ソフトシンセってどんなもの?
ソフトシンセというのはその名の通りソフトウエアのシンセ。ハードウエアではありません。
下写真のような楽器はハードウエアシンセサイザーとよばれています。
一方、ソフトシンセはパソコンやスマホ内で仮想的に作り出された「楽器」という事になります。呼び方もメーカーによってバラバラなので少々ややこしいわけです。一例を上げると
- プラグイン・インストゥルメント
- プラグイン・音源ソフト
- バーチャル・インストゥルメント
- ソフト(ウエア)音源、、、、etc.
「ソフトシンセ(サイザー)」という呼称は実はヤマハ社の登録商標なのですが、こうした仮想的に作り出された「楽器」の呼称の一つに過ぎません。デジランドでは上記の製品の総称として「ソフトシンセ」という言葉を使っています。
Spectrasonics社のキーボード系ソフトシンセ「KEYSCAPE」
さて「シンセ」という言葉を使っておきながら、ソフトシンセで再現される楽器の種類は電子的な音だけではありません。そもそもシンセサイザーは様々な楽器の音をだすことができる合成装置なわけですから対象となる楽器は生楽器なども含まれます。
たとえば
- 鍵盤楽器系:ピアノ、オルガン、アコーディオンなど
- 弦楽器系:バイオリン、ギター、ベースなど
- 管楽器系:トランペット、サックスなど
- 打楽器系:ドラム、パーカッションなど
- 電子音系:シンセリード、シンセブラスなど
- 効果音(SFX)系:
といったように、現在では現存するあらゆる楽器が「ソフトシンセ」としてパッケージやダウンロードで販売されています。
ソフトシンセはパソコンだけではない
なお最近ではパソコンだけでなく、iPhone / iPad、Androidといったスマホやタブレット用の楽器アプリも多いですね。実はこうした音楽アプリで演奏できる楽器もソフトシンセなのです。
ソフトシンセの音源方式
ソフトシンセの音源方式には(実はハードシンセも同様なのですが)サンプリング(生の音をデジタル録音して記録すること)技術を使った「PCM音源(「サンプル音源」とも)」や、演算処理により仮想的に音源を再現する「フィジカルモデリング音源(物理モデル)」、他にも「FM音源」などとさまざまな方式があります。たとえばピアノのソフトシンセを例にすると、
Synthogy「Ivory II」、SPECTRASONICS「Keyscape」、EAST WEST「Quantum Leap Pianos」といった製品はサンプル音源。MODARTT「PIANOTEQ」はフィジカルモデル音源です。
どのソフトが良いか?という質問には「好みです」としか言い様がないのですが、自分のやりたい音楽ジャンルである程度オススメは変わってくると思います。一般的にサンプル音源系のソフトシンセはインストールすると「数10GB~数100GB」といったように大容量(パソコンのハードディスクの専有量が多い)な製品が多いですが、一方フィジカルモデリングは比較的に容量が少ない(100MB~)といえるでしょう。
ソフトシンセの長所と短所
【長所】
- 場所を取らない。
- パソコン / スマホ / タブレットだけで音が出せる。
- 低価格(例:高級ピアノをサンプリングしたソフトシンセなど)
【短所】
- パソコンやオーディオ・インターフェースの性能に依存する
- 安定性
- レイテンシー(遅れ)などの問題
まずライブで使用することを考えた場合、ソフトシンセは運搬やセッティングの手間がかからず、オーディオ・インターフェースとMIDIキーボードがあれば演奏可能です。ただし万が一「パソコン落ちた~」とか「音が鳴りっぱなしになった」という場合はもうおしまい。ハイスペックパソコンだから安心!・・とはいえないのです。最近はライブでソフトシンセを使う人も多くなってきましたが、やはり最悪の事態に備え、バックアップとしてハードシンセを置いておく人も少なくありません。特にプロの場合は失敗が許されません「いや~機材トラブルで困った困った・・・」ということでは済まされないのです。
一方、自宅やスタジオでの音楽制作現場ではソフトシンセの存在は非常に大きいです。山のようにキーボードや音源モジュールを積み上げる必要も無く、接続、録音などもDAW内ですべて完結してまいます。またフルオーケストラなどの膨大なパート数の楽曲も、全てPC一台で鳴らすことができます。
もちろんレイテンシーや音色のこだわりで、あえてハードシンセを好んで使う方も多いです。何れにせよ自分のスタイルに合った物をじっくり選んでみてはいかがでしょう?
IK Multimedia エレクトリック・ベース専用ソフトシンセ(フィジカルモデリング)「MODO BASS」