ヴァイオリンのネック削り 【弦楽器工房ブログ】
皆様、こんにちは。
弦楽器技術スタッフの高瀬です。
実家から芋を大量に送っていただきましたので、最近はほぼ毎日焼き芋を食べています。
個人的には「シルクスイート」と呼ばれる品種が甘くて感触も良いのでおすすめです!
しかし流石にそろそろ飽きてしまいそうなので、焼き芋以外のレシピがないか模索中です。
今回はヴァイオリンのネック削りについて、簡単にご紹介致します。
ネック削りについて
ネック削りと聞いてもいまいちピンと来ない方が多いと思いますが、実はヴァイオリン(ヴィオラ、チェロも)のネック削りはマイナーな修理ではありません。
当工房もオープンしてから2年経過しますが、既に7人のお客様からネック削りを依頼していただきました。
やはり人により手の大きさや楽器の持ち方はそれぞれ異なりますので、ネックの形を加工してあげることにより持ち心地は良くなります。
(製作者の中には、購入後にネック削りを行うことを前提にあえて太い状態で出荷する人もいるとか…)
形状も大まかに半円型、半楕円型、三角型…と色々パターンがあります。
今回のお客様は有難いことに「理想のネック形状」を実物で知ることが出来ましたので、実物と照らし合わせながら作業を行います。
ネック削り前の状態
こちらが削り前の状態です。
写真だと分かりにくいですが、少しぽてっとした半円型をしています(楕円とまではいかないです)。
こちらを、三角型に近い形状へ削っていきます。
ネックの型取り
型取り材の煮込み
皆様にも変化が分かりやすいように、↓の素材を使用してネック中央部の型を取ってみましょう。
こちらは温めると柔らかくなり、冷めると固くなる便利な素材です。
(丸めるとスーパーボールになるらしいです)
これをしばらく煮込むと…
柔らかくなります。
こちらをそれぞれの楽器(ネック削りを行う楽器、形状サンプルの楽器)へラップ越しに押し付けます。
形状の比較
それでは型取り材が固まったので形状を確認してみましょう。
左がお客様の楽器、右が今回目指す理想の形状です。
絶妙な違いかもしれませんが、実際に持って比較してみると雲泥の差があるので不思議です。
ネック削り後
先ほどとは別にテンプレートを作成し、ナイフとやすりで加工するとこうなります。
型との比較
写真だと分かりにくいですよね…!
と思いましたので、このために型を取ってあるのでご安心ください。
削り後のネックに削り前の型を乗せてみるとこうなります。
側面に大きな隙間が見えると思います。
この隙間分削ったとなると、結構な変化がありそうな気がしませんか?
理想のネック形状のヴァイオリンと比較しても問題なさそうなので、あとはお客様の感想を待つのみとなります。
ご満足いただけると良いのですが、こればかりは分からないので毎回ドキドキです。
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弦楽器技術者の高瀬です。楽器の調子が悪い、音をもっと良くしたいと思いましたら、ぜひご来店ください。皆さまをお待ちしています!