パソコンで音楽制作をするうえで欠かせないDAWソフト。最近のDAWには最初からかなり優秀な音源が付属しているので、DTMを始めたばかりの方であれば、まずは付属音源だけでも十分に曲作りを楽しめます。
ただ、制作に慣れてくると、だんだん気になってくるんですよね。
「ドラムをもっとリアルにしたい」
「ベースがどうしても打ち込みっぽい」
「ピアノの音をもう少し良くしたい」
そんなときに導入を検討したいのが、外部のソフト音源です。
この記事では、DTM初心者から中級者の方に向けて、定番として長く使いやすいおすすめソフト音源を紹介します。
まず結論:迷ったらこの選び方がおすすめです
先にざっくり結論からお伝えすると、ソフト音源は「作りたい音楽」と「今いちばん物足りないパート」から選ぶのがおすすめです。
| 目的 | まず検討したい音源 | 代表的な候補 | 向いている方 |
|---|---|---|---|
| 一通りの音を揃えたい | 総合音源 | KOMPLETE 26 | 最初の追加音源を探している方 |
| ドラムをリアルにしたい | ドラム音源 | Superior Drummer 3 | ロック、バンド、J-POP系を作る方 |
| ベースを自然にしたい | ベース音源 | MODO BASS 2 | 打ち込みベースを強化したい方 |
| ピアノの表現力を上げたい | ピアノ音源 | Ivory 3 | バラード、ポップス、鍵盤系を重視する方 |
| 今っぽいシンセサウンドが欲しい | シンセ音源 | SERUM 2 | EDMやダンス系、ボカロの方 |
| ギターを打ち込みたい | ギター音源 | Ample Guitar | ギターが弾けない作曲者、仮アレンジを作りたい方 |
| ストリングスを入れたい | ストリングス音源 | Spitfire Chamber Strings | J-POP、ゲーム音楽、アニソン系を作る方 |
「どれが自分に合うかわからない」という方は、使用しているDAW、パソコン環境、作りたいジャンルによっておすすめが変わります。この記事を読んでも迷う場合は、店頭で制作環境を確認しながら一緒に選ぶこともできます。
ソフト音源・ソフトシンセとは?
シンセサイザーって聞くと鍵盤がついててキーボーディストが演奏される装置を思い浮かべるかと思いますが、リアルにある装置をシンセサイザーと一般的には呼ばれ、そのシンセサイザーをコンピューターなどのバーチャル上で動作するものをソフトシンセ(ソフトウエアシンセサイザー)と呼びます。
つまりソフトシンセとはパソコンの中で存在するシンセのことです。
詳しくは:【FAQ】ソフトシンセとは?
ソフトシンセには、ドラム、ベース、ピアノ、ギター、ストリングス、ブラス、オーケストラ、エスニック系の民族楽器など、実在する楽器の音を再現したものがあります。また、ウェーブテーブルシンセや、アナログシンセを再現したソフトシンセなどもあります。
リアルな楽器の音から、電子的なシンセサウンドまで、さまざまな種類があります。
音楽制作をする場合は、DAWソフトを使うのが一般的です。そして、多くのDAWソフトには、最初からソフトシンセが付属しています。
そのため、DAWを導入すれば、すぐに音を鳴らして制作を始められる場合が多いです。
ただし、制作に慣れてくると、付属の音源だけでは物足りなく感じたり、もっと音質を良くしたいと思ったりすることがあります。
そのようなときに、DAWソフトに追加できるソフトシンセを導入します。
使っているDAWに音源を追加することで、使える音色が増え、音楽制作の幅を広げることができます。

ソフト音源を選ぶ前に確認したいこと
ソフト音源は、買えば必ず使えるわけではありません。
自分のDAWやパソコン環境で動くか、インストール容量は足りるかなど、購入前に確認しておきたいポイントがあります。
使用しているDAWに対応しているか
外部ソフト音源は、DAWにプラグインとして読み込んで使うことが一般的です。
このとき重要になるのが、プラグインフォーマットです。
プラグインフォーマットとは、DAWでソフト音源を動かすための規格のことです。
主な形式には、VST / VST3、Audio Units(AU)、AAXがあります。
たとえば、代表的なDAWソフトである「Cubase」は、VST / VST3に対応しています。
そのため、使いたいソフト音源もVST / VST3に対応していれば、Cubaseで使用できる可能性があります。
製品ページやパッケージには、対応しているプラグインフォーマットが記載されています。
VST、AU、AAXのどれに対応しているかを確認し、あわせてOSやパソコンの動作条件もチェックしておきましょう。

