【マイスター工房通信】アジャスターのお話
===a===
アジャスターのお話
こんにちは!弦楽器修理担当の高田です。
皆さま夏休みはどこかへ遊び行かれましたでしょうか。遊び行ってないよ!という方、私もです。
休みの日はひたすら家の猫と遊ぶ愉快な時間を過ごしておりました。
今回はバイオリンのアジャスターについて少しだけお話し致します。
【目次】 [#k:title=1.アジャスターの役割] [#s:title=2.ループエンドとボールエンド] [#l:title=3.アジャスターあるある] [#z:title=4.お問合せ] |
===k===
アジャスターの役割
アジャスターとは音合わせの補助パーツです。弦を引っ張ったり緩めたりしながら音の調整を致します。ペグ側の調整よりさらに微調整が出来て、特にバイオリン1番線の繊細な音合わせの補助には欠かせないパーツとなっております。
===s===
ループエンドとボールエンド
写真上:ループエンド用のアジャスター&弦
写真下:ボールエンド用のアジャスター&弦
バイオリン1番線のアジャスターは、ループエンド用とボールエンド用の2種類があり、それに伴って1番線の弦がループエンドならループエンド用のアジャスター、ボールエンドならボールエンド用のアジャスターで使用致します。
ループエンドの魅力・・・ボールエンドアジャスターに比べて弦長を正しく確保できるため、その音色の魅力を存分に生かすことが出来き、見た目もこじんまりしている為、すっきりして見えます。ただし、切れやすいというデメリットもあります。
ボールエンドの魅力・・・ネジの可動範囲がループエンドアジャスターに比べると大きい為調弦しやすく、ループに比べると切れにくいと言われております。
どちらかお選びする時は、大きく分けて音色か調弦の可動範囲かを基準でお選び頂ければ迷うこともなくなりますね。
===l===
アジャスターあるある
可動範囲を超える
写真のように、ネジの可動範囲を超えてアジャスターが表板にまで達してしまっています。これでは表板に傷を付けてしまいます。ネジの可動範囲限界の一歩手前(表板にネジが付かない距離)に来たら、ネジを戻し、ペグ側で調弦してから使用しましょう。
固くなる
アジャスターは金属です。時間が経つと汗や松脂他汚れによって錆びたり固くなって動きが鈍くなる場合があります。もはや動かない場合は交換になりますが、ネジが取れる場合はネジ側やネジ穴側にグリースや石鹸、蝋燭で潤滑させ滑らかな回し具合にすることもできます。
ループとボールの共存
写真のようにボールエンドアジャスターにループ弦を張ってしまっている楽器をたまに拝見いたします。また先日、ループエンドアジャスターにボールエンド弦が張られている(と言うよりも引っかかっているという方が正解な)強者もありました。張れないこともないのですが、切れやすかったり外れてしまったりと、一手間二手間増えてしまうこともありますので、アジャスターと弦は揃えて使用しましょう。
使い方の分からないパーツの役割や構造を知ることで、演奏のしやすさや楽器の取り扱いの方法も変わってきます。
ご自身の楽器を手に取り、少しでも気になる部分等ございましたらお気軽にシマムラストリングス秋葉原へお問い合わせ下さいませ。
記事中に表示価格・販売価格、在庫状況が掲載されている場合、その価格・在庫状況は記事更新時点のものとなります。
店頭での価格表記・税表記・在庫状況と異なる場合がございますので、ご注意下さい。
毛替えや全体調整、使い方に合わせた修理提案等、幅広く対応いたします。お気軽にご来店ください。