指ドラム(フィンガードラム)入門

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指ドラム(Finger Drumming)」とは?その名の通り、MIDI鍵盤やパッドなどでドラム音色を指で演奏するプレイのことです。上写真はiOSアプリ「Garage Band」のドラム画面ですが、これも指ドラムで演奏します。

指ドラムは主に「ライブパフォーマンス」や「打ち込み」を目的に演奏されますが、演奏スタイルは「パッド」と「キーボード(鍵盤)」に大別されるのではないでしょうか。まずはパッドの代表的なプレイを見てみましょう。

Native Instrumentsの「MASCHINE MIKRO」を使ったJeremy Ellisのプレイ

David”Fingers”Haynes covers Shakin The Ground by Ole Borud

もう宇宙人レベル!・・最初に見るべきムービーではありませんでした・・・・こうした「神業」を見るとただただ圧倒されてしましますが、なんだかゲームセンターの「音ゲー神プレイ」に通じるところがありますね。

つづいては、宇都圭輝氏によるRoland ワークステーションシンセサイザー「FA-06」を使用したシンセ鍵盤によるリアルタイム指ドラムをご覧ください。

いかがでしょう、いわゆる打ち込みによる楽曲制作でも、指ドラムは大活躍。

DAWソフトやワークステーションには音符入力で音を1音ずつ打ち込んでいくステップ入力という機能があります。DAWの場合はマウス等を使って入力することもできますが、指ドラムで打ち込んでいく方法もあります。この場合、メトロノームに合わせる必要はないのでリズム感の良し悪しはあまり関係ありません(フレーズのイメージを描いていないとうまくいきませんが)

というわけで、できないよりできたほうが良いのが指ドラム。なおこの記事で紹介する指ドラムは、完璧にドラマーの演奏を再現しようということではなく、雰囲気が出ればオーケーというレベルを目指しております。

というわけでドラマーの皆様ツッコミはお手柔らかにお願いいたします。では早速チャレンジしてみましょう~

まずは最初にドラムの基本をおさらい。

ドラムセットの名称

下記はドラム基本セットの一例。ドラム音源ソフト(ソフトシンセ) TOONTRACK「EZ DRUMMER 2」の画面です。奏者側からの視点ですね。

  • ①バスドラム(キックドラム)
  • ②スネア
  • ③ハイハット
  • ④シンバル
  • ⑤シンバル
  • ⑥シンバル
  • ⑦(ライド)シンバル
  • ⑧クラッシュシンバル
  • ⑨タムタム

④~⑧のシンバルにはクラッシュ、チャイナ、スプラッシュ・・等々、様々な名称のシンバルがあってセッティングや枚数も多種多様。ただざっくり2種類に分けるとすれば、ハイハット同様にリズムを刻むライドと、アクセントを付けるためのその他のシンバルと考えてよいでしょう。ハットでビートを刻みながらキックとスネアで全体のビートを作るのがポピュラーミュージックでは基本になります。

楽器のノートマッピング

今回ドラム音源はMIDIノートデータで鳴らすわけですが、シンバルやキックなどを鍵盤上にどう割り振るかというのがノートマッピングです。ノートマッピングは、製品によってまったく異なる場所にキックが並んでいたり、微妙に音色の異なるスネアが数種類割り振られていたりと統一性はありません。しかし近年はGM(MIDIの統一規格)で定義されたマッピングを収録している製品も幾つかあるようです。

ここではその「GM map」というマッピングで指ドラムをやってみることにします。

GM Mapの例

  • BD:バス(キック)ドラム(36)
  • SD:スネアドラム(38)
  • SD:スネアドラム2(40)
  • CH:クローズハイハット(42)
  • PH:ペダルハイハット(44)
  • OH:オープンハイハット(46)
  • T1~5:タム(数字が大きくなるほど音程が下がります)(48,47、45、43、41)
  • CC:クラッシュ系シンバル(49,50、52等)
  • RC:ライドシンバル(51)