主要のDAWソフト対応(プラグインフォーマット)
下記は、主要なDAWソフトでよく使われるプラグインフォーマットの例です。
ソフトシンセを導入する前の注意点。
使用しているDAWと、購入予定のソフト音源が、同じプラグインフォーマットに対応しているかを確認しましょう。
| 主な形式 | よく使われるDAW例 |
|---|---|
| VST / VST3 | Cubase、Studio One、Ableton Live、FL Studio、Bitwig Studioなど |
| AU | Logic Pro、Digital PerformerなどMac環境のDAW |
| AAX | Pro Tools |
OS・CPU・メモリ・ストレージ容量
プラグインフォーマットだけでなく、パソコンの動作環境も確認しておきましょう。
確認したい主な項目は、以下の通りです。
- 対応OS:Windows / macOSのバージョン
- CPU:必要な処理性能
- メモリ:必要なメモリ容量
- ストレージ容量:インストールに必要な空き容量
最近のソフト音源は音質が高いぶん、容量が大きいものもあります。
特に、総合音源、ドラム音源、ピアノ音源、ストリングス音源などは、数十GBから数百GBになることもあります。
内蔵ストレージに余裕がない場合は、外付けSSDの使用も検討しましょう。
HDDでも使える場合はありますが、読み込み速度や快適さを考えると、SSDの方が安心です。
ソフト音源の定番7選
ここからは、定番として長く使いやすいおすすめソフト音源を紹介します。今回は「総合音源」「ドラム」「ベース」「ピアノ」「シンセ」「ギター」「ストリングス」という、DTMで使用頻度の高いカテゴリから選びました。
- 総合音源: 「KOMPLETE 26」
- ドラム音源: 「Superior Drummer 3」
- ベース音源: 「MODO BASS2」
- ピアノ音源: 「Ivory 3」
- シンセ音源: 「SERUM 2」
- ギター音源(アコギ音源・エレキ音源): 「AMPLE GUITAR」
- ストリングス音源: 「Spitfire Chamber Strings Professional」
Native Instruments KOMPLETE 26

Native Instruments KOMPLETE 26は、シンセ、ピアノ、ドラム、ギター、ベース、オーケストラ音源、エフェクト、サンプル素材までをまとめて収録した、総合音楽制作バンドルです。
業界標準サンプラーKontakt 8、定番シンセMassive X/Massive/FM8/Monark、アンプ&エフェクトのGuitar Rig 7 Proなどを中心に、作曲・編曲・ミックスに必要なツールを幅広く収録。ポップス、EDM、ヒップホップ、ロック、映画音楽まで、さまざまなジャンルの制作に対応します。
グレードは3種類。Standardは主要な音源とエフェクトを揃えた基本版、Ultimateはストリングス、ギター、ベース、シネマティック音源などを大幅に追加した上位版、Collector’s EditionはNative Instrumentsの主要製品をほぼ網羅する最上位版です。

総合音源の定番は、やっぱり「KOMPLETE」になると思います。正直、他に同じポジションで置き換えられるものがなかなかないんですよね。
KOMPLETEは一見すると高く感じるかもしれませんが、中に入っている音源やエフェクトの数を考えると、実はかなりコストパフォーマンスが高いです。ドラム、ベース、シンセ、ピアノ、ストリングス、オーケストラ系、エフェクトまで、一通りの制作環境がまとまって手に入ります。単品音源をひとつずつ買っていくと、気づけばKOMPLETEが買える金額になっている、というのは本当によくあります。
あと、KOMPLETEを語るうえで絶対に外せないのが、業界標準サンプラーである「KONTAKT」のフルバージョンが含まれていることです。
世の中にある高品質な単品音源(サードパーティ製ライブラリ)の多くは、動かすためにこの「KONTAKTの製品版」を要求します。KOMPLETEを手に入れるということは、単に大量の音源が手に入るだけでなく、「今後、世界中のデベロッパーがリリースしている、より尖ったプロ向けの単品音源を導入するための土台」が手に入るということでもあります。これは音源を増やしていく段階で、後々ものすごく効いてくる大きなメリットです。
追加音源って、1つ良いものを買うと他の音が急に気になり始めるんですよね。ドラムを良くしたらベースが気になる。ベースを良くしたらピアノが気になる。結局、DAW付属音源だけでは満足できなくなっていく。私はこれを勝手に「追加音源連鎖現象」と呼んでいます。
そう考えると、KOMPLETEはまず一通り制作環境を底上げしたい方には非常に現実的な選択肢です。エレクトロ系やポップス、劇伴ならSTANDARDでも長く戦えますし、ストリングスやオーケストラ、シネマティック系までシチュエーションに合わせてしっかり使い分けたい方はULTIMATE以上を検討する流れになると思います。
ただし、総合音源を買えば単品音源が不要になる、というわけではありません。特にロックやモダンなバンド系を作りたい場合、STANDARDの生楽器系(ドラムやベースなど)だけでは、自由度や音抜けの面でいずれ物足りなくなり、専用の単品音源が欲しくなることも多いです。
KOMPLETEは、ギターで言うならマルチエフェクターのようなもの。まず広く押さえられる安心感があります。一方で単品音源は、コンパクトエフェクターのように「この音が欲しい」というこだわりを満たしてくれる存在です。結局どちらも使うことになる方は多いと思います。順番が違うだけ、という感じですね。
定番総合音源は:KOMPLETE 26
KOMPLETE 26 Standard

