AlphaTheta「XDJ-AN」を実際に触って、さまざまな接続方法や新機能、そして前機種「XDJ-RR」との違いをチェックしてみました。
スマホやクラウドの楽曲を活用したい方、「XDJ-RR」からの買い替えを考えている方、現場に近い環境で練習したい方は、ぜひ参考にしてください。
XDJ-ANのいろんな接続方法
パソコンとの接続
パソコンとUSBケーブルで接続することも当然可能です。
対応しているソフトウェアは以下の通り。
- rekordbox
- Serato DJ Lite
- Serato DJ Pro(別途課金が必要)
- djay(別途課金が必要)

「XDJ-RR」では対応していなかった、Seratoにも対応したのはうれしいですね。
接続方法は、「DDJ-FLX4」のようないわゆるDJコントローラーとしての接続というよりも、クラブなどで使用される機材をパソコンに接続してプレイするときに近い方法です。
自宅でXDJ-ANを使用しておけば、クラブなどの現場にある機材をパソコンに接続してプレイする際も安心です。


スマホとの接続
スマートフォンのアプリは下記に対応しています。
- rekordbox
- djay(別途課金が必要)


「XDJ-AN」とUSBケーブルで接続するだけで、スマホ内のDJアプリをコントロールできます。
ただし、今回検証した限りでは以下の制約がありました。DJ HAGI的には、スマホでの使用はあまりおすすめいたしません。
スマホ接続時に気になった3つの点
- ブラウズ時、曲名などが「XDJ-AN」のディスプレイに表示されない
- 曲を読み込んだ際、「XDJ-AN」側に波形が表示されない
- 「XDJ-AN」からスマホへの給電ができない



今回検証した際の状況ですので、今後のバージョンアップなどで改善される可能性はあります。
一方、パソコン接続時は、「XDJ-AN」のディスプレイに曲名や波形が表示されます。


USBデバイスでの使用
USBデバイスは1本のみ対応ですが、動作状況は上位機種と同様です。現場でのプレイを想定した練習も、しっかりできます。
USBデバイスをrekordboxで認証しておけば、クラウド内の楽曲にもアクセス可能です。



XDJ-RRとの比較
ひとつ前の機種である、XDJ-RRと比較してみました。


プレイヤー部分を比較
「XDJ-RR」で表に出ていたボタンが、タッチパネルディスプレイの中に収まったようなイメージです。
DECK SETTING専用のボタンがディスプレイ右側にあり、押すとすぐにプレイヤー部分の設定へアクセスできます。


プレイヤー部分では、意外にもなくなった機能はほとんどありません。逆に、HOT CUEのボタンが4つから8つに増えています。

ミキサー部分を比較
ミキサー部分では、外部入力がなくなってしまった点は残念です。
ただし、そのほかはグレードアップしている点が多く、こちらもディスプレイ左側の「MIXER SETTINGS」ボタン内に設定が集約されています。


サウンドカラーFXは4つから6つに増え、ヘッドホンにはSONIC LINKという超低遅延ワイヤレスが内蔵されており、対応のヘッドホン「HDJ-F10」と接続可能になっています。
サウンドカラーFXは4つから6つに増加。さらに、XDJ-RRにはなかったSonicLink対応トランスミッターを内蔵し、対応ヘッドホン「HDJ-F10」を低遅延ワイヤレスで接続できるようになっています。
SonicLinkについては、[SonicLinkの解説はこちら]で詳しく紹介します。


XDJ-RRからグレードアップした主なポイント
- HOT CUE:4つから8つへ
- サウンドカラーFX:4つから6つへ
- SONIC LINK対応ヘッドホンに対応
- Bluetoothに対応
- Serato DJに対応
- Wi-Fi内蔵で、クラウド内の楽曲が使用可能
XDJ-ANで注目したい最新機能
Wi-Fi内蔵で、クラウド内の楽曲が使用可能

