
Roland/ローランドで久しぶりにワークステーション・シンセサイザーがまもなく発売されるということで、早速試してみました。
FA06の概要
「FA06」と「FA08」(以下:「FAシリーズ」)はワークステーションタイプのシンセサイザーです。なのでライブにも楽曲制作にも対応するシンセになります。
まず、ローランド社のウェブサイトで「FAシリーズ」の特徴をまとめてみると以下の6点です。
- INTEGRA-7直系のサウンド・エンジンを搭載
- 16パートすべてに使用可能なMFX
- エフェクト・パフォーマンスに最適なTFX
- DAWコントローラー、オーディオ・インターフェース
- 音声素材やオーディオ・ループなどを活用できるサンプラー
- マルチ・トラック・エクスポート機能
- 音色ダウンロード・サイトAxialから膨大なサウンドを入手可能。
これらが押しポイントみたいですので、この機能が一体なにか簡単に見ていきたいと思います。

INTEGRA-7直系のサウンド・エンジンを搭載とは
「INTEGRA-7」とはローランド社が誇るフラグシップ音源モジュールです。(現在2014年2月現在)

アコースティック音源(生楽器)を再現する”SuperNATURALアコースティック・トーン”と、アナログ・シンセサイザーを表現するSuperNATURALシンセ・トーンといわれるサウンドが内蔵されており、どちらも最高品質のサウンド・クオリティになります。
その「INTEGRA-7」のなかから厳選したサウンドが「FAシリーズ」に内蔵されております。
SuperNATURALアコースティック・トーンはピアノやオルガン、エレピなどバンドでよく使われる音色を中心にストリングスアンサンブルやベースなどが内蔵されております。


SuperNATURALシンセ・トーンはシンセリード、ストリングス、ブラスや楽曲制作でよく使われるシンセベース、パッド、ヒットの音色などが内蔵されております。


16パートすべてに使用可能なMFXとは
「FAシリーズ」はマルチティンバー音源です。1台のシンセサイザーの中に16パートもっております。
”16パートすべてに使用可能なMFX”とは、そのパート一つひとつにエフェクターを掛けることができます。

例えば、ピアノパートにディレイを掛け、オルガンパートにロータリースピーカー・シミュレーターを掛けて…というように16パート分を同時に鳴らすことができます。
他社製のシンセサイザーではいくつものエフェクターを掛けることはできても、16パートすべてに掛けられるのはそうありません。

もちろん、パート1つにかけられるエフェクターは1系統だけではなく、リバーブやコーラスなどの定番は別枠に設けており、それ以外にも全体にかかるマルチエフェクトを1つ、マスターEQを別に用意されております。

もっと欲張りに1パートに3つ以上のエフェクターを掛けたいという場合は、MFXのエフェクトの中に2つのエフェクターが組み合わさっているものがあります。
エフェクト・パフォーマンスに最適なTFXとは
MFXと別に用意されているエフェクターがTFXです。上に書いたエフェクターにもう一つ効果を加えることができます。

こちらは全体か或いは外部オーディオ入力に掛けられ、MFXのエフェクトと比べ強烈なサウンドで攻撃的にかかります。サンプラー「SP404」に内蔵されている人気エフェクター「BPM LOOPER」や「DJFX LOOPER」なども搭載し、斬新かつ奇抜なパフォーマンスが行えるので、あれ?DJいる??みたいなライブパフォーマンスが出来そうです。


DAWコントローラー、オーディオ・インターフェースとは
DAWコントローラーとは、Cubaseなどの音楽ソフト(DTMソフト)をコントロールする機能で、画面で触れることができないツマミやボタンを「FAシリーズ」のノブやボタンで直感的に操作することができます。ゲームしている方ならわかりますね。コントローラー使ってキャラクターを操作するイメージです。
画面を操作しようとすると、通常はマウスによるカーソルのみですが、このコントローラーを活かせば素早く操作することができ、尚且つマウスだと1点のみの操作ですが、両手を使って2つ以上の同時に操作を行うことができます。