KOMPLETE 26 Ultimate

Toontrack Superior Drummer 3

Superior Drummer 3は、1,600種類以上のMIDIパターンと約235GBのサウンドライブラリを収録した、圧倒的にリアルなドラム音源です。
検索しやすいMIDIフレーズ、入力したグルーヴに近いビートを探せる機能、さらに選択したスタイルをもとにAメロやサビなどのセクションごとにドラムパターンを提案してくれる機能を搭載。ドラムの打ち込みに慣れていない初心者でも、曲に合うリズムを作りやすくなっています。
一方で、35種類の内蔵エフェクトやスタック機能により、細かな音作りにも対応。使いやすさと本格的なサウンドメイクを両立した、プロ仕様のドラム音源です。さらに、SDX/EZXを含む別売の拡張音源は100種類以上、MIDIフレーズ集は130種類以上展開されており、制作スタイルに合わせて拡張していけるのも魅力です。

前回(2023年定番ドラム音源)は「BFD」を挙げましたが、今の定番として最初に名前を出すなら「Superior Drummer 3」かなと思います。
「BFD」はかなりドライで、本当に生ドラムを録音した後のように、その後のミックスをしっかり頑張る必要があります。一方で「Addictive Drums 2」は、最初からかなり“出来上がった音”なので、とても扱いやすい。動作も軽いですし、すぐ曲に入れたい方には今でも強いです。
で、「Superior Drummer 3」は何が良いかというと、ドライな音も作れるし、豊富なマイキングによるアンビエンス込みの音も作れるし、さらにプリセットも豊富で簡単に使えるところだと思います。つまり、「作り込める人向け」だけじゃなくて、「まず良い音で鳴ってほしい人」にもちゃんと優しいんですよね。
音は良い、容量は大きい、マイキングやミキサーでの音作りもかなり追い込める。それでいてパターンも豊富で、マウスで「こんな感じのリズム」と指定すると近いグルーヴを探せるような親切さもあります。ホストDAWがなくても、音作りからドラムパターン作成までかなり完結できるので、音質・作り込み・利便性を全部兼ね備えたドラム音源だと思います。
あと、バンドマンの方におすすめしやすい理由が、ドラムの差し替え機能です。ドラムって「自分たちで録ってみたい」と一度は思うんですが、実際にやってみるとマイキング、位相、かぶり、スネアの表裏、ハイハットの処理……と、想像以上に難しいんですよね。しかも難しさに気づいた頃には、マイクを何本も買って、8インのオーディオインターフェースまで揃えた後だったりします。
その点「Superior Drummer 3」なら、自分で録ったドラム演奏を後から高品位なドラム音源に差し替える、という使い方ができます。もちろん素材の状態にはよりますし、スマホで録った音をそのまま突っ込めば何でも完璧、という話ではないです。そこは地獄を見る可能性があります。
ただ、極端に言えば、スマホなどで録ったラフな演奏をもとに、「SpectraLayers Pro 12」 などでパーツごとに分解して、それをSuperior Drummer 3で差し替える、というやり方も考えられます。そうすると、ラフな録音をもとにしながら、プロが仕上げたようなドラムサウンドへ持っていける可能性がある。これはバンド系の方にはかなり大きな魅力だと思います。
ただし、PCへの負荷や容量はそれなりにあります。手軽さや軽さを重視するなら「Addictive Drums 2」も有力です。最初からミックス済みの即戦力感が欲しい方、PCスペックが少し心配な方には、そちらのほうが合う場合もあります。とはいえ、ドラム音源は最終的に「Superior Drummer 3」、「BFD3」、「Addictive Drums 2」を全部持っている、という方も多い印象です。……沼ですね。
定番ドラム音源は:Superior Drummer 3