※( )内はMIDIノートナンバー、#40はGMの定義ではエレクトリックスネアですが、#38のスネアと若干異なる音色にしている機種もあり。

実際にはGMとうたっていながら若干配置が異なっていたりする製品もあるのですが、とりあえずこれでやってみることにします。なお49鍵のMIDIキーボードなどを使っている方は、オクターブスイッチ等を使って1オクターブ下げないと叩けないので注意してください。

フレーズの表記方法

ドラムフレーズの表記方法は、五線譜ではパーカッション記号やヘ音記号が使われます。DAWソフトの「Cubase」でも様々な画面がありますが下記の図はすべて同じMIDIデータを表しています。譜例は後ほどチャレンジする「ズンタンズズタン」というよくある8ビート。

リズムを記譜する方法は他にも、こんな方法もあります(Rolandのリズムコンポーザー「TR」系表記)。

1 2 3 4
HH
SD
BD

ただ実際のドラムフレーズは常に8分音符が基本というわけではないので、音符が細かくなっていけばいくほど上記の表記では表記しづらくなってきますし、時間もかかります。そういった点では現時点では五線譜の表記が一番便利ですね。

なお五線譜での表記ですが、バスドラやスネア、ハイハットの位置は厳格に決まっているわけではありません。使用する楽器も人それぞれなので基本は自由。したがって最初にどの音程がどの楽器かを示しておくのが親切です。本記事では下記のような表記にしたいと思います。

このセット、記譜はどうするんでしょうか?

基本の8ビートにチャレンジ

ドラミングには音楽ジャンルによって無数のパターンがありますが、まずはハイハット(やライド)で細かいリズム(8分音符)を刻みながら、バスドラムとスネアでアクセントをつける8ビートパターンにチャレンジしてみましょう。ソフトシンセを使う方はバッファーサイズを詰めてレイテンシーを極力小さくしてください。

これを鍵盤でどう叩く(弾く)かはまったくの自由ですが、試しにハイハットは右の人差し指(2※指番号)キックは左の中指(3)スネアは左の人差し指(2)というやり方で指ドラムしてみます。テンポはBPM=60くらいから徐々に上げていって200くらいで正確に叩ける様になったらかなりスゴイです。

【※指番号】

親指 1
人差指 2
中指 3
薬指 4
小指 5

BDとCH

SDとCH

次はコレ。まだなんとか同じ運指で叩けそうですね。16分音符が入っているので最初はゆっくりなテンポからやってみると良いです。

16分のパルスを意識しながら1拍ずつ確認してみてください。4拍ウラのオープンハイハット(黄枠)は右手薬指(4)が弾きやすいと思います。最初は下図のように1拍を4つずつ、16分音符のパルスに分解して、右と左がどこで同時に叩くのかまたはずれるのかを意識して弾いてみましょう。

1拍目 2拍目 3拍目 4拍目
HH  –  –
SD  –  –  –  –  –  –  –  –
BD  –  –  –  –  –

16ビート

House Style:ハウス風

ハウスは意外と楽かもしれません。4拍目のウラウラのスネアは慣れてきたら入れてみてください。

というわけで基本的なフレーズは叩けましたでしょうか?なお指ドラムの練習は、メトロノームやクリックと一緒にすることをおすすめします。DAWを使った打ち込みの場合、基本は指ドラムで打ってしまって、あとで細かい部分を修正していくという方法もあります。

ゴーストノートに挑戦

ゴーストノートは、聴こえるか聞こえないかくらいの微妙な音量で演奏される音のことです。ドラムだけでなくベースやキーボード等でも演奏されます。タイミングをとるための「合いの手」的要素もある音ですが、これがあるとないとではグルーヴ感が変わってくるとても重要な音と言えるでしょう。

スネアが細かく入っているの聞こえますか?