オーディオ・インターフェースはご存知の方も多いですね。
「FAシリーズ」ではインターフェースとしても使うことができるので、DTMソフトと組み合わせたときに便利になります。

音声素材やオーディオ・ループなどを活用できるサンプラーとは
例えば市販されている楽曲のワンフレーズを取り込んでみたり、旅先で自然音、お祭りの賑やかな音などを小さなレコーダーに録音してそのデータをFAに取り込んだり、生ドラムの音を取り込んだり、誰かの声を取り込んだり、とにかくシンセサイザーの中に入っていない音や音色を取り込んで(サンプリングして)、ライブや楽曲制作に使えるのがサンプラーのいいところ。
バンドでライブ同期(自分たちが演奏しないパートを録音して、その音源をライブで再生し生演奏と合わせること)をしたい場合も、サンプラーは便利ですね。
シンセサイザーに搭載されている音源だけだと物足りない。そんな時サンプラーが効果的です。(FAシリーズのサンプラー機能についてはこちらに記載)

マルチ・トラック・エクスポート機能とは
「FAシリーズ」の中にはシーケンサーが内蔵されております。16パート分をMIDI録音することが出来ますが、(FAシリーズのシーケンサーの機能はこちらに記載)そこで録音したものをDTMソフトに移動したいという時があるかも知れません。そんなときに使う機能がこのエクスポート機能。そこにマルチ・トラックということは、16パート分を別々のオーディオ・ファイルにして書き出すことができるんです。こうすることによって、DTMソフト側に移動した際に編集がしやすくなります。

音色ダウンロード・サイトAxialから膨大なサウンドを入手可能とは
「FAシリーズ」は新たにサウンドを拡張することができます。ですので購入時の内蔵された音だけがすべてではありません。まず第一弾として公開されたのがダンス系に特化されたサウンドコレクション。JUPITER-8、JUNO-106、TR-808、TR-909、TB-303、JD-800、JP-8000といった、ダンス・ミュージック・クリエイターに絶大な人気を誇る名機のサウンドがたっぷり収録しています。
これ以外にもだいたい月ごとに公開を予定しているので、新たに追加されるライブラリーを待つのもまた楽しみの一つとなります。

搭載方法など詳しくはこちら:FA-08/FA-06用EXPシリーズ
また、「FAシリーズ」は「INTEGRA-7」と同じSuperNATURALシンセ・トーンのエンジンが搭載しているので、INTEGRA-7用のサウンドライブラリーをインポートして使用することもできます。ローランド社が誇る歴史的名機のシンセサイザーの数々を再現することができます。

やり方など詳しくはこちら:INTEGRA-7用の音色セット
FAシリーズの魅力
次に個人的な視点でFAシリーズがここが魅力!というポイントをご紹介します。
カラーディスプレイ

音源や機能も重要ですが、見た目も重要!じゃなかった…視認性も重要です。見えにくいと効率が落ちるのでダメですね。
各セクションもほぼカラーで配置されており、レベルメーターまで鮮やかです。

【ライブに便利!】フェイバリット機能

今や必要不可欠とも言えるこの機能。その名の通りお気に入りの音を保存したり、よく使う音を保存したり、ライブで使用する曲順に合わせてセットするのに使います。

【ライブに便利!】スプリット/デュアル、オクターブ、トランスポーズのボタン

このボタンは前面に出ていると入門者の方にとっては特にありがたい機能だといえます。
基本的にはほとんどのシンセサイザーが対応している機能ですが、ボタン1つで行えるので迷うことがありません。それぞれの機能の内容は以下の通り。
スプリット:左手の音色をベース、右手の音色をピアノなど鍵盤を分けて音色を配置できる機能。
デュアル:ピアノとストリングスなど、異なる(又は同じ)音色を合成し重ねて弾くことができる機能。
オクターブアップ、ダウン:基準の音から同じの音程の一つ上下の音にします。ドの音を一つ高いド、低いドまで移動させる機能。
トランスポーズ:半音単位で鍵盤を変えずに音のみを移調することができる機能です。例えばトランスポーズすることでハ長調の曲からその他の調へ白鍵盤で弾くことができます。練習してきた調が突然本番で変わったり場合や、白鍵および黒鍵のグリッサンド奏法をする時に綺麗にアップダウンをしたい時など使ったりします。
【ライブ/制作に便利!】スタジオセット
ローランド製シンセサイザーの独自の名称だと思っていただければと思います。
16パートの音色やエフェクトなど、自分でカスタマイズしたセットを組むことができます。

