管楽器修理スタッフせとっちの『ほのぼの日記』 第7話 【木管楽器】我、割れワレ
こんにちは!せとっちの『ほのぼの日記』第7話です!!
9月になってもまだまだ暑いですね~、、。
皆さん、暑さに負けていませんか??
こまめに水分を取って熱中症にならないよう、気を付けてくださいね!!
恒例になってきた先月のお出かけ報告しますね!!(笑)
8月は本当にいろんな所にお出かけしました!
まずは夏に水がきれいなところにしか咲かない梅花藻(バイカモ)を見に滋賀の醒ヶ井までいってきました。
めちゃくちゃきれいでした!とても珍しい花なので、興味があれば調べてみてください。
あとは、岐阜県の郡上市にも遊びに行ってきました!!
滝をみて、流しそうめんを食べて、鍾乳洞にいって、、、、。
最高に夏休みでしたー!
どこも空気が美味しくてリフレッシュできました!
はい!今回のブログはクラリネット等の『木部割れ』についてです!
僕が作業してきた割れの写真をご紹介しながら原因と対策を考えていこうとおもいます。
そもそもクラリネットの材質ってなに??
クラリネットは様々な材質のものがありますが、一般的にはプラスチック製はABS樹脂、木製はグラナディラという素材でできています!
ABS樹脂とはA(アクリロニトリル)・B(ブタジエン)・S(スチレン)の合成樹脂の事です。リコーダーや、なんと!レゴブロックと同じ材質なんです!!
グラナディラは楽器界での呼び名で、正式名称はアフリカンブラックウッドって呼ばれているそうです!(アフリカの黒い木材、、、、そのままやんけ。)
特徴としては堅い!吸水性が少ない!密度が高い!が挙げられます。
なんで割れるの??
管体が割れてしまった方に割れた時の状況を聞いてみました!
①夏に直接クーラーの風が当たるところで練習した。
②新品のクラリネットで長時間練習した。
③単純に落としてしまった。
実はこの3パターン①②と③で原因をグループ分けすることができます。
③の原因は明白ですね!強い衝撃による割れです。
堅いという特徴があるとはいえ、木ですので、落とすと割れてしまいます。
持ち運びや、長時間楽器から離れるときは十分に気を付ける必要がありますね!!
①②の原因は温度変化による木の膨張・収縮だと思われます。
木材は周囲の湿度・温度によって、膨らんだり縮んだりしています。
要は乾燥ワカメと同じです。湿度・温度が高いと膨らみ、低いと縮むって訳です。
ただ、分厚い素材なので膨らみ方に差が生まれて割れてしまうんです、、、。
とっても分かりづらいので、図にしてみました!
分かりますか??
図のように息が通っている内側と、外気に触れている外側では環境が全く異なります。
それにより、内側の木材は膨らみたい、外側は縮まりたい(変化したくない)と差が生まれてしまう事で、耐えきれなくなって割れてしまうんです、、、。
対策を考えてみましょう!
高温多湿・乾燥・過度な温度差を防ぐためには、どうしたらいいのでしょうか、、、。
水分を溜めないようにする
多湿を防ぐためにはこまめに水分をとる作業が効果的だと思います!
先月も紹介したスワブとクリーニングペーパー。
やりすぎという事はありませんので、がっさがっさ取ってしまいましょう!!
乾燥させないために
皆さんはケースの中での割れ対策何かしていますか??
実は楽器をケースにしまった後、ケースの中って急激に湿度が下がっているんです!!
ちゃんとお手入れして片付けたのに、次の日開けてみたら割れていた、、、。なんてことにならないように神アイテムをご紹介します!!
それがこちら!!
湿度調整剤『モイスレガート』と『モイスチャーハウス』です!!
このアイテムは、ケースに入れておくだけで、湿度を一定に保ってくれるんです!!
割れ対策だけでなく、タンポの劣化防止にも効果がありますので、ぜひ入れていただきたいアイテムです!!
ちなみに『モイスレガート』は西陣織。『モイスチャーハウス』はリバティ柄という模様になっています!(瀬戸はリバティ柄派かな!!←誰も聞いてない笑)
温度差を和らげる
先ほど紹介したクーラーの風が当たるところでの練習。また直射日光が当たるところでは、割れが発生しやすくなってしまいます。
しかし、どうしてもそのような環境で練習しなければいけない時もでてくると思います。
それぞれの対策を説明すると、、、。
・クーラーの効いている部屋での練習→練習を始める前にこのように楽器を温めてみましょう。
人肌でゆっくり温めることで、ストレスなく楽器を温める事が出来ます!
・直射日光が当たるところでの練習→タオルを巻く等、少しでも直接日光があたらないような工夫をするだけで、かなりの予防になります。
オススメの対策は以上の3つです!!
これまでに作業した割れたち
さて、ここからは僕が今まで見てきた割れコレクションをご紹介していきます!!(お客様にはご了承をいただいています。)
全部で3つ紹介していきます!
ちなみに1つは割れ修正対応、2つは交換対応となりました。
割れ修正対応をしたものから紹介していきます!!
①10㎝越えの大物
1つ目はアルトクラリネットです!
分かりにくいので、白い丸で囲ってみました。
1度修正したような跡がありましたが、再発してしまったようでした、、、。
音孔のところにも割れが侵攻していますね。
修正後はこんな感じになりました!!
修正痕は残っていますが、かなり目立たなくなりました!
再発防止を心がけましょう!
②ベルに複数の割れ
次はこちら!!(分かりやすいように、ジョイントリングを外しています。)
丸で囲ったところに、2か所割れが発生しているのがわかりますか??
裏側にも反対側にも同じような割れがもう1つありました、、、。
熱い蛍光灯の光が当たるところに、組み立てたまま長期間保管されていたようです。
木がかなり縮んでしまっている事と、割れの量が多く深い事から今回はベルごと交換することになりました!
③割れと呼んでいいものか?
最後はこちらです!衝撃写真です。
これは割れと呼んでいいのでしょうか、、、。
練習中に手が滑ってコンクリートに落としてしまったそうです。
ショックですね、。
僕もここまで割れたベルは初めてみたので、とても驚きました。
こちらもさすがに修正は困難だと判断して、新しいベルと交換しました。
これからも、めげずに練習頑張ってくださいね!!
まとめ
今回は管体割れの原因と対策、そして事例について紹介してきました!
色々と対策を紹介してきましたが、どんなに対策していても木製の楽器は割れるときは割れてしまいます。
割れを放置してしまうと、どんどんと広がって取り返しのつかない事になってしまいますので、気になる事があれば、すぐに相談していただければと思います!!
更新が遅くなってしまいましたが、今月もブログを読んでいただき、ありがとうございます!!
だんだんと、スタッフ瀬戸の旅行記になってきている感が否めませんが(笑)、今後も月1回ペースで更新していく予定ですのでお楽しみに~!
ではでは!また来月~
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愛知県出身の瀬戸です。小学生の頃からトロンボーンを吹いています。YSL882O・88Hを持っています。お客様1人1人に合った修理を致します!!