IK Multimedia MODO BASS 2

MODO BASS 2は、実際のベースの構造や奏法を物理的に再現する「フィジカル・モデリング」方式のベース音源です。
録音済みサンプルを再生するだけではなく、弦の振動やピックアップ、奏法などをリアルタイムに計算して音を作るため、同じMIDIでも自然なニュアンスが出やすいのが特徴です。エレキベース、フレットレス、アップライトベースを含む22種類のベースモデルを収録し、フィンガー、ピック、スラップなど主要な奏法にも対応しています。
さらに、ジャンルや曲のセクションから選べるパターン再生機能を搭載しているため、ベースライン作りに慣れていない初心者でも扱いやすい設計です。一方で、弦の種類や古さ、ピックアップ位置、アンプ、エフェクトまで細かく調整できるため、本格的な音作りにも対応します。

ベース音源なら、今も「MODO BASS 2」がかなり強いと思います。
ベースラインって、実は意外と難しいんですよね。コードよりもシンプルに見えるのに、打ち込んでみると急に機械っぽくなったり、同じ音を連打しただけで「打ち込みです」という感じが出てしまったりします。いわゆるマシンガンノート問題ですね。
「MODO BASS 2」の大きな特徴は、サンプリング音源ではなくモデリング音源というところです。一般的なサンプリング音源も、最近は連打対策、いわゆるラウンドロビンがされているものが多いです。ただ、基本的には録音された音を使い回す仕組みです。
一方「MODO BASS 2」は、ピッキングの強さや位置に応じて、毎回音を合成して鳴らしてくれます。同じ音の連打でも少しずつニュアンスが変わるので、結果的にかなり人間らしく聴こえやすい。ベースの打ち込みが得意じゃない方ほど、この恩恵は大きいと思います。
さらに、弦の古さ、弾く位置、ピックアップまわりなど、ベース本体の状態や弾き方に関わる部分も細かく調整できます。ブリッジ寄りで弾くのか、指板寄りで弾くのか、弦が新しいのか古いのか。そういう部分で音色が自然に変わっていくのは、モデリング音源ならではの面白さです。
それでいて、インストール容量が少なく、動作も思ったほど重くないのも大きなポイントです。最近は音源の容量がどんどん大きくなっていて、SSDや外付けストレージの問題も無視できません。その意味でも、「MODO BASS 2」のようなモデリング音源は、今の時代にかなり現実的な選択肢だと思います。
長年の定番としてはSpectrasonicsの「Trilian」もあります。あちらはシンセベース、ウッドベース、エレキベースまで膨大にカバーしている総合力が魅力です。また、手軽に即戦力のフレーズが欲しいならToontrackの「EZbass」もかなり便利です。
なので、ざっくり言うと、ベース音源をまとめて強化したいなら「Trilian」、手軽に即戦力のフレーズが欲しいなら「EZbass」、そしてプレイヤーの視点で細かな演奏表現をコントロールしたいなら「MODO BASS 2」という選び方がわかりやすいと思います。
定番ベース音源は:MODO BASS 2

Synthogy Ivory 3

Ivory 3は、リアルなグランドピアノ/アップライトピアノをDAW上で演奏できる高品質ピアノ音源です。
Ivory IIで定評のあった大容量サンプリングに加え、新開発のRGBエンジンを搭載。鍵盤を弾く強さによる音色変化をなめらかに再現するContinuous Velocityにより、打ち込みでも自然な強弱やニュアンスを表現しやすくなっています。MIDI 2.0環境では最大65,536段階の高解像度ベロシティにも対応し、より繊細な演奏表現が可能です。
ラインナップは、ハンブルグ製スタインウェイDを収録したGerman D、1951年製ニューヨーク・スタインウェイを再現したAmerican Concert D、Yamaha U5と1914年製Hume Uprightを収録したLE Uprights – Modern & Vintageを用意。クラシック、ジャズ、ポップス、映画音楽まで幅広く対応します。
さらに、ハンマーの硬さを調整できるHammer Strength Adjust、演奏の強弱に対する反応を変えられるDynamic Shift、最大4系統のステレオマイクポジション、内蔵ミキシングデスク、EQ/コンプレッサー/リミッター/Aux FXなども搭載。プリセットを選ぶだけでも扱いやすく、細かく調整すれば本格的なピアノサウンド作りにも対応できます。