ある程度シンセサイザーを弾いていくと、デュアルやスプリットをもっと多用したくなります。例えば、両手で弾く曲やソロのパートがない曲などは、下のように3つの鍵盤ゾーンでスプリットをし場合によっては、パートをデュアルにして様々な音色を配置します。こうすることによって瞬時に鍵盤を変えるだけで音を変えられ、音色切り替えをしなくてすみます。

【ライブに便利!】音色切り替えの際の音切れ
ライブでの曲によってはいくつもの音色を切り替える場合があります。その際、音が切れてしまうシンセサイザーがありますが、FAは音が切れないよう設計されております。
フェイバリットで音色セットしておき即座に音色切り替えしても音が切れません。ただし、切り替えた際に音が変化してしまうのですが、静かな曲の場合はそれすらも嫌う場合はスタジオセットで音色をセットしておき、パッドの設定をパートセレクトモードにすることで、1パートづつであれば綺麗に音色を切り替えることもできます。


【ライブに便利!】8×6のコントロールツマミ
JUNO-Diは5つ、JUNO-Giは6つのコントロールしかできなかったのに対してFAシリーズは48つのコントロールをツマミですることができます。

また、その内6つは自由に当てはめることができます。これは非常に便利で、演奏中にコントロールしたいパラメーターを割り当ててておくことで、今までできなかったパフォーマンスを広げることができます。例えばピアノ音色で、ドライブの歪み具合をツマミに割り当てればだんだんとディストーションがかかったノイジーなピアノにするなどといったことが可能です。

【ライブに便利!】メトロノームが出せるサブアウトプット出力

FAシリーズにはサブアウト出力端子が設けられています。この音だけサブアウトから出力するといったことができますが、メトロノーム(クリック)をここに出力することもできます。
内蔵シーケンサーに打ち込んだパートをライブ同期する場合、メトロノームのみ自分だけ聞く設定することが可能です。

FAシリーズのとくに魅力
さらに細かくFAシリーズのここが凄い!というポイントを詳しくご紹介いたします。
シーケンサー

FAシリーズの打ち込みはほとんどの画面から録音ボタンを押すことですぐに開始され、インスピレーションを損なわない設計となっております。
打ち込み画面は縦がトラック、横が打ち込みデータで、時間軸が横に流れる一般的なDAWのような画面となっております。

ピアノをされていた方であればリアルタイム録音が便利ですよね。FAシリーズは旧製品であるFANTOMに搭載されて好評だった、特定の小節を繰り返しながらを重ね録り(オーバーダブ)するループ録音に対応しております。

弾いたと同時にタイミングのズレを修正するインプット・クオンタイズはもちろん搭載。

キーボードが弾けなくても、打ち込みしやすいツールとして、ステップ録音にも対応してます。

打ち込んだものを編集できるツールとしてイベントリスト&マイクロスコープのピアノロール画面も設置されております。

【ライブ/制作に便利!】リズム機能

FAシリーズにはリズムパターンを内蔵しております。
音楽ジャンルごとに整理された56種類のカテゴリーから選択し、その中から6つのパターンから選んで再生することで、キーボード演奏とセッションすることができます。

好みのリズムパターンがなければ、自分で作ることもできます。
元のパターンから付け加えたり、真っ白な段階からステップで入力することもできます。

シーケンサーで内蔵されたリズムパターンを使うことも可能です。
シーケンサーの録音機能にシンク機能があります。こちらをオンにすることでリズムパターンをシーケンサーの方に録音することができます。