「XDJ-AZ」や「CDJ-3000X」では、Apple Musicやrekordboxのクラウドを活用した環境が導入されてきています。「XDJ-AN」も、この環境に対応しました。
このrekordboxのクラウドを構築できるDJシステムのなかでは、「XDJ-AN」が最も手に取りやすい価格の機種になります。クラウド環境をどんどん活用したい方には、とってもおすすめです。
- 対応サービスの利用には、各サービスの対応プラン・アカウント・インターネット接続が必要です。
QRコードでスマホログインに対応

オールインワンDJシステムの最上位機種「XDJ-AZ」にも搭載されたQRコードログインが、「XDJ-AN」にも搭載されています。
「XDJ-AN」のディスプレイに表示したQRコードをスマホで読み込むだけで、rekordboxアプリと連携しているアカウントにログインできます。
これにより、自身のアカウントと連携しているApple Musicやrekordboxクラウド内の楽曲を使用できます。

XDJ-AN初搭載。スマホでLINK EXPORTに対応
LINK EXPORTは、「XDJ-AN」が初搭載となる機能です。
同じWi-Fiに接続されている「XDJ-AN」とスマホであれば、スマホ内の楽曲をワイヤレスで使用できます。rekordboxアプリから「CDJ/XDJ/DJMと接続」を選択すれば、「XDJ-AN」と接続可能です。

DJ HAGI的に、XDJ-ANの一番のおすすめポイントはここです。
LINK EXPORTによるスマホ内楽曲へのアクセスと、QRコードログインによるクラウド内楽曲へのアクセス。この2つをスマホ1台で使い分けられるのは、かなり便利です。

SMART CUE / GATE CUE

SMART CUEは、HOT CUEで呼び出したポイントを通常のCUEにも反映できる機能です。
GATE CUEは、停止中の状態からHOT CUEを再生した場合、HOT CUEボタンを離すと音が止まる機能です。
プレビューモニター
再生中の楽曲の先の展開を、ヘッドホンでチェックできます。
次の展開を確認しながらプレイしたいときに便利な機能です。
今再生している楽曲のその先の展開をヘッドホンでチェックすることが可能です。(動画あり)

SMART CUE、GATE CUE、プレビューモニターの解説動画です。
ワイヤレス機能:SonicLinkとBluetooth
SonicLink
SonicLinkは、AlphaThetaの超低遅延ワイヤレス音声伝送技術です。
「XDJ-AN」に内蔵されたSonicLink対応トランスミッターと、対応ヘッドホン「HDJ-F10」を接続すれば、約9msという低遅延でワイヤレスモニタリングが可能です。
「HDJ-F10」は、Bluetooth接続とSonicLink接続の両方に対応するワイヤレスDJヘッドホンです。一般的なワイヤレスヘッドホンでは、音の遅れ(レイテンシー)が、即時性を求められるDJプレイで課題になることがあります。しかしSonicLinkなら、遅延をほぼ意識せずにキューイングやミックスを行えます。
ケーブルを気にせず動けるワイヤレスの快適さと、DJプレイに求められる操作感を両立できるのが、SonicLinkの大きな魅力です。
Bluetoothの入出力

Bluetoothの入出力に対応しています。出力はSBCだけでなく、AACにも対応しています。
AACで接続すると、SBCと比べて遅延を抑えられます。
インスタントダブルからBEAT JUMPにも対応
同じ楽曲を反対側のプレイヤーにコピーする「インスタントダブル」を行ったあと、BEAT JUMPで1/2拍、または1拍分移動できます。
これにより、ヒップホップなどで使われる高度なテクニック、半拍ずらしや1拍ずらしを瞬時に行えます。
半拍ずらしと一拍ずらしの解説動画です。
モバイルバッテリーでの駆動にも対応
「XDJ-AN」はUSB-Cによる電源入力を採用しているため、モバイルバッテリーでも使用できるか試してみました。
本体の電源仕様には「9V/3A」と記載があります。そのため、PD 30W程度の出力に対応したモバイルバッテリーが必要になりそうです。iPadなどで使用する5V/2.1Aのモバイルバッテリーでも試してみましたが、起動しませんでした。
モバイルというには大きすぎますが、30W出力に対応したバッテリーがあったので試したところ、問題なく使用できました。