ピアノ音源は本当に難しいです。というのも、ピアノほど人によって「良い音」のイメージが違う楽器もなかなかないからです。クラシックのホール感が欲しい人もいれば、ポップスで抜けるドライなピアノが欲しい人もいますし、バラードで少しくぐもった温かい音が欲しい人もいます。
その中で今挙げたいのが「Ivory 3」です。これは少しロマン込みの選定でもあります。
「Ivory 2」の時点でもベロシティレイヤーが非常に多く、かなり優秀なピアノ音源だったと思いますが、「Ivory 3」ではMIDI 2.0への対応が大きなポイントです。対応環境では、ベロシティ65,536段階という、従来よりもはるかに細かい強弱表現を扱えるようになっていて、ピアノ音源の新しい時代を感じさせます。いわゆる「これからが楽しみ」な音源ですね。
ただ、ここだけ書くと「MIDI 2.0対応の鍵盤を持っていないと意味がないのでは?」と思われるかもしれませんが、そこはそういう話だけでもないです。「Ivory 3」はサンプリング音源でありながら、RGB Engineによって、サンプル間の音色変化をかなり滑らかにつないでくれます。
つまり、MIDI 2.0対応のMIDI鍵盤を持っていなかったとしても、新しいエンジンが音色の隙間を自動で滑らかに補間してくれる。単純にサンプルを段階的に切り替えるというより、より連続的に音色が変化していく印象があります。ピアノはタッチの差がそのまま音楽表現に出る楽器なので、ここはかなり重要です。
ただし、正直に言うと重いです。「Ivory 2」も軽い音源ではありませんでしたが、「Ivory 3」もかなりパワーを使います。導入したら「パソコンも買い替えようかな」と思う方は出てくるかもしれません。そこも含めてロマンです。
一方で、鍵盤楽器全体を幅広く欲しいなら、Spectrasonics 「Keyscape」は今でも非常に強いです。「Keyscape」はピアノ専用というより、エレピ、クラビネット、アップライト、珍しい鍵盤楽器まで含めた鍵盤楽器コレクションという位置づけです。いろいろなキーボードをまとめて強化したいなら「Keyscape」、ピアノそのものの表現力や今後の可能性まで見たいなら「Ivory 3」、という住み分けだと思います。
定番ピアノ音源は:Ivory 3
Ivory 3 German D

Ivory 3 American Concert D

Ivory 3 Uprights

Xfer Records Serum 2

Serum 2は、EDMやポップスなど幅広い音作りに使える、定番ウェーブテーブル・シンセ音源の最新バージョンです。
初代Serumで評価された直感的な操作性はそのままに、メインオシレーターが3基に拡張され、ウェーブテーブルに加えて、サンプル、マルチサンプル、グラニュラー、スペクトラルといった複数の音源方式に対応。シンセらしい派手なサウンドから、生音を混ぜたレイヤー、グリッチ系の質感、実験的なサウンドまで幅広く作れます。
さらに、2基のフィルター、最大10個のLFO、8つのマクロ、強化されたエンベロープなどにより、音を動かすモジュレーション機能も大幅に進化。アルペジエイターやMIDIクリップ作成機能も搭載され、Serum 2内だけでフレーズやパターン作りまで行いやすくなっています。
FXセクションも強化され、13種類のエフェクトや内部バス、自由なルーティングに対応。音色作成から加工、ミックス的な調整まで、1つのシンセ内で完結しやすい設計です。

シンセ音源は、やっぱり「SERUM」を外しにくいと思います。
もちろんシンセと言ってもいろいろあります。MoogやSequentialのようなビンテージ系の太さや温かみが欲しい方もいますし、映画音楽的な音が欲しい方もいます。ただ、今のダンスミュージック、トラップ、ポップス、ネット系のサウンドメイクまで含めて「まず定番は?」と聞かれたら、今でも真っ先に「SERUM」の名前が出てきます。
「SERUM」が強い理由は、操作が視覚的でわかりやすいこと、そしてデジタルクリーンでエッジの立った、オケに埋もれない圧倒的な音抜けの良さにあります。ウェーブテーブルシンセというと難しそうに感じますが、どこを動かすと波形がどう変化するのかが画面上で見えやすく、音作りの流れがかなり直感的です。
ただ、実際に人気の理由として一番大きいのは、プリセットの多さだと思います。公式・サードパーティ問わず膨大なプリセットが出ていますし、サンプルサイトなどでもSERUM用のプリセットが数多く手に入ります。今は「自分でゼロからシンセを組む」というより、「欲しい方向の音を探して、そこから少し調整する」という使い方をする方も多いので、そのニーズにぴったり合っています。
誰かが使っている音、今っぽい音、ジャンルでよく聴く音に早く近づける。これは理屈抜きで強いです。音作りを深く学びたい人にも使えますし、まずはプリセットから即戦力で使いたい人にも向いています。
近年は、基本無料で高機能な「Vital」や、超万能な「Pigments」といった強力なライバルも台頭していますが、これまでに積み上がった情報の多さとプリセットの資産量において、SERUMは今なお「最初の基準(リファレンス)」となる絶対的な地位を守り続けています。そういう意味で、やはり今でも「一家に一台」の定番感があるシンセですね。
定番シンセ音源は:SERUM2