【ライブに便利!】サンプラー
バンド演奏にも楽曲制作にも使える万能機能といえばサンプラー。制作には音源の追加効果として、ライブならパフォーマンスとして抜群な効果を発揮します。
ただ、難しいイメージが付きまとうのもまたサンプラーです。
FAシリーズに搭載されたサンプラーはいたって簡単!
まずは、どの場所にサンプリングするかを選択します。

鍵盤で弾いた音を録音するのか、FAのインプットに繋いだ外部の音源を録音するのか選択します。

どの録音レベルに達したときに録音を開始するのかを決めて、レベル調整を行うだけでサンプリングすることができます。

サンプリングしたら、余分な箇所を切り落として、押したときのみ再生するのか、一回押せばフレーズ全体を再生するのかを決めて保存すれば終了です。
難しいことなくシンプル操作で行えるので、始めての方でも容易に扱うことができます。

まとめ
FAシリーズを簡略にまとめると、音源&サンプラー&DTMコントローラーが組み合わさった一体型シンセサイザーとなります。
シンセサイザーのサウンド部分をメインにブラッシュアップし、ステージや制作にも対応できるようプラスアルファの機能を持たせ、今のニーズに応えたワークステーションです。

FAシリーズは誰に適しているの?
- 持ち運びのシンセを探している(FA-06)
- これからバンドでキーボードをしようとしている方
- ライブでシンセサイザーを必要としている方
- ライブで弾かないパートを打ち込んでおきたい方
- 作曲/編曲をしたい方
私的総合評価
久しぶりのローランドのワークステーション・シンセサイザーですが、音質面と操作面が好印象です。
操作面では、例えばスプリットからのオクターブを上げたりするのが他社の同価格帯シンセだと、設定するのが大変だったりしますが、FAシリーズは各ティンバーの鍵盤が画面に出てきて、どのパートがどのスプリットポイントになっているか分かりやすくなっております。

そこから、オクターブを上下するのもとても簡単。
他のシンセサイザーでは、ここから半音単位で上げることしかできないタイプもあり、12(1オクターブ)が最大となっているものもあるので、こういった点も評価できますね。

全体的に操作がしやすいので入門のシンセサイザーとしてもおすすめですし、そしてこのサウンドのクオリティがまた魅力。ピアノやオルガンなど生楽器の音を特徴とするSuperNATURALアコースティックのサウンドはもちろんですが、それ以外の音色も以前にフラグシップ音源モジュールであった「XV-5080」のPCM音色が使用されております。
また、SuperNATURALシンセも内蔵しているので、シンセの音作りに関してもこのクラスでは考えられないスペックです。まるでJUNOシリーズにGAIAが埋め込まれたかのように、分かりやすい画面で音色の作りこみができるので、プリセットを呼び出すだけのシンセサイザーに物足りなさを感じてきてしまっても十分に活用できますよ。


FA-06は鍵盤部分がシンセタッチ鍵盤。JUNO-DiやGiと同等クラスの鍵盤採用しているので、重さがJUNOシリーズとほぼ変わらない5.7kgと軽量化が実現されております。女性や頻繁に持ち運びされる方はとくに嬉しいですね。


足でパッチ切替えやボリュームなどをコントロールするためのフットスイッチ端子が3つ接続できます。
JUNO-Diは1つ、JUNO-Giは2つでしたが、FAシリーズはよく使うダンパーペダルとボリュームペダル、そしてもう一つ何かコントロールできます。

というわけで、気になる方はぜひ、一度店頭でチェックしてみてください。
ライブ専用で考えるなら「JUPITER-50」という機種もあるので、そちらと比べて使いやすいもの、或いは内蔵されている音色で検討されてみるのもいいかも知れません。
価格や概要はこちら:Roland 「FA-06」「FA-08」サンプラー&ワークステーションシンセサイザー発表!
白モデルも新発売:Roland FA-06-SC 発表!800音色以上追加したFA06ホワイトモデル
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