こんな雰囲気ですね(完コピではありません。スネアの小さい黒玉がゴーストノート)。

ドラムの教則本ならともかく、一般的なバンドスコアではゴーストノートは記譜されないことも多いのですが、これは単純に採譜に手間がかかりすぎるからだと思われます・・・

バンド全体のサウンドの中で「頑張ればなんとか聴こえる」ドラムのゴーストノートを聴き取るのは至難の業ですが、あるレベル以上のプレーヤーだったら「ここのフレーズでは多分こう弾くよね?」というように、ある程度推測できる場合もあると思います。

これゴーストノートのプレイがよくわかりますね。

指ドラムの場合、どこまでゴーストノートを入れて演奏するかは求めるレベル次第ですが、明らかに入っていたほうがグルーヴ感が出る!という場合は練習する意義はあると思います。冒頭のDavid”Fingers”Haynes氏のパッドプレイは、本人がドラマーということもありゴーストノートや6連などを多用していましたね。

では実際にゴーストノートを入れて演奏してみましょう。

まずは基本編。ライドで刻む8ビートにスネアの16分音符でゴーストノート気味に入れます。2、4拍のバックビートのスネアよりもかなり小さめで叩くのがポイント。

フットハイハットとライドを右手で叩きますが、最初はフットハイハット無しで全体のリズムを確認してください。慣れてきたら8分ウラをいれてみます。フットハイハットが入ることでリアル感と安定感が増スと思います。少しシャッフル気味に演奏しても面白いかもしれません。下記の動画では頭にライドの代わりにクラッシュ(C#2:49)を叩いています。

続いてはブレークビーツのサンプリング元ネタでも有名なJames Brownの「Funky Drummer」風

ドラムはClyde Stubblefield

ゴーストノートがあるとないではまったくイメージの異なるフレーズですね。黄色スネアがゴーストノート

厄介なのはハイハットの16分刻み。速いテンポだと指一本で弾くのはキツイです。右手人差し指と親指(または中指+人差し指)で交互にF#1キーを弾くか、またはC3とD3などにクローズハイハットをアサインして人差し指と中指で弾くなどの工夫が必要かもしれません。

比較的高価な音源であればベロシティーの強弱だけで雰囲気が出せると思います。動画ではゴーストと2,4拍のスネアのベロシティーの差がイマイチでしたが、製品によっては複数のキーに微妙にニュアンスの異なるスネア音色がアサインされている場合があり、その際は強く叩いた音とゴーストノートを使い分けるということも可能です(クローズハイハットだけで10種類もマッピングされている・・といった豪華なソフトもあります)

次行ってみましょう。

Steve Gadd大先生の Chick Corea「Sicily」でのプレイ。

ドラマーではないのにGadd先生がどうやって叩いているのか理解できた方は非常に素晴らしい耳の持ち主です。正解は、

テンポが速くてなかなか聞き取れませんが、基本は

LLRL-RRLR (L:左、R:右)

というルーディメンツ(小太鼓の基礎奏法)のパラディドル(シングル/ダブルストロークの組み合わせ)と呼ばれる奏法のドラムキットへの応用です。ドラムで叩く場合、スネアが左手、右手がハイハットを想定したフレージングですが、スネアは黄色の部分がゴースト気味に演奏します。

指ドラムする場合ですが、ドラム同様スネア左手+右手ハイハット「LLRL-RRLR」で演奏した場合、キックを入れるのが超難しいので、右手だけでハットとスネアを叩いて左手でキックというのが良いと思います。基本2拍のパターンなので下図のように右人でスネアとハイハット、左手でキックというのはいかがでしょう?でもこのテンポでキックの16分ウラウラ難しい~

ただし一本の指で同音連打は難しいので。たとえば D-D-F#-D は2-1-4-2、F#-F#-D-F#は3-2-1-4などの運指で弾くとよいでしょう。またゴーストと2拍4拍の裏のアクセントスネアの差をつけるためにアクセントスネアをE(40)で弾くという方法もあります。あとは練習あるのみ!