最近は小さめのモバイルバッテリーもあります。ディスプレイ裏あたりに設置して使用すれば、電源ケーブルを接続せず、とってもすっきり使えそうです。
現場へ「XDJ-AN」を持ち込んでプレイする際も、コンセントのない場所で使用できる可能性があるので、持ち回りが楽になりそうです。
- 本検証は、手持ちのモバイルバッテリーで動作を確認したものです。モバイルバッテリーでの動作はメーカー保証外となる可能性があるため、使用する際は自己責任でお願いいたします。
USBデバイスは1つしか使えないけどDJの入れ替えは大丈夫?
DJの入れ替えでは、スマホでのQRコードログインやLINK EXPORTを使うと、スムーズに交代できます。


プレイ中にUSBデバイスが抜けた場合を試してみた
プレイ中にUSBデバイスが誤って抜けてしまうと、4拍を繰り返し再生するエマージェンシーループがかかったり、最近の機種では1曲がそのまま残ったりします。
そこで、プレイ中にトラブルが起きた場合、XDJ-ANがどのような動作をするのかチェックしてみました。

結果、読み込まれている楽曲はそのまま残るようです。
ただし、読み込みが最後まで完了していない場合は、エマージェンシーループになるようです。
また、SOURCE画面の「USB STOP」を押すと、曲が消えるようになっています。
- USBデバイスが破損する危険性があるため、再生中・アクセス中のUSBデバイスは取り外さないでください。
USB-AからUSB-Cへの変換アダプターがあると便利
「XDJ-AN」のUSBポートはUSB-Cポートになっています。
すでにUSBデバイスを使用している方は、USB-AタイプのUSBデバイスを使っていることも多いと思います。その場合は、USB-AをUSB-Cへ変換するアダプターを用意しましょう。
現場では、まだまだUSB-Aポートの機材も多いです。USB-AとUSB-Cの両方に対応したUSBデバイスを使用するのがおすすめです。


スクラッチ等のパフォーマンス系はどう?
クロスフェーダーの切れは?
フェーダーの端から音が出る位置までの距離である「カットラグ」がやや大きいため、クラブスクラッチなど、細かいスクラッチは少し音が出にくい印象です。
テレホンカードやパンプラのように、薄くて硬いものをテープで貼り、距離を埋めることで、クラブスクラッチなども行えました。



しかし、先日のXDJ-ANセミナーで、DJ IKUさんはデフォルトの状態でキレキレなスクラッチをやっていたので、すごいですね!
2枚使いも◎
前述した「インスタントダブル→BEAT JUMP」の機能を使えば、半拍ずらしなどのプレイも可能です。
先日のXDJ-ANセミナーでのDJ IKUさんのプレイも、ぜひご覧ください。
まとめ:スマホとクラウドを活用したいDJにおすすめ
XDJ-ANは、XDJ-RRからの正統進化というだけでなく、スマホやクラウドと組み合わせた新しいDJ環境にしっかり対応した機種です。
特に、QRコードログインとLINK EXPORTを使い分けることで、スマホ1台から楽曲へアクセスできる点は大きな魅力です。
自宅での練習はもちろん、現場に近い操作感でDJプレイをしたい方、クラウド環境を積極的に取り入れたい方におすすめです。
「実際の操作感はどうなの?」「画面はどんなふうに見える?」「DJプレイではどのように使える?」という方は、DJ HAGIによる商品紹介動画もぜひご覧ください。記事内で紹介した機能を、実機を使いながら解説しています。
商品情報
XDJ-AN
| 販売価格 | ¥176,000(税込) |
| JANコード | 4573201244123 |

この記事を書いた人

三宮オーパ店 DJ.デジタル楽器アドバイザー 萩尾(はぎお)
DJ HAGI a.k.a DRAGON
2001年のDMCのビデオ映像に衝撃を受け、バトルDJに憧れる。その後すぐにDJバトルを企画し、10年以上定期的に草DJバトルをプロデュース。機器のチューンナップや修理が趣味。





