【マイスター工房通信】チェロの駒のお話
みなさま、こんにちは。弦楽器修理担当の鍵主です。
関東も梅雨入りをして少しずつじめじめと蒸し暑くなってきました。こんな時は爽やかで涼しい場所に行きたくなりますね!
湿度が高くなるとペグが回りづらくなったり楽器にも影響が出てきます。
ささいなことでも点検調整をするとグッと使いやすくなる時もあるので、いつでも気軽にご相談ください!
さて、今回はチェロの駒についてお話しします。
バイオリンやビオラの駒は1タイプはしかありませんが、チェロの駒は2タイプあります。
では一体どのように違うのでしょうか。
⓵フレンチタイプ
下の写真のタイプが”フレンチタイプ”と呼ばれる駒になります。
全体的にしっかりとした作りをしています。
材質にもよりますが、割と硬めの、パリッとした音になる傾向にあります。はっきりした音になるので、音量が欲しい方はこちらのタイプが良いかもしれません。
重心も低く、足も太めなため、強度的にも強めです。
お店に並んでいる物を見ると、こちらのフレンチタイプが付いていることが多いですね。
ちなみに上の写真は削る前の段階の写真です。
ここからそれぞれの楽器に合わせて削っていきます。
下の写真がビフォーアフター。
だいぶ形が違うかと思います。厚みもここまで削りますし、足の表板と接地する面もバイオリン同様、それぞれの楽器に合わせてフィッティングをしていきます。ですので、それなりに時間がかかります。
⓶ベルギータイプ
下の写真が”ベルギータイプ”と呼ばれる駒になります。
こちらはフレンチタイプにくらべ、足が長く、重心も上目です。
こちらも材質によりますが、フレンチタイプに比べると柔らかめな音になる傾向にあります。柔らかい音の分、音量的にはフレンチタイプには若干劣る感じがします。
重心が上の方にあるのと、足がフレンチタイプよりも細い為、フレンチタイプに比べると若干不安定な感じがしますが、調弦の際に駒の角度がきちんとしていることを確認していれば特に問題はありません。
ちなみに下の写真がビフォーアフター。
終わりに
今回はおおまかにタイプの違いについて説明させて頂きましたが、それ以外にも、メーカーやグレード、また同じメーカーの同じグレードのものでも材質も一枚一枚違います。一度取り外した駒も保管しておけば付け替えることは可能ですので、余裕がある方はタイプの違いを試してみても良いかもしれません。音の傾向はおおまかにご紹介しましたが、最終的には楽器に付けてみないと分かりませんので・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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ちょっとした調整でかなり弾きやすくなることもあります。今まで一度も点検に出したことが無い方もお気軽にご相談ください!