Ample Sound AMPLE GUITAR

Ample Sound AMPLE GUITARシリーズは、実在するギターを細かくサンプリングした高品質ギター音源シリーズです。
クラシックギター、アコースティックギター、12弦ギター、レスポール、ストラト、テレキャス、PRS、ES-335、リッケンバッカー、SG、White Falcon、メタル向けギターなど、製品ごとに異なるギターを再現。サステイン、ハーモニクス、パームミュート、スライド、ハンマリング・オン/プル・オフに加え、フレットノイズやリリースノイズも収録されており、打ち込みでも自然なギター演奏を作りやすいのが特徴です。
コード演奏用のStrummerモードでは、アルペジオやストロークのリズムパターンを簡単に作成・切り替え可能。さらにRiffer 4では、ピアノロール上で「どの弦で鳴るか」を確認しながらリフを作成でき、ギターの知識が少ない初心者でもリアルなフレーズを組み立てやすくなっています。

アコギもエレキも、今ならAmple Guitarシリーズをまずおすすめすることが多いと思います。 理由はシンプルで、動作が軽い、音が良い、価格も比較的手に取りやすい。そして何より、ギターらしく鳴ってくれるのが大きいです。ギター音源って、単音の音だけ聴くとリアルでも、いざコードを打ち込むと急にピアノっぽくなってしまうことが多いんですよね。ギターにはギターの押さえ方、ストローク、ミュート、ノイズ、弦の移動感があるので、そこを知らずに打ち込むとどうしても不自然になります。
Ample Guitarシリーズは、そのあたりをかなり自然に処理してくれる印象です。MIDI鍵盤でコードを押さえたときも、ギターらしいボイシングやストロークにしてくれますし、ストロークパターンやリフ作りの操作もしやすいです。特に「Riffer」パネルのように、音源内でリフを考えられる機能は、手癖で毎回同じようなフレーズになりがちな人にも便利だと思います。
アコギなら、Taylor系やMartin系を選ぶ方が多い印象です。これは単純に実際のギターとしての人気と比例している部分も大きいと思います。「Taylorの音が欲しい」「Martinの音が欲しい」という選び方ですね。
エレキもAmple Guitarシリーズが非常に有力です。かつては「ELECTRI6ITY」のような細部まで執念で作り込む音源が定番でしたが、現在はリアルさ重視のProminyや、フレーズを丸投げできるUJAMなど選択肢が多様化しました。その中でも、総合的な扱いやすさとリアルさのバランスの良さで、やはりAmple Guitarに落ち着く方が増えた印象です。
また、エレキ系のAmple Guitarは、単体でもかなり高品質なアンプシミュレーターやエフェクトが標準で内蔵されているため、音源だけでも十分に即戦力の歪みサウンドが手に入ります。
もし、そこからさらに音作りにこだわるなら、外部のアンプシミュレーターと組み合わせるのが強力です。今なら「BIAS X」のような最新ソフトと組み合わせるのが抜群に面白いと思います。AIに「〇〇(アーティスト名)みたいな音にして」とテキストで指示したり、参考曲の音源を読み込ませるだけで理想のトーンを自動生成してくれる機能があるため、「この曲っぽいギターの音にしたい」という方向からダイレクトに音作りができる時代になっています。
音源単体でスマートに終わらせるのもよし、最新のAIアンプシミュレーターで理想のトーンを徹底的に追い込むのもよし。制作のスピード感やこだわりに応じて柔軟にシステムを組めるのも、Ample Guitarが選ばれる大きな理由だと思います。
定番ギター音源は:Ample Guitar
Spitfire Audio SPITFIRE CHAMBER STRINGS

