グリスのお掃除、してますか?
こんにちは!
川崎ルフロン店西村です。
修理技術者からみた管楽器お手入れのお話を紹介しています。
前回はクラリネット・サックスのスワブのお話、前々回はフルートのガーゼの巻き方とご案内してきましたが、今回はグリスの拭き取りについて紹介します。
コルクグリス、使った後拭き取っていますか?
拭き取りが不十分だと、思わぬトラブルを引き起こすことがあります。
その1 ジョイントコルクが剥がれやすくなる
「コルクが突然剥がれました」
そう言って楽器をお持ち込みいただく事がよくあります。
「以前はきつかったのでグリスを塗っていたが、コルクが馴染んでからは塗っていない」という方も、最後に塗った後の拭き取りが不十分だと、グリスが浸み込んで突然剥がれてくる事もあります。
コルク剥がれの修理についてはこちら↓↓
コルクは生きているか
その2 ケース内に汚れが溜まりやすくなる
上から見ると
このケース、汚れが付着しているのが分かりますか?
赤い丸の場所に汚れが付着しています。
横から覗いてみると…
拭き残したグリスがベッタリ・・・
こうなる前に!!!
拭き取りの方法をおさらいしましょう!
1:スワブを通した後、楽器を分解します
ティッシュかガーゼ、専用のクロスを使用します。
拭き取りに使用する布は拭き取り専用にしましょう。
スワブでグリスを拭き取ってしまうと、管内を掃除する際水分を吸いにくくなってしまいます。
スワブでの拭き取りはしない様に心がけてください!
2:コルクに付着したグリスを拭き取ります
ポイントは「軽く拭き取ること」
ゴシゴシ擦っては逆にコルクを傷めることもあります。優しく拭き取りましょう。
上管と下管をつないでいる部分(上の写真で拭き取りをしている部分)を触るときは、飛び出ているキイを引っ掛けないように注意してくださいね。
3:ジョイントされる側も拭き取ります
グリスが汚れを引き寄せてしまうのでコルクのない側も必ず拭き取ってください。
拭き取りと反対側の手でキイの付いていない部分を持っておくのがポイントです。
ここで一工夫!
ガーゼやクロスだと拭き取りづらい奥の方のグリスは綿棒を使ってもいいかも知れません。
上管のキイが邪魔して指では届きづらい部分も綿棒なら届きます!
下管は奥の角の部分に古いグリスが固まることが多いです。
グリスが固まると頑固な汚れとしてますます除去しづらくなってしまいます。
4:1ヶ所で終わりではありません
1~4を繰り返します。
クラリネットのジョイント部分は4ヶ所、マウスピースからベルまでそれぞれのコルク側・受け側を掃除するので8ヶ所掃除ですね。
使ったティッシュはゴミ箱へ、専用ガーゼ・専用クロスは汚れた部分を内側へ畳んで保管してください。
いかがでしたでしょうか?今回はクラリネットでコルクグリスの拭き取りを紹介しましたが、同じようにコルクグリスを使っているオーボエ、サックス、ピッコロでも、グリスの拭き取りは大切です。
いつもの片づけにひと手間加えて楽器の状態を良好に保ちましょう!
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福岡県出身の西村です!ヤマハのSAXを愛用しています。楽器修理を通じて、今よりもっと音を楽しんで頂けるように最善を尽くします。