調整のおはなし

ジメジメとした日が続き、台風が東から西からやってくるこの季節。

皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

前回の投稿が春でしたので、今回は少し早めの投稿となりました。

ええ、あくまで私基準ではございますが。

お待たせいたしました。

今回のお話は、「エレキギターの調整」でございます。

「調整といっても、いったい何をしているんだろう?」

そんな疑問をお持ちの方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

基本的にはメニューにある通り、ネックの反りを整え、弦高を調整し、ピックアップのバランスを取るなど、さまざまな作業を行います。

今回も、大切なお客様からのご依頼でございました。

昔購入された楽器を調整して、忙しい毎日の中でも、これからも弾き続けたい。

そうおっしゃっていただけるのは、こちらとしても実にうれしいことでございます。

私も年を重ねまして、世間の忙しさというものを、ひしひしと感じております。

仕事に追われ、予定に追われ、気がつけば一日が終わっている。

そんな毎日の中で、

「またギターを始めたい」

「これからも弾き続けたい」

そう思っていただける。

それだけで、うれしいじゃありませんか。

家に帰って、さっとギターを抱えていただけるように。

思い立ったとき、すぐに弾き始められるように。

コンディションを整え、扱いやすくすることをコンセプトに、細かな部分まで踏み込んだ調整を施させていただきました。

さて、今回の楽器はこちらでございます。

非常に丁寧に扱われていた一方で、これまでしっかりと演奏されてきたことも伝わってくる楽器でございます。

指板全体に残る指の跡。

ところどころに見られるフレットの減り。

ピックによって剥がれた塗装。

この状態を見ておりますと、お客様とこのギターが過ごしてきた時間や、積み重ねてきた物語が浮かんでまいります。

しかし、いつの日からか、ケースにしまったままになっていたギター。

それでも、頭の片隅にはずっと残っていたのでしょうね。

「これは、元気になってもらいたい」

そう思わせてくれる一本でございました。

フレットはくすみ、指板には艶がなく、楽器全体が少しくたびれているようにも見えます。

何でもそうですが、放っておきますと、いろいろなところから覇気がなくなっていくものでございます。

人間も楽器も、定期的な手入れが大切。

調子を崩してから慌てるより、元気なうちに手を入れておくのがよろしいようで。

以前の思い出とともに、これからも弾き続けていただけるよう、しっかり調整してまいりましょう。

ということで、まずは楽器の気になる箇所を探していきます。

楽器を分解し、各パーツごとに状態をチェック。

基本的には、弦の通るラインを確認していきます。

そしてエレキギターでございますから、電装まわりも入念に調べてまいります。

今回は、軽いすり合わせ、パーツの組み直し、電装系のチェックと修正、そして仕上がりを左右する組み込み作業を行います。

それでは、順番にまいりましょう。




フレットは、大がかりなすり合わせまでは行いませんが、今回の調整に必要な範囲で状態を整えていきます。

フレットは、まるで鏡のような輝きに。

指板には、ほどよい艶が戻るように。

そして、弦の通り道がスムーズになるよう、丁寧に仕上げていきます。

指板とフレットが、見事に生き返りましたね。

楽器というのは不思議なもので、少し手を入れるだけで、表情がぱっと明るくなることがございます。

ネックを整えている間に、分解した金属パーツのクリーニングも行います。

汚れや微細なゴミ、くすみなどを取り除いた後、ペグ、ナットを取り付け、ネックセクションの組み込みを完了させました。

次はこちら。

ブリッジとまいりましょう。

このタイプのブリッジは細かなパーツが多いため、慎重にオーバーホールを行います。

このブリッジひとつに、これだけのパーツがあるんですよ。

ひとつひとつは小さくても、集まればなかなかの人数……ではなく、なかなかの点数でございます。

洗浄を済ませ、しっかりと乾燥させます

ブリッジの組み込みも、細かなパーツが多いため、順番を確認しながら慎重に進めていきます。

そして、ここが重要でございます。

エレキギターでは、弦が振動し、その振動をピックアップが電気信号へと変えていきます。

その弦の振動をボディへ伝える、大切な接点となるのがブリッジでございます。

つまり、ブリッジは弦振動に関わる重要な部分。

ここにこれだけのパーツがあるということは、慎重にならざるを得ないわけでございます。

各パーツを順番に組み込み、確認。

また組み込み、確認。

同じような作業を繰り返しながら、慎重に組み込みを進めていきます。

そして、無事に組み込み完了となります。

ここまでやると、錆で動かなくなる前に生き返ります。

ネックとブリッジが整ったところで、弦の通る道も確認したいので、弦を張って一度仮組みを行います。

この段階で、電装系以外の部分を、微調整も含めて仕上げていきます。

最後に、電装系のチェックです。

お預かりした時点では「問題ない」状態でしたが、経年劣化などがないか、すべて確認していきます。

ここでは、ハンダも多少修正いたします。

電装パーツもしっかりと組み込み、ここから楽器全体の調整を施していきます。

90年代後半に生まれたギターでございますが、これからまた長く使っていただけるよう、しっかりと整えました。

とはいえ、弾いていけばコンディションは少しずつ変化していきます。

ですので、また気になることがございましたら、ぜひ調整にお持ちくださいませ。

私も整体の先生から、よくこのように言われます。

「問題がないときに施術に来ると、良いコンディションを保てますよ」

とのことでございます。

ギターも人間も、調子を崩してから慌てるより、問題がないうちに手を入れておくのが大切なのかもしれませんね。

最後に、こちらをご覧ください。

ロックナットの裏側に、弦の跡が残っていますよね。

この跡を見ることで、どの弦用のロックナットなのかを判断することができます。

こうした細かな部分にも、長い年月の中で積み重ねられた演奏の跡が残っているわけでございます。

今回の調整で、ギターはまた元気を取り戻しました。

忙しい毎日の中でも、家に帰ってさっと手に取れる。

思い出の詰まった楽器を、これからも弾き続けられる。

そんな状態に整えることができたのではないかと思います。

長くケースにしまったままのギター。

久しぶりに弾いてみたら、なんだか弾きにくいギター。

音や弾き心地が気になるギター。

そんな楽器がございましたら、ぜひ一度ご相談くださいませ。

大切な思い出の詰まった楽器も、少し手を入れてあげることで、また新しい時間を刻み始めることがございます。

それでは今回は、エレキギターの調整のお話でございました。

またのご来店、ご用命を、スタッフ一同心よりお待ちしております。

それでは、このへんで。

……「次のブログはいつ上がるんです?」って?

ギターの調整は早めにできますが、ブログの調整には少々お時間をいただくことがございます。

どうか気長に、お付き合いくださいませ。

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この記事を書いたスタッフ

浅草橋ギター&リペア店山口

島村楽器の店頭ギターリペアブースを新宿店~福岡イムズ店~梅田ロフト店〜大宮店と担当し、現在は浅草橋ギター&リペア店を担当しています。よろしくお願いします。

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