Spitfire Chamber Stringsシリーズは、ロンドンの名門AIR Studiosで16名の弦楽奏者を収録した、リアルな室内楽ストリングス音源です。
フルオーケストラほど大きすぎず、弦の表情やニュアンスが出しやすい小〜中編成のストリングスが特徴。映画音楽やクラシックはもちろん、ポップスやバラードのストリングスアレンジにも使いやすい音源です。
ロングトーン、ショート、レガート、トリル、トレモロなど、実際の弦楽器で使われる奏法を多数収録。複数のダイナミックレイヤーやラウンドロビンにより、打ち込みでも機械的になりにくく、自然な演奏を作りやすくなっています。マイクポジションを切り替えたりブレンドすることで、近い音からホール感のある広がりまで調整できます。
エディションは3種類あり、Essentialsは必須奏法を厳選した軽量版、通常版はより多くの奏法と3種類のマイクを備えた標準版、Professionalは7種類のマイクポジションに加え、受賞歴のあるエンジニアJake Jacksonによる3種類の軽量ステレオミックスを収録した本格制作向けです。

ストリングス音源は、用途によってかなり選び方が変わります。大編成のオーケストラが欲しいのか、小編成のストリングスが欲しいのか。映画音楽のように壮大に鳴らしたいのか、ポップスの後ろで自然に鳴らしたいのか。ここを間違えると、どれだけ音が良くても曲に合わないことがあります。
その中で定番として挙げるなら、「Spitfire Chamber Strings」は外せない存在です。
Spitfireが支持されている最大の理由は、やはり唯一無二の気品ある空気感です。ロンドンの名門AIR Studiosの広大なホールで録音されているため、至近距離のマイク(Close)を選んでも、世界最高峰の「美しく豊かな残響成分」が自然に音に回り込みます。洋楽ポップスや海外シネマティックのような、あの贅沢な響きが最初から手に入ります。
Chamber Stringsは小編成なので、これだけリッチな響きであっても大げさになりすぎず、曲の中に入れやすいのも魅力です。ストリングス音源には映画音楽向けの壮大なものもたくさんありますが、個人制作やポップス制作では、そこまで大きなオーケストラは必要ないことも多いです。むしろ、歌ものの中で邪魔せず支えたり、楽曲全体を極上の空気感で包み込んでくれたりするストリングスのほうが使いやすい場面があります。予算やPCスペックに余裕があれば、さらにマイクポジションが追加されて緻密な音作りができる「Professional」エディションを選ぶこともできます。
一方で、ストリングスはジャンルや求める質感による住み分けも明確です。
同じSpitfireブランドでも、よりタイトでドライなスタジオ(AIR Studio One)で録音され、現代的なポップスや激しいビートの中でも埋もれない輪郭を持つ「Studio Strings Professional」は、その圧倒的な汎用性の高さから非常に売れている人気の定番です。細かな編成人数のコントロール(ディヴィジ)も効くため、ポップスから劇伴までこれ一本でハイレベルに網羅できます。
また、さらに残響を抑えた質感で、アタックが速く、日本の歌ものやアニソン特有の派手なキレを前面に出すなら、Impact Soundworksの「Tokyo Scoring Strings」が最高の相棒になります。
大編成の映画音楽やクラシック寄りならVienna系なども候補になりますが、まずはあの憧れの海外サウンド、リッチで気品のある空気感を楽曲に吹き込みたいなら、ファーストチョイスとして「Spitfire Chamber Strings」を挙げたいです。
定番ストリングス音源は:Spitfire Chamber Strings
Spitfire Chamber Strings

Spitfire Chamber Strings Professional

一気に揃えるのが難しい場合、どれから買うべき?

