【弦楽器工房ブログ】ペグの角度調整
皆様、こんにちは。
弦楽器技術スタッフの高瀬です。
昨日、久しぶりにフクロモモンガと遊びました。
ケージから出すとしばらくは私の服の上を登り降りしながら遊んでいたのですが、いつの間にか服の中へ侵入。
肌に爪を立てながら背中を登り始めたので、背中がとてもヒリヒリします。
まだ痛いです。
当工房では弦交換やペグ調整の際に、お急ぎでなければペグの角度調整も一緒に行っています。
お客様から、自分で行う場合どのようにすれば良いのか、とご質問をいただくことがありますので、簡単に説明をさせていただきます。
ペグが上の画像のような状態だと見栄えは美しいですが、チューニングを行う時にペグと手が当たってしまいます。
なので、ペグがとても回しにくいと思います。
上の画像の角度ならチューニングも快適に行えます。
この状態に近づけるには
■弦の長さを変える
■弦の巻き方を変える
簡単なのは以上の2つでしょう。
まず、弦の長さを変える方法について説明します。
長さを変えるといっても、弦を切るわけではありません。
ペグ穴から出ている弦の長さを、弦を出し入れして調節します。
一番単純な方法です。
単純ではあるのですが、弦の出し具合の調整が少々面倒です。
微調整の場合0.1mm単位で調整する必要があり、ヴァイオリンだとだいたい0.5mmで1/4回転、10mmで1/2回転します。
しかし、この数値はペグの太さと弦の種類によって変わってくるので、上の数値は参考までにお願い致します。
弦を出す寸法が短いほど、ペグの回転数は多くなります=ペグが奥にいきます(弦を張る方向)
弦を出す寸法が長いほど、ペグの回転数は短くなります=ペグが手前にきます(弦を緩める方向)
家に鉗子がある方は、鉗子を使うと弦の出し入れが行いやすいです。
無い方はピンセットでも代用可能です。
こちらの方法、弦を出しすぎると弦のテンションが高くなるので、テンション高めが嫌いな方は出しすぎに気を付けてください。
続いて弦の巻き方を変える方法です。
何パターンかあるのですが、今回は1番簡単な方法を紹介します。
その方法は、弦を壁側に寄せるか寄せないかの違いです。
一般的な巻き方は上の画像です。A線とD線がペグに向かってストレートに張ってあります。
この巻き方だと、次に紹介する巻き方に比べて弦は奥側(弦を張る方向)に若干動きます。
こちらは、A線とD線をペグボックスの壁に沿わせて張ってあります。
(A線はペグボックスの形状により、あまり変化が無いように見えますが、、、わずかに壁側になっています)
この巻き方だと、ストレートの巻き方に比べて弦は手前(弦を緩める方向)に若干動きます。
ペグはテーパー状になっており、その特性(太いところに巻くか、細いところに巻くか)を利用して微調整しています。
弦をストレートに張ると音の鳴りが良くなり、壁に沿わせると弦が狂いにくくなるというメリットがそれぞれあります。
ペグの角度を大きく修正したい場合は弦の長さ調整を、微調整なら弦の巻き方を変えてみるのはいかがでしょうか。
(当工房では基本的には弦をストレートに設定しているので、長さだけで調整しています)
また、弦交換の直後は、弦が伸びることを想定して少し手前側に設定しておくと良いです。
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弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!