音の要!!!~駒について~
こんにちは!ここ数日は若干暖かくなってきたような気がします。今年の冬は大雪が降ったりと寒さが厳しかったですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回はバイオリン属の音の要とも言える"駒"についてご紹介したいと思います。
駒の役割
そもそもバイオリンがどのような仕組みで音を出しているのかご存知でしょうか?
基本的には弦が振動して音が出ているのですが、それだけでは音が小さすぎるため、本体が振動を増幅させ、大きな音を出しています。本体はいわばスピーカーのような役割をしているわけですね。
駒はこの中で、弦の振動を表板に伝えるという重要な役割を果たしています。拾った振動をいかにきれいに妨げずに伝えられるか、という重要な役割になります。
駒の材質
駒材はメープル(楓)を使用しています。日本の木では条件が合わず、基本的には海外のメーカーから仕入れて使用します。通常は写真のような半加工品を使用しますが、バイオリンを製作をされている方の中には材料から切り出して自分で作る方もいらっしゃいます。当工房では前者の半加工品を使用しています。
駒は切り出してすぐは使用できませんので、切り出してから寝かせるシーズニングという工程が必要になります。切り出して間もない材は水分量(含水率)が多く、水分が抜ける過程で木が動いてしまい、歪みや反りの原因になります。
木材なので繊維の通り方や密度に違いがあり、それによってメーカーがランク分けをしています。当工房ではスタンダード、デラックス、スペシャルのランクをご用意しています。
ではランクごとにどんな違いがあるのでしょうか。
スタンダード
演奏していただくのには十分な材をご用意しています。ただし、音色等を求めるには上のランクをお勧めします。
デラックス
スタンダードに比べ密度が上がり、強度も増します。シーズニングもスタンダードよりはされている為、水分も抜け、音の立ち上がり(レスポンス)も良くなる傾向にあります。また水分が抜けた分、振動がダイレクトに伝わりますので、音がクリアになる傾向にあります。音色を気にされる方や発表会等に出られる方はデラックス以上の材をお勧めします。
スペシャル
密度、繊維の通り、シーズニング、共に申し分ありません。しっかりとした材の為、強度もありますし、レスポンスもよく、音もクリアになる傾向にあります。振動を妨げる水分もない為、弦の振動をダイレクトに伝えますので、音量も増す事があります。
最後に...
今回は駒についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。当工房でのリペアで駒交換をする際にランクの違いについてのお問い合わせが多かったため、今回取り上げてみました。
音の要と書きましたが、音色を決める要因は他にもある為、一概にこういう音になりますとは言えませんが、使用する材によって大きな違いが出ることは確かです。また、お使いになっている楽器にもよりますので、わからない場合はお気軽にお問い合わせください!
駒交換に使う刃物たち。
おまけ
駒は半加工品でもそのまま立てることは出来ませんので、技術者が楽器に合わせて丁寧に削っていきます。参考までに、ビフォー&アフター。
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