ここまで定番音源を紹介してきましたが、正直なところ、全部を一気に揃えるのはなかなか大変です。というか、ほとんどの方はそうだと思います。音源って1つ1つが安い買い物ではありませんし、最近は容量も大きいので、SSDや外付けストレージのことまで考える必要があります。
では、どれから買うのがよいのか。これは作る音楽や、すでに自分で演奏できる楽器によって変わります。
バンド系の曲を作る方、特にギタリストの方なら、まず候補になるのはドラム音源だと思います。ギターは自分で弾けるとしても、ドラムをリアルに作るのはかなり難しい。曲全体の土台でもあるので、ここが良くなると一気に楽曲の印象が変わります。
次に欲しくなるのはベース音源です。ドラムだけ良くなると、今度はベースが気になってきます。ドラムは妙にリアルなのに、ベースがDAW付属音源のままだと、全体のバランスが歪になってしまうんですよね。なので、バンド系の方はドラム → ベースの順番がかなり現実的だと思います。
ダンスミュージックやトラックメイク中心の方なら、最初の1本はシンセ音源でもよいと思います。SERUMのようなシンセは、プリセットも豊富で、今っぽいシンセベース、リード、パッドなどをすぐに使いやすいです。音作りに自信がなくても、まずはプリセットから始められるのは大きいと思います。
劇伴、ゲーム音楽、アニソン系などでストリングスやオーケストラが主役級に出てくる方は、早めにストリングス音源を導入する価値があります。ただ、ポップスやバンド系で「たまに後ろで鳴らしたい」くらいであれば、優先順位は少し後でもよいかもしれません。
そして、ここで毎回悩ましいのがKOMPLETEです。単品音源を1つずつ買っていくのももちろん良いのですが、ドラムを買って、ベースを買って、シンセも欲しくなって……となると、気づけばKOMPLETEが買える金額になっていることがあります。
さらにKOMPLETEにはKONTAKTが入っているので、今後サードパーティ製音源を増やしていくうえでも土台になります。なので、最初から一通りの音源を広く揃えたい方、あとで音源を増やしていく前提の方は、KOMPLETE STANDARDを検討するのもかなり現実的です。
ざっくりまとめると、こんな考え方です。
- バンド系・ギタリスト:ドラム → ベース → 必要に応じて総合音源
- トラックメーカー:シンセ → ドラム/ベース → 必要に応じて総合音源
- 劇伴・ゲーム音楽系:ストリングス/オーケストラ系 → ピアノ → 総合音源
- 迷ったら:KOMPLETE STANDARDで一通り揃えて、足りない部分を単品音源で補う
もちろん、これは絶対の正解ではありません。作るジャンル、演奏できる楽器、PCスペック、ストレージ容量によって、最適な順番は変わります。
ひとつ言えるのは、音源は一度買い始めるとだいたい増えていきます。これはもう、そういうものです。どの音源を買っても「この音はすごく好きだけど、こっちはあまり使わない」みたいなことが起きて、それが少しずつ積み重なっていきます。
なので最初から全部を完璧に揃えようとするより、まずは自分の曲で一番気になる部分、いちばんクオリティアップを感じやすい部分から導入するのがよいと思います。迷ったら、作りたいジャンルや今の制作環境も含めてスタッフに相談してみてください。そこから一緒に優先順位を決めるのが、たぶん一番失敗しにくいです。
よくある質問
DAW付属音源だけではダメですか?
ダメではありません。DTMを始めたばかりの方は、まずDAW付属音源を使い込むのがおすすめです。外部音源は「このパートをもっと良くしたい」と感じたタイミングで導入すると失敗しにくいです。
初心者が最初に買うならどれがおすすめですか?
幅広く揃えたいならKOMPLETEのような総合音源、バンド系ならドラム音源、ダンス系やボカロならシンセ音源から検討するのがおすすめです。
ソフト音源を買う前に何を確認すればいいですか?
使用DAW、対応OS、プラグイン形式、必要ストレージ容量、CPU、メモリ、ライセンス認証方法を確認しましょう。不安な場合は、使用環境をスタッフに相談するのがおすすめです。
セールまで待った方がいいですか?
急ぎでなければキャンペーン情報を確認してから購入するのも良いと思います。一方で、今の制作に必要な音源であれば、早く導入して使い込むメリットも大きいです。
スタッフに相談するときに伝えると選びやすいこと
- 使っているDAW
- Windows / Macのどちらか
- パソコンの型番やCPU、メモリ容量
- 内蔵ストレージの空き容量
- 作りたいジャンル
- 自分で演奏できる楽器
- 今の曲で一番物足りないパート
- 予算感
ここまで分かると、単に人気商品をおすすめするのではなく、その方の制作環境に合った音源を一緒に選びやすくなります。
まとめ
外部ソフト音源を導入すると、DAW付属音源だけでは出しにくかったリアルさ、迫力、存在感を加えることができます。また、音のクオリティだけでなく、プロが録音したパターンが付属することもあるので、作曲をサポートできる点としても便利です。
ただし、音源はたくさんあります。しかも、どれもそれなりに魅力的です。だからこそ、最初から全部を揃えようとするより、自分の曲で一番気になっている部分から導入するのがおすすめです。
今回ご紹介した音源は、あくまで定番として厳選したものです。作りたいジャンル、演奏できる楽器、使用しているDAWやパソコン環境によって、より合う製品が変わることもあります。
気になる音源がある方、どれを選べばいいか迷っている方は、作りたい音楽や現在の制作環境も含めて、お近くの島村楽器までお気軽にご相談ください。
お近くの島村楽器で相談する オンラインストアでソフト音源を見る



