| ライン入力 S/N比 | 98.6dB(1kHz、+4dBu、A特性) |
| ライン入力 THD+N | 0.002%(1kHz、+3dBu、−1dBFS) |
| ライン入力 最大入力レベル | +16dBu |
| ライン入力 感度 | −20dBu |
| ライン入力 ゲインレンジ | 36dB |
| フォノ入力(RCA×2)ダイナミックレンジ | 92dB(A特性、135mVrms@1kHz、−1dBFS、20Ωソース) |
| フォノ入力 S/N比 | 79dB(A特性、4mVrms@1kHz、20Ωソース) |
| フォノ入力 THD+N | 0.1%(1kHz、−46dBu、−1dBFS) |
| フォノ入力 最大入力レベル | 135mVrms(1kHz) |
| フォノ入力 感度 | 2.1mVrms(1kHz) |
| ライン出力(TRS×6)周波数特性 | 20Hz–20kHz(+0.03 / −0.18dB) |
| ライン出力 ダイナミックレンジ | 113.8dB(A特性) |
| ライン出力 THD+N | 0.003%(1kHz、−1dBFS) |
| ライン出力 最大出力レベル | +12dBu |
| ライン出力 出力インピーダンス | 100Ω |
| ヘッドフォン出力 端子 | 6.35mm ステレオ×1 |
| ヘッドフォン出力 ダイナミックレンジ | 111.2dB(A特性) |
| ヘッドフォン出力 THD+N | 0.006%(1kHz、−1dBFS、各ch10mW/32Ω) |
| ヘッドフォン出力 周波数特性 | 20Hz–20kHz(+0.03 / −0.19dB) |
| ヘッドフォン出力 最大出力 | +50mW(<1% THD、32Ω負荷) |
| ヘッドフォン出力 最大出力レベル | +11dBu |
| ヘッドフォン出力 出力インピーダンス | 32Ω |
| スロット/ベイ | SDカードスロット×1、635mm SATAドライブ用ドライブベイ×1 |
| 電源 | ACアダプター入力×1(19V、3.42A、センタープラス、付属) |
| 内蔵バッテリー | 充電式リチウムイオン、通常使用で最大約3時間 |
| 寸法 | 435.9 × 256.0 × 67.1 mm |
| 重量 | 3.9 kg |
- 製品の仕様やデザイン、動作環境などは予告なく変更することがあります。
サウンドデモ
発売日
2025年10月3日
販売価格
- 価格は予告なく変更となる場合がございます。実際の販売価格はオンラインストアの表示価格および最寄りの店舗でご確認ください。
MPC Live III
| 販売価格 | ¥268,000(税込) |
| JANコード | 0694318026090 |





