買取楽器の調整~チェロ Clement&Weise~   【弦楽器工房ブログ】

皆様、こんにちは。
弦楽器技術スタッフの高瀬です。

久しぶりのブログになります。
最近はありがたいことに修理も忙しくやっていまして、ここのところずっと「駒交換、ニス補修、毛替え…」のループを繰り返していました。
忙しさもそうですが、似たような修理ばかりしておりブログネタも枯渇気味なのでどうしても修理内容が被ってしまいますね。
…と言いつつ今回もニス補修事例の紹介になります。

中古チェロ「Clement&Weise /2006」の調整内容について簡単にご紹介します。

買取楽器の調整

今回買い取らせていただきました楽器は珍しくチェロで、ラベルは「Clement&Weise /2006」です。
Hagen Weise氏がKlaus Clement氏と共同で会社を興していた時代の楽器ですね。
※Hagen Weise氏は現在独立しております

こちらのチェロ、とても鳴りが素晴らしく高音域も難なく発音できる優秀な方です。
(以前のオーナー様はランクアップ買い替えのために手放されました)
見た目も美しくてセットアップも申し分なく、これは音調整だけでお店に出せるな、と思っていたのですが…
一つどうしても気になることがありました。

修理前の状態

まずはこちらをご覧ください。

傷に対してニス補修を施した痕跡があるのですが、白線で囲った部位に違和感を感じないでしょうか?
他の傷も見てみましょう。

特に分かりやすい部位を3か所ピックアップしてみました。
よく見ると、傷に対してニス補修の痕跡が大げさに広範囲であることにお気付きいただけたでしょうか。
通常傷の補修を施す際、ニスはピンポイントに乗せる場合がほとんどです。
しかし以前修理をされた方は、急いでいたのかズボラな方だったのか、小さな傷に対して大きな筆で「のぺっ」と大胆にニスを乗っけています。
これでは見る角度によってニス補修の痕跡が丸分かりなので、とてもかっこ悪いです。
このまま再販し、新たなオーナー様に私の修理痕だと思われるのは何だか悲しいので…このニス補修痕を除去しましょう。
(全部で23か所ほどありました)
除去法は悩みましたが、ニスの層がかなり厚かったので「スクレーパーで大まかに除去→マイクロメッシュで部分的に磨き→アルコールでポリッシュ仕上げ」この流れで作業を行いました。

修理後

余分なニスを落とした状態がこちらです。

なるべく同じ角度、位置から撮りましたが部分的なので分かりにくいかもしれません…
しかし、あの大げさなニス塗り痕は無くなっているのがお分かりいただけると思います。
中古ということもあり、傷はあえて完全に修理することなく再度ニスコーティングする程度に留めています。

気になる方は、是非当店HPの中古ページをご覧ください。

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この記事を書いたスタッフ

岩田屋福岡店高瀬

弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!

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