フィルイン(フィル)を叩いてみよう

フィルインとは「オカズ」のことですが、曲の出だしや曲中の4小節/8小節といったキリの良いところで間を埋める感じで使われるフレーズです。たとえばAメロからBメロ、サビなどに移る直前に場面転換のきっかけとなるアドリブ的なフレーズといえます。ドラマーのセンスが問われる重要なフレーズですね。

プレーヤーや曲の数と同じくらい無数のフィルパターンが存在しますが、ドラムキットにあるシンバル、タム、ハット、キック、スネア等々を使ってフィルのフレーズを作っていくわけです。それでは代表的なフィルインのパターンにチャレンジしてみましょう。

タムとスネアのコンビネーション

曲の出だしを想定したフィルです。

RLLR LLRL

と弾くと良いでしょう(R:右指、L:左指)。前述のパラディドルのバリエーションですが、右手で叩く楽器を変えていくのがポイント。スネアはゴースト気味だと雰囲気が出ます。

キックとオープンハイハットのコンビネーション

いわゆる「タチーチー」フレーズ。ポイントはオープンハイハットとキックのタイミングを合わせる点。アクセントとなるポイントには一緒にキックを入れるというのが常套手段。これはクラッシュシンバルも同様ですので日頃から意識しておくと良いと思います。

キックとスネアは任意の左指、CHは右人差し指(R2)OHは右薬指(R4)でしょうか?生ドラムだとオープンハイハットに続くハイハットはペダルなのですが、指ドラムの場合、F#1(42)とG#1(44)切り替えが面倒な場合はクローズハイハットで演奏してもばれないかと思います。

タチーチーといえばBernard Purdie

スネア、タム、キックのコンビネーション

アップテンポの8ビートなどで効果的かもしれません。運指は一例ですが、タム回しとキックを「ラー・ファ・ド」という比較的楽な運指に置き換えてます。これの応用で6(3)連とかでやるとハッタリの効くフレージングが可能です。

フラムフレーズ

指ドラムで一番やっかいなのが「ロール(Roll)」や「フラム(Flam)」系のフレーズ。「ロール」は連続で叩く奏法(ダララララ~というあれが有名)で様々なバリエーションがあります。フラムというのは、2本のスティックですばやくLR(RL)と叩いて装飾音をつける奏で、2つの音の間隔や強弱には同じくいろいろなバリエーションがあります。

このイントロのドラムフィルは「RLLRRL」のSix Stroke Rollでしょうか?

このテンポで6連符(しかもベロシティー弱めからクレッシェンド)はさすがにキツイ。こうした場合は音源側でフラム、ロール音色を用意するのがよいでしょう。前述の通り強弱も間隔も千差万別なので、1種類のフラム音色だけでは面白くありません。そこで複数のキーにスネア音色を用意して使い分けるのが良いと思います。

なお、あなたがドラマーでない場合、こうしたゴーストノートの耳コピをする際は、専用アプリを使ったり、波形編集ソフトなどでスピードを二分の一速などにして聴くと上記の様なフレーズも聞き取りやすくなります(サンプリングレートのみを半分にするとできますが、音程もオクターブ下がるのでバスドラとタムの違いに慣れるまでチョット時間がかかるかもしれません)

まとめ

今回はキーボードを使った指ドラムを取り上げましたが、これがMIDIパッドになってもはぼ応用が利くと思います。また今回のようにGMマップにこだわる必要はなく、音色は自由にマッピングして「叩きやすい」セッティングを作ってください。そもそも生のドラムと指ドラムは発音の仕組みがまったく異なるわけで、限界がありますが、雰囲気が出ればOK!という気持ちで楽しんでみてはいかがでしょうか!

それでは~

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本記事の動画はハンディーレコーダー ZOOM Q8 で収録しました。


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